| ただし現時点ではどの商標をどのモデルに、そしてどう使うのかはわからない |
さらにフェラーリは「ドルチェヴィータ」なる商標も出願
さて、先日より報じられている「フェラーリの新規商標出願」。
これまでにはル・マン・ハイパーカーである499Pのロードゴーイング版と思われる商標、そして記念限定モデルや新型ハイパーカーに用いられる可能性が高い商標の出願が報じられていますが、今回は「カタログモデル」に使用されるのではと思われるものがいくつか報じられています。
まず先にそれらの商標を紹介しておくと、「296スペチアーレ」「296スペチアーレ・スパイダー」「296ムジェロ」「296ムジェロ・スパイダー」「モンテカルロ」「モンテカルロ・スパイダー」「ミラノ」「ミラノ・スパイダー」「ドルチェヴィータ」「500テスタロッサ」。
フェラーリはまだまだ新型車を発表予定
なお、フェラーリはカタログモデルの「寿命」を短くしてライフサイクルを短縮し、それによって1モデルあたりの生産台数を引き下げるという戦略を採用していると言われますが、これは言い換えれば「多品種小ロット化」。
フェラーリは営利企業であるので販売台数を伸ばさねばならず、しかし販売台数を増加させると希少性を担保できない可能性が出てきます。
よって販売台数を増加させながらも希少性を維持するために「モデルラインアップを増やし、しかしラインアップあたりの生産数を絞る」という手法を採用しているわけですが、現時点ではこれは非常に有効に機能していると考えてよいかと思います(ランボルギーニも同様の戦略を採用している)。
そしてこの戦略をさらに推進すべく、フェラーリは昨年に中期計画の一部として「今後5年で15モデルを発売する」という方向性を打ち出していて、今回出願された商標はそれらニューモデルを示唆するものということにもなりそうですね。
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ここでそれぞれを見てゆくと、「296スペチアーレ」「296スペチアーレ・スパイダー」は296GTB/296GTSのハードコアモデルであると捉えて間違いなさそう。
「296ムジェロ」「296ムジェロ・スパイダー」については現時点ではナゾのモデルということになりますが、これは296GTB/296GTSの後継モデルなのかもしれません。
一方の「モンテカルロ」「モンテカルロ・スパイダー」はローマの後継モデルだとも考えられ、高級ホテルやカジノ、そしてレストランが立ち並び、マリーナに高級ヨットが停泊するモナコを連想させるネーミングであり、「ポルトフィーノ」そして「ローマ」に通じるエレガントな雰囲気も感じられます。
こういった傾向を見るに、スポーツ系フェラーリには「ムジェロ」のようにサーキットの名称を与え、ライフスタイル系フェラーリには「モンテカルロ」のような高級リゾート地に関連する名称を与えるというのが今後のフェラーリの命名法則だとも推測できます。
加えてフェラーリは「ミラノ」「ミラノ・スパイダー」の商標も出願していて、これは「サーキット」「リゾート」に当てはまらないものの、イタリアにとって欠かせない重要な土地ということもあり、フェラーリを象徴するV12エンジンをフロントに積む812スーパーファスト / 812GTSの後継モデルに与えられる名称なのかもしれません(すべては推測でしかないけれど)。
さらには「どう使うのか」わからない商標も
加えてフェラーリは「ドルチェヴィータ」なる商標を出願していて、フェラーリはフェデリコ・フェリーニ監督の「甘い生活(原題:La dolce vita)」に着想を得て、ローマを発表する際のコンセプトとして(ティーザーキャンペーン含めて)この言葉を使用しています。
そしてローマは「甘い生活」の劇中での舞台となっていますが、実際に1950年代のローマの退廃的かつ耽美的な生活を表現したのがフェラーリ・ローマだとされるので、おそらく今後は「ドルチェヴィータ」という文字列を今後様々なキャンペーンにて使用することになり、もちろんローマの後継モデルにおいてもこのテーマが継続されるものと思われます。
もしそうだとすれば、ローマの後継モデルもまた、優雅でレトロなスタイルを持つものと考えて良いかと思いますが、この「ドルチェヴィータ」については「(ドルチェヴィータ)スパイダー」が登録されておらず、ここを見ても”車名ではないだろう”と判断していいのかもしれません。
そしてちょっとびっくりなのは「500テスタロッサ」なる商標。
テスタロッサとは、もともとエンジンヘッドカバーが赤く塗られていたことから「赤い頭」を意味するイタリア語が命名された1950年代の「500テスタロッサ(500TR)」がルーツであり、その後にV12エンジンをミッドマウントするスーパーカーに用いられたことでその名が広く知られることに。
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フェラーリがこの商標をどう使うのかはまったくわかりませんが、もしかするとICONAシリーズにて「テスタロッサを復活」させることになるのかもしれませんし(ただしICONAシリーズは、特定のモデルではなく複数モデルへのオマージュであることが一つの特徴でもある)、発表を控えているピュアエレクトリックハイパーカーにこれを使用するのかもしれません(このピュアエレクトリックハイパーカーについて、真正のフェラーリであることを示すために過去のアイコニックなモデルにインスパイアされたデザインを採用する可能性があると考えている。もしくは逆に、”未来”へと飛躍した、まったく新しいデザインを有するか)。
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参考までに、「テスタロッサ」の商標はすでに失効し他社に押さえられていると言われるので、今回フェラーリは「テスタロッサ」の商標を取得できず、よってかわりに「500テスタロッサ」となったのかもしれません。
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参照:CARBUZZ