| ジェリー・マクガバンはもともと自分を正当化する傾向があるが |
ジャガー・ランドローバーは「新型ディフェンダー」を発表していますが、正直これは今ひとつ盛り上がっていない模様。
本国イギリスにおいてはけっこうな批判があるといい、まずはラダーフレームを捨ててモノコックへと移行したことに対してのネガティブな反応、そしてそのデザインについては「レトロすぎる」というもの、反対に「過去へのヘリテージが感じられない」というものも。
ディフェンダーは33年の歴史を持つオフローダーで、その間ほぼ姿が変わらなかったクルマ。
いうなればメルセデス・ベンツGクラスのようなクルマですが、こういった車種のモデルチェンジは非常に難しいということは想像に難くありません。
つまり今回のように「何か変えても」文句を言われ、「何かを変えなくても」文句を言われるということで、まるで何かをしても、何もしなくても国会で追求される政治家のような可愛そうな状況でもありますね。
それを考えると、メルセデス・ベンツが「Gクラスの外観を変えなかった」のは正解としかいいようがなく、実際にその販売は新型にスイッチしてからどんどん伸びている、とも報じられています(あまりにGクラスが売れると、メルセデス・ベンツはCO2平均排出量が上がってしまうので、ちょっと困っているようですが)。
もし「ディフェンダー」がディフェンダーの名でなかったら
そして今回、ランドローバーのデザイナー、ジェリー・マクガバン氏が現地カーメディア、Gear patrolに語ったところだと「私が思うに、レトロに向かうのは、悪魔にキスをするようなものだ。過去を見すぎのは、将来に対して何らアイデアを持っていないに等しい。だが、私はそのクルマのルーツを無視すると言っているわけではない。それは重要なことであり、とりわけプレミアムブランドにとっては欠かせないことだ」とのこと。
なお、ジェリー・マクガバン氏は、新型ディフェンダーについて、「先代ディフェンダーの進化版ではなく、ディフェンダーという名、そしてインスピレーションを過去のディフェンダーから得た、まったく新しい別のクルマなのだ」とも語っていて、この解釈がどうやらしっくりきそうですね。
実際のところ、上述のようにラダーフレームを持たず、サスペンションはディフェンダーの歴史上はじめて前輪独立懸架に。
もし、このクルマがディフェンダーの名ではなく別の名を持つクルマであれば、「ディフェンダーのエッセンスを現代に蘇らせた傑作」と言われた可能性も否定できず、その意味では「ビッグネームのリバイバル」はかなり難しいのでしょうね。
たとえば、フェラーリだと「ディーノ」、ランボルギーニだと「ミウラ」のリバイバルを待ち望む人々が多く(ぼくも安易に”なぜその名を関したモデルを発売しないのか”と考えたりする)、しかし実際にリバイバルさせてみると、そういった人々はじめ、多くの人が”あらゆる方面から”批評家気取りで批判をしてくるのかも。
そうであれば、うかつにその名を蘇らせるのではなく、過去の名車が持つイメージやディティールを取り入れた「ブランニューモデル」を発売するほうがずっといいのだろう、とも思います(過去のヘリテージを守りながら未来へと進める)。
実際にこういった方法はランボルギーニやフェラーリが採用していることでもありますが、ランドローバーも新型ディフェンダーについて、「ディフェンダー」以外の名を用いるべきであったのかもしれませんね。
ランドローバーは「ディフェンダーの小型版」も計画中
そしてもうひとつランドローバーに関して報じられているのが「メルセデス・ベンツGLAや、BMW X1に対抗する、小型SUVの発売」。
過去にもなんどかこのウワサが出ていて、最新の内容だとランドローバーが現在採用するモジュラー・アルミニウム・プラットフォームを短縮して「ディフェンダーの縮小コピー」を作るのでは、というもの。
ただ、ぼくとしては「アルミ製プラットフォーム」を使用すると、小さい車なのに高額になってしまい、セールス面で苦戦するだろうと考えていて、それを解決するためにイヴォークに採用しているD9プラットフォームの改良版を採用してくるんじゃないかと想像しています(これはスチールがメインでコストが安く、長く使っているので償却もできていると思われる)。
価格については350万円くらいになるんじゃないかとも言われていますが、もしこれが実現すれば、相当なヒットとなるかもしれませんね(画像はDC110コンセプト)。