| 今のところ日本国内での価格は未発表、900万円オーバーとの話だが |
おそらくは今後販売台数が急激に伸びる可能性も
さて、フォルクスワーゲンが地元ドイツにて、今年最初の7カ月間のEV販売につき、テスラやメルセデス・ベンツ、アウディ、BMWを抜き去って王座に就いたとの報道。
これはちょっとぼくにとっては「びっくり」な報道であり、というのもフォルクスワーゲンのEVはいまひとつ売れていないと聞いていたため。
実際のところ、直近だと「EVが売れないので工場を一時的に閉める」「IDのデザインは市場に受け入れられておらず、デザインの再検討を行わねばならない」「IDブランドのみでEVを展開するのには無理があり、既存ガソリン車の名称をEVにも使用することを検討する」とも報じられており、しかしなんだかんだ言いながら「けっこうEVを売っていた」ということになりそうです。
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フォルクスワーゲンの「EV人気」の立役者はID.Buzz
今回ドイツ連邦自動車交通局(KBA)が公開したデータによると、フォルクスワーゲンは7月までにドイツで41,475台の電気自動車を販売したそうですが、2位はテスラで40,289台、3位はメルセデス・ベンツの20,613台、4位はアウディの16,786台、5位はBMWの15,987台、6位はヒョンデで15,411台という順位です。
これを見るとテスラとフォルクスワーゲンが突出しているということになりますが、フォルクスワーゲンの数字にはID.Buzzが貢献しているといい、デリバリーが始まったばかりにもかかわらず、すでに2,815台を販売しており、7月単月だと536台を登録しており、この数字はフォルクスワーゲンのEV販売の中では7%に相当するのだそう。
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なお、数字だけを見るとそこまでID.Buzzの比率は高くなく、しかし問題はその「注目度」であり、この登場によって顧客の目がフォルクスワーゲンのEVつまりIDシリーズに向いていると言い、IDブランドの牽引役となっているようですね。
ただ、現在のところ最も売れているのはフォルクスワーゲンID.4とそのクーペ版となる兄弟車のID.5(GTXパフォーマンスモデルを含む)で、7月までの累計で22,405台となっています(この2台で同ブランドのEV登録台数の大半を占める)。
次いで小型のID.3ハッチバックが13,647台、e-upシティカーが2,943台という数字。
テスラについてだと、モデルYがドイツにおける同ブランドの登録台数のほぼ75%を占め、7ヶ月間の累計は29,829台。
2番めはモデル3で9,045台、モデルSとモデルXはそれぞれ855台と494台という順番です。
メルセデス・ベンツだと(意外なことですが)コンパクト・クロスオーバーのEQAが7,813台でトップとなっていて、興味深いことにドイツ市場では中国系ブランドが急成長しており、上海汽車(SAIC)のMGブランドが11,638台、吉利汽車(Geely)のポールスターが4,210台、比亜迪(BYD)が632台登録されています。
このほかにもGeekrやNIOもドイツ国内での販売を開始しており、今後はこれらの販売台数が大きく伸びることになるのかもしれません。
参考までに、1月から7月までにドイツで登録された電気自動車は26万8,926台で、これに対して内燃機関モデルは164万台である、とのこと。
フォルクスワーゲンはID.Buzzに命運を託している
フォルクスワーゲンID.Buzzはいわゆる「ワーゲンバス」の電動版となりますが、これはディーゼル不正事件の影響に苦しむフォルクスワーゲンがそのイメージを変革しようとして企画したクルマだとされ、「新しいフォルクスワーゲン」を示すために市場へと投入されています。
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そしてフォルクスワーゲンはID.Buzzになみなみならぬ思い入れがあり、ほかのIDシリーズとは全く異なる(力の入った)プロモーションがなされるなど「特別扱い」といった様子も伺え、しかし今回好評された販売状況を見る限りでは「努力が報われた」といったことなのかもしれませんね。
なお、現時点では日本におけるID Buzzの価格については発表がない状態ですが、おおよそ900万円〜1000万円の間ではないかと言われており、「かなり高額な」クルマとなることは間違いなさそうです(欧州での現地価格は800万円弱くらい)。
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参照:Electrek