| メルセデス・ベンツSLRマクラーレンの輝きは今でも色褪せることがまったくない |
もう二度と「メルセデス・ベンツ、マクラーレン、AMG」のトリプルコラボが実現することはないだろう
さて、マクラーレンが「メルセデス・ベンツSLRマクラーレン」の誕生20周年を記念し英国ウォーキングにあるマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC=マクラーレン本社)にて記念イベントを開催した、とアナウンス。
マクラーレンは今回のイベントにあわせ、SLRスターリング・モス、SLR by MSO、SLR 722 GTプロトタイプ、2023年に改めてアップデートされたSLR HDKという4つのバージョンを展示しその歴史を祝うこととなったようですね。
メルセデス・ベンツSLRマクラーレンはこんなクルマ
このメルセデス・ベンツSLRマクラーレンの歴史は、マクラーレンとメルセデス・ベンツがF1においてパートナー関係を構築していた1990年代半ばにまでさかのぼることができ、1998年のコンストラクターズチャンピオン、1998年、1999年のドライバーズチャンピオンに輝いたマクラーレンが「その栄光を顧客と分かち合いたい」と考え、そこでSLRの企画が誕生したのだそう。
そして1999年のデトロイトモーターショーでプロトタイプ(ヴィジョン・スーパー・ライヒト・レンシュポルト=スーパー・ライト・レーシング)が発表されることになりますが、同年末のシルバーストーン・グランプリの場でこの生産が決定され、2003年のフランクフルト・モーターショーに展示された後に「メルセデス・ベンツSLRマクラーレン」2004年モデルとして発売されることに。
搭載されるのは最高出力626psのスーパーチャージャー付きV型8気筒エンジン、これに組み合わせられる5速スピードシフトATはAMGが開発・組み立てを担当し、これによってメルセデス・ベンツSLRマクラーレンは0-100km/h加速3.8秒、1/4マイル加速11秒強、最高速度330km/hを達成することになりますが(オートマチック・トランスミッションを搭載したクルマでは最も加速が速かった)、この圧倒的な速さを制御するため、センソトロニック・ブレーキ・バイ・ワイヤーが採用され、カーボンセラミックディスクブレーキと自動エアブレーキも装備されることに。
ちなみにブレーキングパワーが強くなるにつれストップランプの明るさが増すという仕掛けも内蔵されています。
まずは2004年に「SLRマクラーレン」からスタートした後に「SLRマクラーレン722エディション」「SLRマクラーレンロードスター」「SLRマクラーレン722Sロードスター」「SLRマクラーレン722GT」「SLRスターリング モス」といったバリエーションを拡大しつつ、結果的に2,157台が製造されています。
なお、現在でもこのメルセデス・ベンツSLRマクラーレンを開発した当時のオリジナルメンバーが残っており、イベントではチームの功績を称える行事が催され、そして開発段階におけるパーツなども展示されたといい、メルセデス・ベンツSLRマクラーレンのオーナーで構成される「SLRクラブ」のメンバーも馳せ参じています。
参考までに、メルセデス・ベンツSLRマクラーレンのコードネームは「プロジェクト7」と命名され、マクラーレンによる画期的なカーボンファイバー製シャシーとメルセデス・ベンツ(AMG)の伝説的なエンジン技術の融合でもあり、元マクラーレンF1チームのメカニックとメルセデス・ベンツのエンジニアによってハンドビルドによる生産がなされることに(MTCで生産された最初のクルマがこのメルセデス・ベンツSLRマクラーレンである)。
その後2009年になるとマクラーレンとメルセデス・ベンツはパートナーシップを解消してたもとを分かつことになりますが、2011年にはメルセデス・ベンツSLRマクラーレンの開発・製造にて培ったノウハウを元に(マクラーレンとしては初となる自社名義の)MP4-12Cを発表し、その後の720Sでは「無敵」の称号を手にするまでとなるわけですね。
パートナシップ解消後もマクラーレンはこのクルマをバージョンアップ
なお、2009年に提携を解消したといえどマクラーレンはその後もSLRマクラーレンをアップデートし続けており、2010年には25台のみ限定にてマクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)マクラーレン・エディションSLR、2019年にもSLR by MSO、そして2023年には12台限定のSLRハイ・ダウンフォース・キット(HDK)バージョンを誕生させています。
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参照:McLaren