| ジャガーXJは50周年。英国からパリまで、各世代のモデルが走行する |
ジャガーが1968の「XJデビュー」から50周年記念となる今年のパリ・モーターショーにて、「現在まで8世代にわたるジャガーXJ」の展示を行うと発表。
これら8世代のXJはバーミンガムにあるXJ製造工場を出発してジャガー・ランドローバーのレストアを行う「ジャガー・ランドローバー・クラシック」、さらにはグッドウッド・モーターサーキットを経てフランスに入り、最終目的地としてパリ・モーターショーを目指す、とのこと。
ジャガーXJは2008年まで”あの”デザインだった
この「XJ軍団」には初期のシリーズⅠ、そして最新の50周年記念モデルとなる「XJ50スペシャル・エディション」が含まれ、ほかには1973年のシリーズⅡ、同じく1973年のシリーズⅡクーペ、1979年のシリーズⅢ、1986年のXJ40、1994年のX300、1997年のX308、2003年のX350、2009年のX351、2017年のXJR575も含まれる、と発表されています。
こちらが初代ジャガーXJ、「シリーズⅠ」。
全長4810ミリ、全幅1770ミリ、全高1340ミリ。
エンジンは直6で、2.8リッターと4.2リッターとがラインアップされ、のちに5.4リッターV12も追加。
この時点で既にXJ最大の特徴である丸目4灯デザインが完成していることがわかりますね。
1973年、ジャガーXJ「シリーズⅡ」。
アメリカへの輸出を前提に改良がなされたモデルで、2ドアクーペがラインアップされていたことが特徴です。
1979年、ジャガーXJ「シリーズⅢ」。
ピニンファリーナのデザインだとされ、全長は4960ミリへと拡大。
一方全幅は1770ミリのまま、全高はちょっと増えて1370ミリ。
そして20年後の「X308」系ジャガーXJ。
驚くべきことにデザインがほとんど変わっていないことがわかりますね。
全長は5025ミリと「5メートル超え」を達成し、全幅は1800ミリ、全高は逆に1360ミリと低くスタイリッシュに。
2003年登場のX350にモデルチェンジしてもその外観は大きく変わらず。
ただしボディはオールアルミとなり、構造的には大きな進歩を遂げています。
ジャガーXJは先祖返りすべき?
そして2009年登場のX351系。
これがつまり「現行モデル」ではありますが、ここで大きくスタイリングを変更しており、これまでのクラシカルなスタイル(つまり2008年まで”あの”デザインだった)に別れを告げることに。
こちらは最新の「50年記念モデル」、XJ50。
X351系では今までの丸目4灯をに決別し、ジャガーが新しい時代に向けてデザイン的チャレンジを行ったことは大いに評価できると思います。
その後のF-TYPEや他モデルについてもこのデザインイメージを継承することになり、現在ジャガーの顔を作ったモデルであるとも言えますが、現実問題としてジャガーのサルーンは全般的に販売が好調だとは言えない状態。
反面、ジャガーのクラシックカーは大変な人気があり、オークションでは「高値の常連」。
復刻モデルも(非常に高価であるにもかかわらず)一瞬で売り切れてしまうほどですが、それを鑑みるに、ぼくとしては次世代のXJについては「先祖返り」したほうがいいんじゃないかと思うことも。
これはセールス的理由というよりはブランディング上の問題で、「ジャガーしか持ち得なかった」デザインイメージを捨ててしまうのはもったいなく、それを生かしたほうがメルセデス・ベンツやアウディ、BMWに対抗しうる、もしくは排他性を持つクルマを作ることが可能になるんじゃないかと考えているわけですね。
逆に「クラシックジャガーのデザインを活かさない手はない」とも言い換えることができ(フェラーリが現在その方向に動き、ポルシェも資産を活用しているように)、サルーン系は初代ジャガーXJ系のデザイン、スポーツモデルについてはE-TYPE系のデザインにすればかなり売れそうだ、とも思います。