| 信じられないが、1990年台はじめにポルシェはメルセデス・ベンツ500Eというクルマを生産していた |
メルセデス・ベンツ500Eは「ポルシェが設計・製造したメルセデス・ベンツEクラスのハイパフォーマンス版」として知られますが、その500EをベースにAMG(当時はまだメルセデス・ベンツの傘下ではない独立チューナー)がカスタムした「E60 AMG」なるレアモデルが存在した模様。
なお、このE60 MAGについて正確な生産量は記録になく、「100台から150台位」と言われているようですね。※500Eは10,479台が製造されている
今回このメルセデス・ベンツE60 AMGを販売しているのはオランダのディーラー「Auto leitner」で、その価格は邦貨換算で2000万円弱。
メルセデス・ベンツ500Eの相場でも700万円くらいなので、この「2000万円」というのは以上というよりほかない価格ですが、その希少性を考えると”妥当”な価格なのかもしれませんね。
まずメルセデス・ベンツ500Eはこんなクルマ
メルセデス・ベンツ500Eは、1980年代末期に「車が売れず、仕事がなかった」ポルシェに対し、メルセデス・ベンツがその開発と製造をポルシェに委託したクルマ(製造は1991-1995)。
つまりは「状況を見かねた」メルセデス・ベンツがポルシェに仕事を与えて助けたということになります。
これはW124世代のEクラスをベースにしており、サスペンション等のセッティングをポルシェが行ったもので、しかしポルシェが一切妥協しなかったために「やたら高価に」なってしまい、その結果”わずか”10,479台の販売にとどまったという(メルセデス・ベンツにとっては)失敗作。
おまけにポルシェはメルセデス・ベンツに相談することなくアウディと手を組んで「元祖RSモデル」となるRS2を開発してしまい、これがメルセデス・ベンツの逆鱗に触れて500Eの生産は終焉を迎えることとなっています(その空いた生産ラインでRS2を生産した)。
つまりメルセデス・ベンツからすると「恩を仇で返された」ことになるのかもしれませんね。
メルセデス・ベンツE60 AMGはこんなクルマ
そしてその500EをベースにAMGがさらにチューンしたのがE60 AMGで、エンジンは500Eの5リッター326馬力から6リッター381馬力へ。
さらにはAMGチューンのサスペンション、17インチのAMGホイール(3ピースのディッシュデザインが懐かしい)、AMGエアロパッケージ、AMGエキゾーストシステムが装着されています。
この個体に関しては、ボディカラーが「シグナルレッド」、当時オプション扱いだったエアコンやパワーウインドウが装着され、そのほかにクルーズコントロール、ボーズサウンドシステム、フロントスポーツシート、ヒーター内蔵電動ミラーが追加。
なお、パフォーマンス面だと0-100キロ加速は5.4秒(当時の基準だと相当に速い)、最高速度は250キロ(紳士協定による制限。メーターは300キロスケール)。
「レッド」は(とくにEクラスでは)なかなかに珍しいカラーではありますが、まさかこのクルマがそんなにレアで、かつそれだけの価値があると分かる人は少ないはず。
なお、内装はちょっと変わったデザインを持っており、部分的にレッドとブラックのマーブル模様のようなレザーが使用されていますね。
シート中央やステアリングホイールにもレッドとブラックレザー。
走行距離は71,014キロ。