| 911GT3、911GT3 RSは911のライフタイム末期になって登場するのが常である |
現時点では「ユーロ7導入後」の911GT3、911GT3 RSの姿は見えてこない
さて、ポルシェは現在911ラインアップのほとんどを「ターボ化」しており、自然吸気エンジンが残されているのは「911GT3」「911GT3RS」のみ。
これらはいずれも高回転自然吸気フラットシックスエンジンを搭載していますが、今回ポルシェのGT部門責任者、アンドレアス・プルニンガー氏が「2026年の排出規制の強化(ユーロ7の導入)によって、これら自然吸気エンジンが姿を消すであろう」と発言し各方面へと大きな衝撃を与えることに。
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現時点では「911GT3 / GT3 RSにハイブリッドはない」
アンドレアス・プルニンガー氏はカーメディアに対し(ユーロ7導入のおかげで)「ハイブリッドまたはターボ技術なしではこれら自然吸気エンジンの存続が極めて難しい」「ユーロ7が導入されなければ、この自然吸気エンジンは永遠に生きながらえたであろう」「このままだと、この自然吸気エンジン搭載車を販売できるのは残すところ2年しかない」とコメント。
さらには「ユーロ7に対処するには、電動化やターボが必要」だとも語っていますが、「911カレラGTS」「911ターボ」への電動化は正しいアプローチだとしつつも、「GT3やGT3RSに電動化は適さない」とも述べており、しかし今後の(911GT3やGT3RSに対する)アプローチについては明かされておらず、もしかするとポルシェは「モータースポーツと直結するモデルだけに、レギュレーションの動向を見ている」「ユーロ7導入内容の緩和を期待している」のかもしれません。
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ただ、このままユーロ7が導入されれば、同氏の言う通り自然吸気エンジンが消滅してしまうことは想像に難くなく、というのも先日発表された新型911GT3の出力が「向上していないから」。
これはつまり回転数引き上げを含むパワーアップの常套手段を(規制に対応するため)用いることができなかったのだという事実を意味しており、そしてこれを証明するかのように新型911GT3ではエンジンが発生させるトルクが「470Nmから450Nmへと縮小」されていて、しかしポルシェはファイナルドライブを短縮することでこの縮小を「可能な限り感じさせないよう」配慮しています。※ポルシェのみならず、多くの自動車メーカーではモデルチェンジやフェイスリフト時に出力が向上していない
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よって現行の規制の下でも「911GT3に積まれる自然吸気フラットシックスが限界を迎えている」ということになり、となれば現行よりもさらに厳しいユーロ7が導入されればこのエンジンが存続できなくなることは「火を見るよりも明らか」。
こういった事情もあってかポルシェは992.2世代の911GT3をいち早くリリースした可能性があり(これまでの例だと、911GT3シリーズは911のモデルチェンジ / フェイスリフト後、数年たったのちに追加されている)、すでに終末までのカウントダウンをはじめているのかもしれません。
この「世界で最も優れたエンジン」の一つが消滅する、あるいは現在の形では楽しめなくなるということは非常に残念ではありますが、ポルシェは718ケイマン / ボクスター、マカン(ガソリン版)を規制によって販売終了とせざるをえなくなっており、まさに「政府の決定によってに翻弄されている」状態なのでしょうね。
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