| なんだかんだいいながら、やはりBMW XMのインパクトは凄まじいモノがある |
相当に高額だが、他社のSUVとは差別化ができているように思う
BMWが史上2台目、1970年代のM1以降となる「M専売モデル」、そして「M史上最もパワフルなモデル」として新型XMを公開。
すでにXMコンセプトとして公開され、パテント画像もリークされていたものの、それでもオフィシャルフォトを見ると「おお・・・」と驚かされるほどのインパクトを持っています。
なお、BMWは久しぶりのM専売モデルを発売するに際してスポーツカーではなく高級SUVを選んでいますが、その理由としては「SUVがもっとも高性能車をアピールするに適したセグメント」であり、かつ「BMWはそのセグメントにおいてライバルを圧倒するクルマを持たなかったから」。
BMW XMの概要はこうなっている
そこでまずはこのBMW XMの概要についてですが、北米価格は159,000ドル、つまり日本円にすると現在の為替相場にて約2300万円。
BMWはこのXMについて「M社初の電動パワートレインを搭載した車両」だとコメントしており、ただしこの”初”はMパフォーマンス、Mライト(M+2ケタ以上)を除いて、ということになります。
搭載されるのは4.4リッターV8ツインターボ、27.5kWhサイズのバッテリーを備えるハイブリッドシステム。
これによって約140km/hの速度までにおいて、EVとして50kmを走行できることになりますが、ほかのPHEVに比較してEVモードでの航続距離が短いのは「パフォーマンス重視型PHEV」だからだと言われます。
4.4リッターV8ツインターボエンジンは490馬力を発生し8速ATに連結されますが、8速ATの内部には197馬力を発生するエレクトリックモーターが1基仕込まれ、システム合計では653馬力を発生することに。
なおBMWは来年夏に「XMラベル・レッド」と呼ばれるハイパフォーマンスバージョンを発表する予定を持っているといい、こちらは新型M5と同じパワートレインを搭載し745馬力を発生する、とも予想されています。
ちなみにこのXMの車体重量は2,750kgとアナウンスされているので、とんでもなく重い車ということになりますね
そしてBMW XMは、その重量に起因してか0-100キロ加速には4.1秒を要し、M3やM4はもちろん、X6 Mよりも「遅く」、もちろんポルシェ・カイエン・ターボS Eハイブリッドの3.6秒にも遅れを取るタイム。
XMの最高速度は250km/hに制限され、オプションのMドライバーズパッケージを装着すれば275km/hまで引き上げることが可能ではあるものの、これでもポルシェ・カイエン・ターボS Eハイブリッドの295km/hには及ばず、充電時間についてもポルシェ・カイエン・ターボS Eハイブリッドの2時間に対してBMW XMでは「3.25時間」。
ただしBMW XMには新機軸も
しかしながら数字だけで語ることができないのが新型BMW XMで、BMW XMによると、エレクトリックモーターのローターとオートマチック・トランスミッションの入力軸との間に「プリギア」を設け、これによってモーターのトルクを281Nmから450Nm) に増大することができるといい、「高速道路での追い越し」といった実用面にて大きな威力を発揮するようですね。
加えて、既存車両を電動化したのではなく、専用設計を持つために重量配分を最適化できたといい、ロングホイールベース、ワイドトレッド、ほぼ50対50の重量配分、バッテリーパックをフロア下に配置することで得られる低重心などの組み合わせにより、XMは性能と快適性を高い次元でバランスしている、とアナウンスされています。
駆動方式はもちろん4WDでで、「スポーツ」モードだとトルク配分が後輪寄りとなり、Mスポーツ・ディファレンシャルは外輪にパワーをシフトして舗装路面でのターンインをサポートして「駆動力で曲がる」性格を強め、さらには完全にロックして砂丘を力強く走破したりすることが可能となっています。
加えてXMは電動式アンチロールバーによるアクティブ・ロール・スタビライゼーションを標準装備し、「Mカー」として初めてリアアクスル・ステアリングを搭載することに。
ホイールは21インチから23インチまでが揃い、しかしこれは市場によって適切なサイズが装着されるとアナウンスされています。
ホイールセンターキャップは新デザインですね。
BMW XMの外観はこうなっている
そしてこのXMの外観を見てみると、やっぱり最大の特徴はその「キドニーグリル」。
おそらくはBMW史上最大だと思われますが、新型M2では「フレームレス」デザインを採用するのに対し、XMではしっかりしたフレームを持っており、BMWはキドニーグリルを様々な形態に(車両に合わせて)変化させているようですね。
そしてこのグリルフレームは、XMコンセプト同様に「発光」して周囲を威圧します。
逆にXMコンセプトにあったワイドなテールランプ、フラッシュマウント・ドアハンドルが無くなっているもよう。
そしてドアハンドル表面には最近BMWがよく用いている「ピラミッド」状のディティールも。
なお、オプションパッケージがいくつかあり、こういった「全身ブラック」仕様を選ぶこともできるようですね。
新型7シリーズ/i7でも採用されていましたが、なんともイカツイ雰囲気へと様変わりします。
ちなみにリアウインドウ左右にはBMWのエンブレムが付与されていますが、これはM1へのオマージュなのかもしれません。
一方で「ナイトゴールドメタリック」の外装オプションを採用するとキドニーグリルやウインドウモール、ホイール、リアディフューザー、バッジなどがゴールドに。
この「ゴールド」はコンセプトM8にて採用され、それ以降BMWが好んで用いる仕様でもありますね。
新型BMW XMのインテリアはこうなっている
そしてXMのインテリアを見てみると、電動モデルのフラッグシップである「iX」ほど未来へ進まず、比較的「普通」という印象。
シートはかなり肉厚です(4シーターのみ)。
ただしこれまでのいかなるBMWよりもラグジュアリーといった雰囲気があり、上質な素材の多用が(画像を見るだけでも)伝わってきます。
なお、シフトレバーは「クリスタル」ではなく金属調の素材にて構成され、レザー部にはMカラーのステッチ入り。
ルーフにはアルカンターラ、そして多角形をモチーフにした立体的な加工も。
もちろん様々な選択肢があるかとは思いますが、レザー(ブラウンの部分)はクラシカルなマーブル風のテクスチャを持っています。
このレザーはおそらくオプションの「ヴィンテージ・コーヒー・メリノ・レザー」だと思われますが、最近の高級車、そしてとくに電動モデルでは「ヴィーガンレザー」が主流ではあるものの、BMWは今回伝統の「メリノレザー」を前面に押し出した、ということに。
スピーカーグリルも見るからに高級(Boweres & Wilkins製)。
BMW XMの機能/特徴を紹介する動画はこちら
参照:BMW