>VW(フォルクスワーゲン/Volkswagen)

VWは本当に苦しそうだ・・・。労組と合意した「7%の賃上げを撤回」、逆に「ボーナスのカットと賃金10%の引き下げ」、さらに動労条件の変更を労働組合に提示したと報じられる

フォルクスワーゲン

| 正直なところ、苦しいのはフォルクスワーゲンだけではないはずで、今後は同様の話があちこちで聞かれるようになるだろう |

まさかほんの1-2年でここまで状況が逆転しようとは

さて、何かと苦境が報じられるフォルクスワーゲンですが、つい先日は「その歴史上初めて」ドイツ本国工場の閉鎖の可能性が公になり、そして今回はボーナスと賃金のカットがなされるのではという話が出ています。※現時点では工場閉鎖については「確定」したわけではない

この「カット」はフォルクスワーゲンが労働組合(IGメタル)に対して提案を行ったもので、内容としては「一部のボーナス廃止と10%の賃金(給与)カット」。

一方で少し前にはフォルクスワーゲンと労働組合は7%の賃金引き上げに合意していますが、「7%の賃金引き上げの後に10%カットされるので、結果的に3%のマイナス」ということになり、今後の交渉が大きく「荒れる」のは間違いなさそう。

フォルクスワーゲン
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フォルクスワーゲンは「賃金を引き下げても、まだ業界水準よりは高いはずだ」と強調

フォルクスワーゲンは従業員に対して「未来を守る手助けをしてほしい」と語りかけていますが、これは「厳しい第3四半期の結果」として報じられた財務上の穴埋めを「労働者に肩代わりして欲しい」と頼んでいるようなもので、労働者としてはとうてい容認できるものではなく、労働組合がこれに反発するのは「必至」。

さらにフォルクスワーゲンは上述の「7%の賃金引き上げ」についても反故にする可能性があると報じられているため、労働者にとっては「最大で17%もの賃金引き下げ」となる可能性があり、ますます受け入れることが難しい話なのかもしれません。

フォルクスワーゲンの言い分としては「自動車業界の経済危機により賃金アップを実現できない」「将来の投資を可能にし、雇用を守るためにボーナスと賃金をカットしなくてはならない」。

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フォルクスワーゲンの集団交渉責任者(嫌な役まわりである)、アルネ・マイスウィンケル氏は「欧州、特にドイツの自動車業界の現状について非常に懸念しています。よって労働コストを削減する必要があり、しかし今回の賃金引き下げは業界のベンチマークと比較して競争力のある水準にするためのものです」と述べ、今までのフォルクスワーゲンの賃金レベルが「業界平均に対して高く」、今回のカットの正当性を訴えることに。※それでも賃金カットを喜んで受け入れる人はいないだろう

さらにフォルクスワーゲンはボーナスやその他の優遇措置のカット(一部はすでに実施済み)についても言及し、具体的にはボーナスの廃止、さらに記念ボーナスや月額170ユーロ「合意済みボーナス」の廃止といったものも。

ポルシェ
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加えてフォルクスワーゲンは「将来に向けた競争力のある標準的な労働協約」を求めており、これには35時間労働週の導入や、2005年以前に入社した”従業員に対する保護の一部廃止”が含まれていて、これらは今後の労働組合との交渉によって話し合われることになるそうですが、アルネ・マイスウィンケル氏は「困難な状況では、皆で協力する必要がある」とも述べています。

なお、ここでふと思い出すのは前フォルクスワーゲンCEO、ヘルベルト・ディース氏。

同氏は2022年7月に(フォルクスワーゲンの他の経営陣と歩調が合わないことが主な理由で)解任されていますが、解任ののち急速に同社の業績が悪化しており(これは外的要因であって同氏とは関係がない)、そして同氏はその前に解任されることによって難を逃れることができ、一見すると悪夢のようであった解任劇も「結果的には身を救ってくれた」出来事であったと考えることができるのかもしれません(このほかにも同様の例は多く、人生何が起きるかわからない。更にいえば、同氏の後任CEOは完全に貧乏くじをひいたことになる)。

フォルクスワーゲン
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