| 意外なことに複数台が製造されて販売されたらしい |
ホールマン・インターナショナルにて、「本来は存在しない」はずの2ドアクーペボディを持つマイバッハ57が販売中。
これは”Xenatec”なるコーチビルダーによって4ドアセダンから2ドアクーペへとコンバートされた個体だそう。
なお、これは誰かがオーダーしたものではなく、このXenatecが独自に製作して売り出していた車両となり、現在、中古車としての価格は(邦貨換算にて)7650万円ほどで販売されています。
欧州では「コーチビルダー」が今も活躍
これまでにもいくつか「4ドアを2ドアに」というカスタムが登場していますが、これは言うほど簡単なものではなく、もっとも困難なのは「Bピラーの処理」。
ドアを長く作り直すためにBピラーを後ろに移動させなくてはならず、その場合はいったん車体を半分にカットする必要があるほどの工事を伴います。
さらにはボディ剛性、ちゃんとドアが閉まるか、チリが合うのか、後々ずれてこないか等の問題をクリアする必要があり、「相当に難しい」カスタムだということに。
過去にはベントレーの2ドア化がいくつか見られ、「デ・トマソ・パンテーラ」を現代風にアレンジしたクルマを発売したアレス・デザインが過去にベントレー・ミュルザンヌの2ドア版(ミュルザンヌには4ドアしかない)を発売したこともありますね。
ベントレー自身も、自社のパーソナリゼーション部門「マリナー」にて製造したミュルザンヌの2ドア、しかもオープンモデルをリリースしていますが、こちらの価格は3億9000万円。
つまり、メーカーが自らカスタムすると「それくらいコストがかかる」のが2ドア化ということになります。
マイバッハ57クーペはこんなクルマ
今回のマイバッハ・クーペを見るに、まるで”最初からクーペであったかのような”美しさを持っており、そこに違和感はまったくナシ。
ただし、さすがにコーチビルダーが手掛けるだけあって「内外装のほぼ全て」に手が入っているように見え、たとえばフロントだとグリルすらもオリジナルに。
一見するとマイバッハ純正のように見えますが、フレームが太くなり、縦方向のルーバーがダブルになるなど、押し出しが強くなっているようです。
数少ない「純正パーツ流用」がこのヘッドライト。
さすがにヘッドライトを自前で製造するのはハードルが高かったのだと思われます。
フロントバンパーもオリジナル形状へと変更され、下部にはLEDデイタイムランニングランプ装着。
グロスブラックのガーニッシュが取り付けられ、ボディカラーとのコントラストがいい感じですね。
なお、ボディ各部に見られるブラックのラインはペイントではなく立体的な「モール」。
ちなみにこちらがカスタム前(つまり純正状態)のマイバッハ57。
この時代のマイバッハメルセデス・ベンツとはブランド的に切り離されており、独立して「マイバッハ」を名乗っていたのが特徴。
このマイバッハ57(全長5,723ミリ)のほか、さらに長いマイバッハ62(全長6,165ミリ)が発売されています(発売はともに2002年)。
なお、販売者によれば、マイバッハ57クーペに搭載されるエンジンは6リッターV12ツインターボ、出力は612馬力。
この数字を見る限り、エンジンには手が入っていないということになりそうです(純正状態のまま)。
テールランプはもともとのマイバッハ57からの流用であるように見え、リアバンパーのアンダー部にはディフューザーが設けられ、新しい形状が与えられたテールパイプがバンパー内にインテグレートされています(リアディフューザー部分はボディ同色化されるなど、かなり現代的)。
マイバッハ57クーペのインテリアはこうなっている
Xenatecではもちろんインテリアにも手を入れておりカラーはホワイトとロイヤルブルーに張替え済み。
このホワイトとブルーというのは中東で好まれるコンビネーションでもあり、中東の顧客(が買ってくれること)をイメージしたのかもしれませんね。
シートはもちろんヒーターとベンチレーションつき、そして表皮はパーフォレイテッド(穴あき)。
後席には「アダプティブインテリアライト」が装着されています。
ルーフにはレトロなアナログ式のスピードメーター、時計、そして温度計。
見たところカーペットやルーフも張り替えられているようですね(一旦車体を切断しているので、当然といえば当然か)。
後席はこんな感じ。
冷蔵庫に折りたたみ式テーブル、DVDプレーヤー等が装着されています。
このマイバッハ57クーペの初回登録初回登録は「2011年」。
マイバッハ57は2013年に販売が終了しているので、けっこう「あとのほう」の生産ということになりそうです。
VIA:HOLLMAN INTER NATIONAL