| フォルクスワーゲングループはその行動の多くが「裏目」に出てしまい、もはや事態の収拾が難しい状態である |
正直なところ、経営方針そのものを変更しない限り「立ち直る」ことは難しそうだ
さて、フォルクスワーゲンが2024年第3四半期の決算を発表し、その数字が「予想通り」惨憺たるものであったことが明らかに。
これによると、前年同期と比べて販売台数は8.3%減少し、利益は41.7%も減少したことが明らかになり、同時に(投資家のショックを和らげるためか)工場の閉鎖やコスト削減、大規模なリストラを検討していることについても触れています。
なお、今年9月まででフォルクスワーゲングループの販売台数は4.4%減の676万2000台となり、営業利益20.5%(129億ユーロ)減という結果となっていますが、この不振の要因としては「高い固定費や再構築にかかる費用、サプライチェーンの不足、厳しいマクロ経済環境、そしてラグジュアリースポーツ製品ポートフォリオの「包括的な刷新」を挙げており、一番最後の部分はポルシェが「ほぼすべてのモデルをリニューアルしたので販売の欠損期間があった」ことを指しているのだと思われます。
-
ポルシェが2024年第2四半期の業績を発表。「サプライチェーンの問題によって見通しを下方修正」「このまま中国の不振が続けば中国向けに内燃機関搭載モデルを投入」
Image:Porsche | ポルシェはなんとか明るい面を見せようと務めているが、実際のところは「まだまだ暗闇の中」だと思われる | これまでの成長を牽引してきた中国市場の失速、そしてポルシェの未来 ...
続きを見る
フォルクスワーゲンの営業利益率はわずか2%
そして衝撃的なのはフォルクスワーゲンブランドの営業利益率が(この9ヶ月で)わずか2%にとどまったということで、これについて同ブランドCFOのアルノ・アントリッツ氏は「大幅なコスト削減と効率向上が急務である」と強調するも、同時に「業界全体でのEVに対する消費者の慎重さ」を強調し、EVに力を入れているフォルクスワーゲンにとっては大きな問題であること、そしてこの傾向が電気自動車(EV)の納入台数を前年より4.7%減少させる要因となったことについても言及し、一朝一夕にこの状況が改善しそうにないことがわかります。
つまりここ最近はフォルクスワーゲングループにとって厳しい数ヶ月ではったものの、希望の兆しもあり、たとえばアウディのラインアップは新型A5やQ5、A6およびQ6 e-tronなどで大幅に刷新され、ランボルギーニもテメラリオを発表し、ブガッティではトゥールビヨンの発表、そしてポルシェとベントレーもラインナップの多くを刷新済み。
一方、フォルクスワーゲンも新製品や改良モデルを多数発売する計画を持っているため、少しづつ状況は「上向き」となるのかもしれません。
その他直近では工場の閉鎖といった経費削減対策が行われるほか、中期的には中国の自動車メーカーとの提携による商品力の強化と中国市場の攻略も報じられ、今回の危機を糧とする動きもあるようですね。
-
VWが中国自動車メーカーとの協業姿勢を強め2026年に6車種の廉価版EVを発売。「競争は非常に熾烈であり、競争力を発揮できるようコスト構造を適応させる必要がある」
| フォルクスワーゲンはじめ、いくつかの既存自動車メーカーが「安価なEVを製造するため」中国の自動車メーカーに助けを求めている | はじめから「EVメーカー」として誕生した会社には無駄がなく、製造コス ...
続きを見る
合わせて読みたい、関連投稿
-
販売と利益が大きく減ってしまったポルシェ。「電動化はうまく進んでおらず、今の状況を考慮すると”困難”です。もはやプレミアムマーケットでは誰もEVに興味を示していません」
| 運命の歯車は突如として「逆転」しはじめることがある | これまでポルシェはひたすら「増収増益」を繰り返してきたが さて、ポルシェは2024年第3四半期の決算を公開し、そこでは中国市場での販売台数が ...
続きを見る
-
ベントレーは全ラインアップを電動化へと入れ替えるかわりに「ハイブリッドを核にした緩やかな電動化」へ。「高級車市場では誰もがEVを拒否しています」
| 現在の自動車業界では普及価格帯から高級車市場に至るまで「すべての計画」を再考する必要性に迫られている | なぜか英国ブランドはいずれも「電動化」に対して熱心に取り組んでいる さて、ミニ、ロールス・ ...
続きを見る
-
フォルクスワーゲングループが「初めて欧州にて工場を閉鎖する」という決定を下し、アウディのブリュッセル工場が来年2月に稼働を停止、同時にQ8 e-tronの生産も終了
| その状況は「想像よりも遥かに」厳しいところにまで来ており、今後もさらなる「工場閉鎖」が報じられることとなりそうだ | ほんの1年前までは誰もこういった事態を想定することはなかったであろう さて、こ ...
続きを見る