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フォルクスワーゲンの「コスト削減案」ついに固まる。労働者35,000人の解雇に加え管理職の賞与10%を2年カット、さらには2029年まで段階的に賞与削減

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| 相当に厳しい内容ではあるが、「工場の売却」による大量解雇、恒久的な失業が最小限に |

フォルクスワーゲンはこの状況を「2030年までかけて」改善する見込みである 

さて、先日より労働組合とタフな交渉を続けているフォルクスワーゲンが「ドイツ国内の工場を売却することはない」と発表。

御存知の通りフォルクスワーゲンは中国はじめ世界的に販売を失いつつあり、そして電動化車両が思うように売れていないことでその開発コストを吸収できず、大幅なコスト削減の必要性に迫られています。

よって先般から「(その歴史上はじめて)ドイツ国内工場の閉鎖を行う」「賃金のカット」を軸にした再生プランを掲げていたわけですが、労働組合がこれに対し「雇用が失われる」「従業員の生活が脅かされる」として強く反対していて、そのために数回にわたる双方の主張のぶつけ合いがなされていたわけですね。

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現時点でフォルクスワーゲンはこういった決定を行っている

そして最新の報道によれば、フォルクスワーゲンは「工場を閉鎖(売却)するかわりに」、「2025年と2026年にマネージャーのボーナスを10%削減し、2030年までにさらにコスト削減を進める計画」を採用したとされ、この改革は同社の長期的な安定性を確保するためのものであり、ドイツ国内での生産を大幅に削減することも同時に発表されています。

この内容をもってVWと労働組合は合意に至ったとも報じられていて、2030年までに35,000人以上の雇用が削減されるものの、この人員削減により年間15億ユーロの人件費削減が期待され、労働者にとっては痛手となる一方、約4,000人のマネージャーも影響を受け、大幅な給与削減を受け入れることとなり、「痛み分け」にて決着させたということなのかもしれません。

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なお、マネージャー職は2025年と2026年のボーナスを収入の10%ぶん放棄することになりますが、その後の3年間(2027年、2028年、2029年)には、ボーナスがさらに8%、6%、5%削減される予定だといい、しかし2030年までには財務状況を改善し、これ以上の給与削減を行わずとも済むように経営基盤を整えることについても伝えられています。

フォルクスワーゲンは今回の窮状を「短期的に解決できない」と判断

なお、フォルクスワーゲンは短期的な解決策やコスト削減に焦点を当てるだけでなく、長期的な未来を確保するためのコスト削減策を積極的に進めていて、給与削減や人員削減に加え、同社はドイツ国内での生産能力を73万4,000台削減する計画を示しており、つまりは「工場の売却などの短期的な手段ではなく、現在の問題は恒久的に続くもので、それに対応すべく生産を減らし、しかしその状況でも利益が出るような体質」に改善するということなのだと思われます。

もちろんこれによってVWの生産ネットワークには変化が生じ、ヴォルフスブルク工場ではID.3とクプラ・ボーンの生産が(移管により)開始され、ゴルフとゴルフ・エステート(ヴァリアント)の生産は2027年にメキシコに移されるほか、エムデン工場ではID.4とID.7の生産を続け、オスナブリュック工場では2027年半ばにT-Rocカブリオの生産を終了することに。

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その一方でドレスデン工場での生産活動は来年にすべてを終了するそうですが、この工場は引き続きフォルクスワーゲンによって保持され、「第三者契約」などの可能性が模索されている、とのこと(つまり他社の生産を請け負うことになりそうだ)。

「この合意は、フォルクスワーゲンブランド、フォルクスワーゲン商用車、および部品工場の将来の存続にとって重要な信号です。合意された一連の措置により、当社はコスト、能力、構造の面で今後の方向性を決定づけました。これで、私たちは再び自分たちの運命を成功裏に形作る位置に戻ったと言えます。」と

フォルクスワーゲン・グループCEO オリバー・ブルーメ

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