| ロールス・ロイスのメーターの場合、ガラスを使用しなくてはならない技術的な理由はないはずだ |
にもかかわらずガラスを使用するのは「美観」にこだわったからだろうとボクは推測
さて、ロールス・ロイスが日本国内でちょっと興味深いリコールを発表。
その内容は「メーターパネルの”ガラス”が事故の際に飛散し、乗員に怪我を与える可能性がある」というもの。
ロールス・ロイスの場合、(おそらく)その質感や高級感を重視し、樹脂製ではなくガラスを採用しているのだと思われますが、今回のリコールは図らずもそれが裏目にでてしまったということなのかもしれません。
今回、ロールス・ロイスが発表したリコールはこんな内容
そこで今回ロールス・ロイスが発表したリコール内容を詳しく見てみると、対象となるのは令和2年7月3日~令和4年12月1日に輸入された226台のゴーストのみ(金額を考慮するとかなり販売台数が多いと思う)。
不具合の内容としては以下の通りで、対策としてはけっこう簡素な「(飛散防止のための)保護フィルムを貼り付ける」。※ただ、これがもっとも有効な手段だと思われる
計器盤(インストルメントクラスター)のガラスにおいて、車体側面からの衝撃を受けたときの検討が不十分のため、重度の衝突事故発生時に当該ガラス面が割れて細かな破片が運転席へ飛散する可能性がある。そのため、当該破片により運転者が怪我をするおそれがある。
国土交通省
なお、今回のリコールはロールス・ロイスが本国にて実施した試験の結果に基づいて行われるもので、実際に(日本で)この問題が発生したのはゼロ、これに起因する事故ももちろんゼロだと報告されています。
ロールス・ロイスは「タコメーター」を持たない
ちなみにロールス・ロイス・ゴーストのメーターはこんな感じ。
3つのリングそれぞれにガラスパネルがはめ込まれるという構造を持っているようですね。
ちなみにですが、一番左端にあるのは「パワーリザーブ」メーターで、真ん中はスピードメーター、右端は燃料計と水温計。
つまりタコメーターはなく、パワーリザーブメーターが「あとどれくらいパワーを絞り出せるか」を”%”表示にて知らせてくれるわけですが(停止状態だと100%)、これはロールス・ロイスの伝統の1つです。
その理由としては、昔のエンジンは一般に非力だった(かつフレキシビリティに乏しかった)ので、クルマをより効率的に走らせようとなると適切な回転数を保つ必要があったものの、ロールス・ロイスの場合は「非常に強力なエンジンを積んでおり」、回転数など気にせず、いつでも必要なパワー/トルクを引き出すことができるという自信のあらわれだと聞いたことがあります(本当かどうかはわからない)。
これに近い理由にて、ハーレー・ダビッドソンは「数字に関係なく必要なパワー/トルクを引き出せるから」という観点から長らくパワーを公表してこなかったとも言われていますが、こちらも真の理由は不明です。
ちなみにこちらはピュアエレクトリック版、新生代のロールス・ロイス「スペクター」のメーター。
基本的な配置は変わらず、真ん中にスピードメーター、左にパワーリザーブ、右にはバッテリー残量と「あとどれくらい走れるか」という走行レンジが表示されます。
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