| メルセデス・ベンツは送迎に加えスペースバルーンの客室のデザインも担当 |
このスペースバルーンは地上30kmまでゆっくりと上昇
さて、「空飛ぶクルマ(タクシー)」「Eスポーツ」「アパレル」など様々な方面においてコラボレーションを行っているメルセデス・ベンツですが、今回はこれまでに(自動車業界全体を含めても)例を見ないパートナーシップを発表することに。
その内容とは、「旅客を乗せて宇宙まで気球を飛ばすスペース・パースペクティブ社との提携」で、ここでメルセデス・ベンツが担うのは気球内のデザイン、そして気球の発着場までの顧客の送迎だとアナウンスされています。
スペース・パースペクティブ社はこんなサービスを提供している
そこでまずこのスペース・パースペクティブ社が何をするのかについて紹介すると、スペース・パースペクティブ社は自社の開発した宇宙船「ネプチューン」を用いて顧客を宇宙空間へと連れ出しますが、これは一般的な宇宙船とは異なって燃料を燃やさないスペースバルーンを使用しているため、完全にカーボンニュートラルだと説明されています。
そしてこの気球には加圧された(乗客用)カプセルが取り付けられていて、乗員をゆっくりと10万フィート(約3万メートル)上空まで運ぶことになり、激しい衝撃を伴う離陸(発射)はなく、カプセル内では”ワールドクラスの”食事とカクテルのサービスとともに緩やかに上昇する、とのこと。
参考までに、3万メートルというと30キロということになりますが、これはオゾン層のちょっと上の「成層圏」。
NASAは80kmより上空を宇宙と定義し、国際航空連盟は100kmを宇宙と定義しているため、厳密にはこのネプチューンは「宇宙にまで」飛ぶわけではないもよう(ただ、旅客機が飛ぶのは10kmくらいだとされるので、相当に高いところにまで飛ぶのは間違いない)。
メルセデス・ベンツはこういった役割を担当する
そしてメルセデス・ベンツの役割はと言うと、フロリダのスペースコーストにある発射場まで顧客を輸送することとなるそうで、これに使用されるのがマイバッハEQS SUV。
ネプチューンもカーボンニュートラルであればメルセデス・マイバッハEQS SUVもまたカーボンニュートラルであり、このパートナーシップでは持続可能でカーボンニュートラルな移動が保証される、というわけですね。
メルセデス・マイバッハのダニエル・レスコウ社長は、「スペース・パースペクティブ社とのパートナーシップにより、宇宙探検家たちは地上をスタイリッシュに走ることができ、私たちはマイバッハの持つ最高レベルの洗練性とブランド体験を宇宙の果てにまで広げることができるのです」とコメント。
さらにメルセデス・マイバッハはこのカプセルの中のデザインに参加するそうですが(両者の提携前からある程度のデザインが完成していたそうだが)、メルセデス・ベンツは以前に高級マンションやルフトハンザ航空の内装も手掛けたことがあり、そういった経験をこの場でいかんなく発揮することになりそうです。
なお、このネプチューンのカプセルはこれまで宇宙に飛んだ飛行体の中では最大の窓面積を誇り、6つのラウンジチェアを予約した「探検家」たちは、眼下に広がる素晴らしい地球の眺めを安全に楽しむことが可能となるわけですね。
ネプチューン内部には上述の食事とカクテルサービスに加え、Wi-Fi、化粧室が含まれており、気圧や気温が一定に保たれるため、乗員たちは「普段着」でこれに乗ることができるものと思われます。
このネプチューンは2024年末に就航予定だとされますが、驚くべきはその価格であり、1席あたりの価格は125,000ドル(約1860万円)。
しかしそれでもロシアの催行する宇宙ツアーに比較するとずっと安価であり、申込みが殺到することになるのかもしれませんね。