| トルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏は自動車業界においてその経営手腕を高く評価されている |
なお腕時計は「オーデマピゲ ロイヤルオーク」
さて、ロールス・ロイスが現在CEOを努めているトルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏が2023年11月30日をもって最高経営責任者を退任する、と発表。
後任として現在BMW UKの最高経営責任者を務めるクリス・ブラウンリッジ氏が就任することもあわせてアナウンスされています(ロールス・ロイスはBMWのグループに属している)。
トルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏は2010年にロールス・ロイス・モーター・カーズに入社し、「ロールス・ロイスのハイフン(同社創業者であるチャールズ”ロールス”、フレデリック・ヘンリー”ロイス”とともにロールス・ロイスに貢献したが、社名にその名が入らなかった人物で、”Rolls”と”Royce”の真ん中のハイフン、もしくはドットだと言われる人)」として知られるクロード・ジョンソン以来、同社で最も長く最高経営責任者を務めたことになります。
トルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏はロールス・ロイスを比類なきラグジュアリーブランドへと成長させる
トルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOは現在のロールス・ロイスを成功をへと導いた立役者であり、自動車業界において「もっとも優れた経営者」と評される一人。
ロールス・ロイスという歴史あるブランドを改革し、「年配の人が乗る高級車」から「ラグジュアリーメーカーの中でもっとも平均年齢が若いブランド」へとドラスティックに変貌させることに成功し、そのためには「ブラックバッジ」の導入、そしてたゆまぬ変革を推進し続けたことでも知られます。
そのリーダーシップの下、ロールス・ロイスは「自動車メーカー」から真の「ラグジュアリーメゾンへ」と変貌を遂げ、その精巧なエンジニアリング、比類のないビスポーク能力、国際的な顧客のニーズ、嗜好、願望に対する深い理解で世界中から尊敬を集めるまでに至ったわけですね。
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約14年間ロールス・ロイスを率いてきたことは、私の職業人生の中で最大の特権であり喜びでした。ラグジュアリー業界の頂点に君臨するロールス・ロイスとそのワールドクラスの人材を今日の地位まで成長させることができたのは、驚くべき冒険でした。私の優れたチームと私が果たした役割は、英国経済に大きく貢献し、英国が世界最高のラグジュアリー製品を生産する能力を世界的に認知させることであったと自負しています。
トルステン・ミュラー・エトヴェシュ
BMWグループの最高経営責任者であるオリバー・ツィプセ氏は「ロールス・ロイス・モーター・カーズは、私たちの組織の王冠を飾る宝石です。トルステンの卓越したリーダーシップ、揺るぎないコミットメント、明確なビジョン、そして強力で集中力のあるチームを構築する卓越した能力が、ロールス・ロイスを今日のようなワールドクラスのラグジュアリー・ブランドに育て上げました。私たちは、彼の今後の活躍を祈っています」とコメント。
商業的な面を見てみると、年間販売台数は(同氏の就任前である)2009年の約1,000台から2022年には6,000台以上に急増しており、さらに重要なことは、ウェスト・サセックス州グッドウッドにある同社のグローバル・センター・オブ・ラグジュアリー・マニュファクチャリング・エクセレンスから送り出されるロールス・ロイスのすべてがビスポーク(受注生産)であるということで、これの意味するところは「すべてのロールス・ロイスがオーダーメイドであるため、単価が非常に高くなり、売上高と利益の両方が飛躍的に増加した」。
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さらにトルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOの在任中、ロールス・ロイスは、世界有数のアーティスト、ファッションデザイナー、ラグジュアリーメゾンとの共同制作を含む、最も歴史的な”ワン・オブ・ワン”つまり真のワンオフモデルを数々を生み出すことに。
ビスポークは同社のコーチビルド部門において究極の表現となり、直近では雲上腕時計ブランド、オーデマピゲとのコラボレーションを実現したドロップテイル「ラ・ローズ・ノワール」を発表しています。
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2010年以降、ロールス・ロイスはこういった歩みを進めてきた
トルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏がCEOに就任した当時、グッドウッドで生産されていたのはファントムとゴーストの2モデルだけでしたが、彼のリーダーシップのもとでロールス・ロイス・レイスとドーンが発表され、ロールス・ロイス史上初のSUV、カリナンもついに登場。
さらに今年は、世界初の超高級電動スーパークーペであるスペクターが導入され、2030年末までに完全な電動製品ポートフォリオへの移行が開始されますが、同氏はまた、ロールス・ロイスのもうひとつの分身、そしてよりエッジーで破壊的なブラックバッジを考案し、発表したことでも大きく評価されています。
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こういった「ロールス・ロイスの製品ポートフォリオへの新モデルの導入、ビスポークの拡大、超高級車部門への明確な戦略的シフト」がロールス・ロイスにおけるルネッサンスと継続的なビジネス成功の原動力となったと言われ、結果として新世代の顧客をロールス・ロイスに惹きつけることに。
2010年当時、ロールス・ロイスの平均価格は約25万ユーロ、顧客の平均年齢は56歳だったものの、現在では平均価格は約2倍の約50万ユーロと拡大、一方で顧客の平均年齢はわずか43歳にまで引き下げられたことも大きく評価されている功績です。
トルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOのリーダーシップによるロールス・ロイスの成功は、今や英国経済に毎年5億ポンド以上の利益をもたらしているそうですが、その従業員も約300人から2,500人以上に増え、その国籍は50を超えるまでに成長しており、今や世界を代表するラグジュアリーメゾンとしての地位を確立したと言って良いかもしれません。
電気自動車の生産だけでなく、ビスポークやコーチビルドの需要にも対応するため、グッドウッドの敷地を大幅に拡張する計画を最近提出しました。私たちのビジネスのこれらの分野は、私たちを真に際立たせるものであり、私はそれを非常に誇りに思っています。
ロールス・ロイス・モーター・カーズを去るにあたり、私は新たな仕事への挑戦の機会を楽しみにしていますし、世界の素晴らしいフライフィッシングの川を訪れる時間をもう少し増やしたいと思っています。
クリス・ブラウンリッジがこの素晴らしいブランドの指揮を執ることを祈っており、私たちがこの14年間で築き上げたチームには、ラグジュアリー業界や自動車業界において最も才能があり、献身的で革新的な頭脳を持つ人々が含まれています。彼らが力を合わせることで、世界で他に類を見ないロールスロイスという会社の並外れた物語に、さらなる驚くべき章が付け加えられると確信しています。
後任となるクリス・ブラウンリッジ氏は1995年に新卒でBMWのグループへと入社し、その後約30年間をグループ内で生き抜いてきたセールスおよびマーケティングの真のエキスパート。
現職(BMW UKのCEO)に就任する前はBMW UKにおけるセールス・ディレクター、BMW UKマーケティング、MINI英国・アイルランド地域ディレクターなど、さまざまな職務に就いてきたことも紹介されており、本人からは以下のコメントが出されています。
このたびの就任は、光栄であると同時に、身の引き締まる思いです。この偉大な英国ブランドを、その長く目覚ましいストーリーの中で極めて重要な時期に率いるよう招かれたことは、特別な特権です。ロールス・ロイスは、世界で最も知名度が高く、魅力的で影響力のあるブランドのひとつであり、私はこのブランドが非常に大きな愛情と尊敬を集めていることを痛感しています。それは、その素晴らしい製品、顧客との緊密な関係、そして何よりも、私が参加しようとしている優れたチームへの賛辞でもあるのです。また、私たちが誇りとしている素晴らしい遺産の管理者であること、そして、私たちが行うことすべてが、そのユニークな遺産の上に築かれ、さらにその遺産を増やすものであることも意識しています。
CEOとして、トルステン・ミュラー・エトヴェシュのあとに就けることは行員です。14年間にわたる彼のブランドに対するビジョンと野心によって、ロールス・ロイスは今日、非常に強い立場にあり、将来への自信に満ちています。私は、ロールス・ロイスのストーリーの一部になれることを大変嬉しく思っており、私たち全員に待ち受ける挑戦と機会を受け入れることを楽しみにしています。
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参照:Rolls Royce