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アウディが今年5月に開始した上海汽車とのEV合弁による成果として早くも11月にコンセプト発表、来年には実際に発売。このスピードこそがアウディが求めたものなのかも

アウディ

| やはり中国の自動車メーカーの開発速度はとんでもない速さである |

この戦略が成功すればほかブランド、自動車メーカーもこの例に倣いそうだ

さて、今年5月20日にアウディとSAIC(上海汽車)は、中国市場に特化した高級スマート電気自動車を共同開発し、先進デジタルプラットフォームを構築する協力協定を締結していますが、なんとそのプロジェクトから誕生した新型エレクトリックコンセプトカーが11月にも発表され、2025年後半に市場へと投入されるとの報道。

この開発スピードの速さは驚きそのもので、提携から半年でコンセプトカーが完成し、その半年後には市販が開始されるということになりますが、これは日米欧の自動車メーカーの開発スピードの「3倍以上」の速さであり、この”チャイナスピード”こそがアウディが期待していた成果ということになりそうです。

そしてもちろん開発期間の短さは低コストにも繋がり、開発段階にて省略されたいくつかのテストもまたコスト削減に直結し、結果的に「安いEV」を作ることが可能となるわけですね(中国製EVは補助金によって安く作られていると言われがちではあるが、実はこういった開発コストの低さもまた低価格に連結している)。

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アウディが中国・上海汽車とEVの共同開発に合意。アウディは上海汽車に助けを求める形となり「アウディにできないことが上海汽車には可能」ということに

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さらにこのジョイントからは「3つの」EVが誕生

このスケジュールについてはアウディとSAICによる共同プロジェクトのCEO、フェルミン・ソネイラ氏によって明かされており、生産は上海のSAIC-フォルクスワーゲン安亭工場にて行われ、さらには最初の車が発売されてから18か月以内に”SUVと大型セダン”が続き、合計3つの新しいモデルが市場へと投入されるそうですが、これはアウディが単独でEVを開発した場合と比較すると「とんでもなく」早い展開であり、この成果はアウディはじめフォルクスワーゲンにも取り入れられることになるのかもしれません。

そしてもうひとつの成果が「スマート技術」であり、これは中国の自動車メーカーが発表する新型車を見てもわかるとおり「中国車はコネクティビティ技術はじめスマート技術が満載」であり、というのも「中国の若い顧客層は自動運転や車両コネクティビティなどのスマート技術を重視するから」。

そして中国におけるアウディの顧客の平均年齢は35歳だといい、これはほかの市場での「55~60歳」に比較してずっと若い数字です。

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こういった事情もあり、アウディとSAICとのジョイントプロジェクトにおいては「ハイエンドのインテリジェンス」が一つのターゲットとなっており、デザインとインテリジェンスの面で若い世代、特に新しい技術や新しいコンセプトを受け入れるハイエンドな顧客層をターゲットにしているのだそう。

ただしいかにスマート技術を売り物にするといえど、このアウディの新型車はSAICとアリババ等の合弁によって立ち上げられたIMモーターズ(インテリジェンス・イン・モーション)の車両のリバッジ版にはならないともコメントし、「ちゃんとアウディのクルマになる」とも。

一方、この新型車は従来のアウディとは「あまりにかけはなれたクルマ」になるとされ、よってアウディはブランドイメージを保護するためにフォーリングス(アウディのエンブレム)をこのクルマにあ与えないとすら言われていますが、これは実際に発表されるまでは「わからない」ところです。

アウディ
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なお、フォルクスワーゲングループは中国市場への依存度が高く、しかし現在中国市場にて売上を失いつつある状態でもあり、このアウディの新型車のように「デザインや機能を中国向けにシフトさせる」とも言われていて、その新しい方針を表すクルマが今年11月に発表されるコンセプトカーということになりそうですね。

フォルクスワーゲン
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参照:VW Group China

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