| 新型メルセデス・ベンツEクラスがEQ顔になったのはちょっと意外だったが |
しかも現行のいずれのモデルとの共通性がない波型ヘッドライト
さて、ちょっと前から増加している「中国経由での新型車リーク」。
その理由としては、現在多くの自動車のサプライヤーが中国に存在するためだと思われますが、今回はフルモデルチェンジ版となる新型メルセデス・ベンツEクラスのフロント、そしてダッシュボード周りの画像が公開されることに。
これを見ると、Sクラス同様の「3本」バーを持つフロントグリルを採用していることがわかりますが、そこから左右に黒いパーツが伸びてヘッドライトと一体化していることも見て取れます。
新型メルセデス・ベンツE」クラスは「EQ顔」に?
この「グリルとヘッドライトを、ウイング状のパーツで連結する」手法については現在いくつかの自動車メーカーが採用していて、ホンダやマツダもその一部。
ただ、メルセデス・ベンツも「EQ」シリーズにてこの手法を採用しており、新型メルセデス・ベンツEクラスはこのEQ顔の近づくと考えていいのかもしれません(下の画像はメルセデス・ベンツEQB)。
しかしながら、ここで「えっ・・・」と思うのはヘッドライト下側が波型の形状を持っていること。
これは現行メルセデス・ベンツいずれのモデルにも見られないもので、メルセデス・ベンツは新型Eクラスの顔つきをほかモデルとは大きく変えてくるという事実を意味します。
ちなみにメルセデス・ベンツEクラスは過去にもユニークなヘッドライトを採用した例があり、代表的なのは1995年発表のW210(楕円形ヘッドライトが2つ並んでいた)。
これはW211(2002年)にも採用され、W212(2009年)では角型へと変更され、「大小2つのライトユニットが並ぶ」のはEクラスの大きな外観的識別点となっていたものの、W213(2016年)では当時重視していた中国市場での(”個”としてよりもブランドとしての)プレゼンスを高めるためにCクラスやSクラス同様の顔つきを持った金太郎アメ戦略へと移行しています(この時期、メルセデス・ベンツのみではなくBMW、アウディも同様のデザイン戦略をとっていた)。※メルセデス・ベンツEクラスの歴史は、メルセデス・ベンツLIVEでも紹介されている
メルセデス・ベンツEクラスにクラスはいつの時代も革新的デザインを持っていた
つまりメルセデス・ベンツEクラスは、1990年代~2000年代に「個性ある顔つき」を持っていたものの、同時期のCクラス(W203、W207)やSクラス(W220,W221)はここまで個性的ではなく、ヘッドライトは「分離」ではなく「連結」デザインを保っていたことも注目に値するポイント。
この(Eクラスだけが個性的であった)理由は不明ではあるものの、Cクラス、Eクラス、Sクラスというモデルラインアップ間の差別化を行いたかったということはもちろん、それぞれの顧客を分析した際、Eクラスの顧客が比較的「新しいものを取り入れる姿勢が強く、さほど保守的ではないとわかかった」のかもしれません。
参考までに、BMWは「4シリーズと7シリーズの顧客は奇抜なデザインを好むが、3シリーズと5シリーズの顧客はそうではない」としてそのデザインを大きく分ける方向性へとシフトしていますが、メルセデス・ベンツも同様の方向性を打ち出す可能性もありそうですね。
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今は再び「個性」の時代に
いずれにせよ、メルセデス・ベンツは「金太郎飴」時代に終わりを告げ、モデルごとに個性を持たせる時代へと再び歩みを進めることになるものと思われますが、これもまた「中国市場の変化」が理由だとも言われます。
どういうことかというと、1990年代~2000年代はまだ中国で自動車が普及し始める初期段階にあり、そこでは各ブランドのデザインが浸透しておらず(多くの人にとって自家用車を持つということが現実的ではなく、自動車に対する関心がさほど大きくなかった)、よって各自動車メーカーは「これが自社の特徴的なデザインである」ということを中国市場の潜在顧客に周知させるため金太郎飴デザインを採用したわけですが、現在の中国では誰もがメルセデス・ベンツの名、そしてスリーポインテッドスターを認識できるまでになっていて、その状況において金太郎飴デザインを採用すると「自社のラインアップ間で食い合いが起きる」うえ、没個性的になってしまい、市場における存在感を発揮できなくなることに。
そこで各自動車メーカーは、次のステップへと進むことになり、ラインアップごとに個性をもたせ、「このモデルはこういった人に」といった明確なペルソナを付与したデザインを行い始めているという段階です。
今回の新型Eクラスのスパイフォトを見ると、かつてのSクラスやCクラスやクラスのような「ピーナッツランプ」を思い出さずにはいられませんが、現在大流行中のスプリットヘッドライトを採用しなかったのはちょっと意外。
このスプリットヘッドライトは、ロールス・ロイス・スペクター、フェラーリ・プロサングエ、BMW 7シリーズなどが採用するもので、ヘッドライトを「細くシャープに」見せっることで車体を大きく、かつ未来的に見せていて(ただしそれはヘッドライトではなくデイタイムランニングランプなのだけれど)、中国市場でもかなり好まれるデザインのひとつ。
しかしながらメルセデス・ベンツはこれを取り入れずに「大きなヘッドライト」を新型Eクラスに与えていて、これは非常に興味深いところである、と考えています。
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新型メルセデス・ベンツEクラスの内装パーツはこんな感じ
そしてこちらは今回リークされた新型メルセデス・ベンツEクラスのダッシュボードまわり。
大きな液晶メーター、そしてタッチパネル式と思しきインフォテイメントシステムを確認でき、EQSの「ハイパースクリーンなし」仕様とよく似ているように思われます。
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エアコン吹き出し口はダッシュボードとダッシュパネルとの間にビルトイン。
ステアリングホイールはおそらくSクラスと同じ。
新型メルセデス・ベンツEクラスはおそらく2023年の早い時期に発表されるものと思われますが、おそらく「他のメルセデス・ベンツのラインアップとは大きく異る」であろうその姿には期待したいと思います。