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メルセデス・ベンツがEV戦略を軌道修正。同社CEO「内燃エンジンは予想以上に長く生き残る」

メルセデス・ベンツ

| メルセデス、「ガソリン車終了」ではなかった。EV戦略を軌道修正へ |

メルセデス・ベンツは内燃機関とEVの“二刀流戦略”を採用

メルセデス・ベンツは、他の多くの老舗自動車メーカーと同様に、「完全電動化」へ向け大きく舵を切ってきましたが、今回同社のCEOであるオラ・ケレニウス氏が「内燃機関(ICE)を当面維持する方向に戦略を修正した」と明確にコメントすることに。

これは、EV(電気自動車)インフラの進展が地域によって異なるという現実を踏まえ、より柔軟かつ現実的なアプローチを取るという決断です。

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この「電動化コースの修正」とは

今後、メルセデスの次世代モデルでは、内燃機関とEVの両方をラインアップに用意する方針が明確になっており、たとえば新型CLAや2026年型GLCは、EV仕様とガソリン仕様の両方が展開される予定だとされ、この戦略はBMWと同様のもの。

オラ・ケレニウス氏は独Auto Motor und Sport誌の取材に対し、「これは電動化戦略の“コース修正”です」と語り、次のように続けています。

「高効率な内燃機関は、当初の予想よりも長く使われることになるでしょう。現状を冷静に見れば、どちらか一方を切り捨てるのではなく、両方の技術を展開するのが最も合理的な判断です。」

メルセデスAMG GT
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メルセデス・ベンツはEVも引き続き拡大へ

ただし、これは「電動化をやめる」という意味ではありません。

メルセデス・ベンツは依然としてEVモデルの拡充を強力に進める意向を示しており、「新型CLAは、今後登場するファミリー全体の“前菜”のような存在」とオラ・ケレニウス氏。

これに続き、GLC、Cクラス、Eクラスなど中核セグメントの電動モデルが控えているそうですが、特に注目されるのはGLCのEV版で、従来のEQCに代わる新たな主力モデルとして投入され、BMWの次期iX3(Neue Klasse)と直接競合するポジションとして開発されており、800V対応の新アーキテクチャ「MB.EA」に基づく設計を持つほか、最大320kWという高速充電にも対応する見込みです。

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Image:Mercedes-Benz

メルセデス・ベンツがフルモデルチェンジ板「GLC」の情報をチラ見せ。ベストセラーだけあって「最新デザイン、最新技術」がてんこ盛り、同社の次世代EVの牽引役に
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なお、新型GLC EVとガソリン仕様のGLCは異なるプラットフォームながらも併売される予定だそうで、これは、ポルシェが北米市場でマカンEVとガソリンマカンを併売する戦略と同様ですね。

今後の展望:柔軟な移行戦略がカギに

今回の軌道修正は、メルセデス・ベンツが現実的かつ持続可能な形でEVとICEの移行を進めようとしている証拠でもあり、一気にガソリン車を廃止するのではなく、地域ニーズに応じた柔軟な展開によって、ブランドの競争力を保ちながら脱炭素化を進めていくことが狙いであるとも見られています。

ただ、すでにメルセデス・ベンツは本国のいくつかの工場で「ガソリンエンジンの製造終了と電動化を見越して」ガソリンエンジン世代のエンジニアと工員を解雇し、工場の生産ラインも電動車向けに作り直したことが報じられいて、これらを「もとに戻すのか」どうかについてはちょっと気にかかるところです。

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JUN

2013年より当ブログを運営中。 国産スポーツカー、ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリ等を乗り継ぎ現在に至ります。 単なる情報の記載にとどまらず、なにかしら自分の意見を添え、加えてクルマにまつわる関連情報(保険やメンテナンスなど)を提供するなど「カーライフを豊かにする」情報発信を心がけています。 いくつかのカーメディアにも寄稿中。

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