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ブガッティ「EB110 アメリカ SS025」──前体制のブガッティCEOが所有していた希少な個体が現行ブガッティにてレストアを受け蘇る

ブガッティ「EB110 アメリカ SS025」──前体制のブガッティCEOが所有していた希少な個体が現行ブガッティにてレストアを受け蘇る

Image:Bugatti

| このシャシーナンバーSS025」はアウトモビリ・ブガッティ創業者、ロマーノ・アルティオーリガ所有していた個体でもある |

さらには同じ仕様の「チェントディエチ」とブガッティ本社前にて並ぶことに

ブガッティは2020年にスタートした車両認証プログラム「La Maison Pur Sang(ラ・メゾン・ピュールサン)」をスタートさせていますが、これはブガッティのヒストリックモデルから現代のモデルに至るまで、その価値を守るために車両の復元を行うプログラム。

参考までに、現在のブガッティは創業時のブガッティ、その後にEB110を手掛けたアウトモビリ・ブガッティとは拠点も資本も「全く別」の会社ではありますが、つまりは「以前の、そして別の法人が製造販売したブガッティであってもレストアを行う」ということになりますね。

そして今回、ラ・メゾン・ピュールサン(純血の家という意味)の対象となったのが、きわめて希少なEB110 America「シャシーSS025」です。

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ラ・メゾン・ピュールサンの使命

このプログラムは、オーナーに愛車のライフタイム記録を提供し、その価値を「保持する」だけでなく「正当に高めていく」ことを目的としていますが、生産当時の注文記録、組立変更ログ、整備履歴、テスト証明書などを徹底的に検証し、車両が持つ“物語”を丹念に紐解いてゆくことに。

ブガッティの専門家たちは、細部に至るまで正確な真贋鑑定を行い、オーナーと共にその歴史を再発見する──それは非常に感情的で特別な体験でもある、と説明されています。

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EB110 America SS025の軌跡

生産からデモカー時代へ

SS025はEB110 GTとEB110 SSを融合させた開発車両として誕生しており、(当時のアウトモビリ・ブガッティの生産拠点であった)イタリアのカンポガリアーノ工場を出た後、北米に渡ってデモンストレーションカーとして活躍した個体。

  • Robb Report誌の表紙を飾る
  • コンコルソ・イタリアーノでピープルズチョイス賞を受賞
  • シカゴオートショー出展(1995年)

その後、ヒストリックイベント「Trieste Opicina Historic」に参加し、2000年にはブガッティ復活の立役者、そしてアウトモビリ・ブガッティのCEOであるロマーノ・アルティオーリの手に渡ります。

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ブガッティブルーへの変貌

しばらくフランスにて保管されたのち、2007年には外装がGrigio Chiaro(グレー)からBugatti Blu(ブルー)へと変更されたそうですが、その鮮烈なカラーは世界中のファンを魅了し、以下のような数々の舞台にて脚光を浴びたのだそう。

  • 英国「サロン・プリヴェ」出展
  • 雑誌「Octane」表紙掲載
  • TV番組「The Grand Tour」でジェレミー・クラークソンによる特集
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3人目のオーナーと”象徴的な”再会

2013年以降、英国のコレクターによるを経てステファノ・マルティノーリ氏が3人目のオーナーに。

この時、かつてのオーナーであるロマーノ・アルティオーリ氏と愛車を介して再会するという象徴的な瞬間が生まれたとされ、さらにこのSS025はEB110を現代に蘇らせた限定モデル、ブガッティ・チェントディエチ(Centodieci)と並ぶ機会を得ることにより、シャトー・サン=ジャン(現在のブガッティの生産拠点)にて両雄が時代を超えて顔を揃えるという”歴史的瞬間”も実現しています。

ブガッティ・チェントディエチ

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ブガッティが限定10台、10億円のハイパーカー「チェントディエチ」第一号の生産を完了し納車を実施。なおオーナーはEB110も所有
ブガッティが限定10台、10億円のハイパーカー「チェントディエチ」第一号の生産を完了し納車を実施。なおオーナーはEB110も所有

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ブガッティが守る「価値」と「伝統」

つまるところ、このEB110 America SS025は、「数少ないEB110の中でもさらに特別な存在であり」、その正統性と完全なオリジナリティを証明された存在として、今もオーナーの誇りと共に輝き続けているわけですね。

「伝統と遺産を守ることはブガッティの使命です。オーナーと共に車両の真実を探り、その価値を高めることこそが、ラ・メゾン・ピュールサンの役割なのです。」

ブガッティ ヘリテージ&サーティフィケーション エキスパート ルイジ・ガッリ


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まとめ

EB110 America SS025の物語は、ブガッティが掲げる「遺産の継承」と「価値の保存」のまさに象徴。

ラ・メゾン・ピュールサンは、単なる認証ではなく、オーナーと共に歩む“感情的な旅”を提供しているといえそうですね。

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