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アウディがF1参戦を本格始動。次世代F1マシン「R26コンセプト」は4つのリングが切り拓く新時代の象徴に。目標は「2030年にチャンピオンシップ獲得」

アウディがF1参戦を本格始動。次世代F1マシン「R26コンセプト」は4つのリングが切り拓く新時代の象徴に。目標は「2030年にチャンピオンシップ獲得」

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| R26コンセプトは「新しいアウディ・デザインアイデンティティ」の第一弾 |

近年、レーシングカーと市販車とのデザイン的境界線が「より接近」している

アウディが2026年からF1に正式参戦するにあたり、その象徴となるマシン「R26コンセプト」を公開。

これは実際のF1マシンそのものではないとされ、しかしアウディが掲げる“フォーリングスの新時代”を象徴する重要なモデルである、とアナウンスされています。

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R26コンセプトには市販車と共通するデザインも

アウディのプレスリリースによると、R26はブランドの新たなビジュアルアイデンティティの“最初の表現”のひとつであり、このデザイン言語が今後の市販車にも反映される、とのこと。

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ボディカラーのシルバーは「チタニウム」、アクセントとなる赤は新色「Audiレッド(またはLavaレッド)」。

この赤は今後、RSモデルなどハイパフォーマンス車のスプリングカラーにも採用される見込みだといいますが、「スパっとカラーリングを分ける」という手法は直近で発表されたコンセプトカー「コンセプトC」にも見られ、つまり現在のアウディでは「市販車とレーシングカーとがシンクロする」という傾向、そして方向性を見て取ることも可能です。

なお、この「市販車とレーシングカーとがシンクロ」というのは近年のフェラーリ、そしてランボルギーニやBMWでも顕著な傾向ですが、レースでの成功が市販車販売に直結するのは現在の自動車業界の常識であり、F1人気が過熱する今、アウディがF1へと本格参戦し、そのイメージを市販車へと落とし込むというのは極めて自然な流れ、そして戦略的な動きといえそうです。

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参考までに、2024年シーズンのF1総視聴者数は16億人、そのうち3分の1が35歳未満、1億2000万人が女性視聴者とされ、アウディが狙う“次世代顧客層”との親和性も高く、アウディとしてはF1参戦を大きなビジネスチャンスと見ているのは間違いなさそう。

そしてもうひとつ、「市販車とレーシングカーとがシンクロする」理由としては、「ロードカーのエアロダイナミクスが極度に高度化し」、モータースポーツ由来のテクノロジーを取り入れるレベルにまで引き上げられているということを意味しているのだと理解していますが、かつては同じ自動車メーカーであっても、「レーシングカーはモータースポーツ部門で」「市販車は市販車部門で」と切り分けて車両が開発されていたものの、今では「両部門が手を取り合い」、ときにはデザイナーやエンジニアが両部門を「兼任する」例が出てきているのかもしれません。※さらにいえば、損益に関する計算も「モータースポーツ部門と市販車部門とで」合算する例もありそうだ

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■アウディはモータースポーツの名門

近年だと「アウディ=モータースポーツ」というイメージはあまり沸かないものの、アウディといえば1980年代のWRCで「クワトロ」によって世界を席巻したことで知られた存在で、その後もDTM、ル・マン、ダカール・ラリーと、ほぼすべての主要カテゴリーで勝利を収めてきたという歴史を持っています。

特に2024年のダカール・ラリー優勝は、自社開発の電動駆動システムを搭載した「RS Q e-tron」によって達成したもので、電動車で世界一過酷なレースを制した初のメーカーとなっており、つまりアウディは「新しいテクノロジーをもってモータースポーツの歴史を塗り替えてきた」自動車メーカーでもあるわけですね。

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そしてアウディCEOのゲルノット・デルナー氏は「2030年までにF1世界チャンピオンを狙う」と明言し、その決意の強さがうかがえるとともに、大きな期待もかかります。

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■フェラーリ元代表ビノット、レッドブル出身ウィートリーらが加入

アウディにおけるF1プロジェクトの総責任者は元フェラーリ代表のマッティア・ビノット。

フェラーリでは不振の責任を取らされた形となりましたが、彼の離任後もフェラーリは混乱を続けており、つまりフェラーリ不振の原因は彼にあったわけではないのかも(アウディもそれを理解しており、ビノット個人の能力が評価されてのアウディ招聘となっている)。

さらにレッドブルで成功を収めたジョナサン・ウィートリーも加入し、チーム体制は極めて強力なものとなっています。

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■唯一の“ドイツ製F1エンジン”

アウディは既存チームをリブランドするのではなく、サウバーを買収して独自の開発体制を構築するという手法を選択。

2026年以降は唯一のドイツ製F1パワーユニットを搭載するチームとなりますが、このエンジンは2022年から開発が始まり、2023年秋には最初の1.6リッターV6ハイブリッドが始動ずみで、すでに2027年・2028年仕様の改良版にも着手しているといわれます。

2026年の新レギュレーションでは、内燃機関の出力が536hp(400kW)に制限され、これに469hp(350kW)の電動モーターが加わることで合計出力は1005hpに達し、その反面、車重は(車体がコンパクトになることもあって)わずか737kg。

これまでで最も速いアウディが誕生する可能性が高く、今後の情報公開が待ち遠しい、といったところですね。

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■“技術による先進”の哲学を再び証明する舞台

アウディはスローガンとして「Vorsprung durch Technik(技術による先進)」を掲げていますが、今回のF1により、世界最高峰の舞台で再びそれを証明しようとしているのが最新の挑戦です。

WRCではAWD革命を起こし、ル・マンではディーゼルで勝利し、ダカールではEVで頂点を極めたアウディ。

その歴史を踏まえれば、F1での成功も“時間の問題”かもしれません。

「2030年までに世界タイトルを獲る」――そう語るアウディに賭けるのは、決して愚かではない、とも考えられます。

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参照:Audi

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