| マツダは大きく路線転換を計るのかもしれない |
これまでコンパクトカーに偏重しているという印象の強かったマツダですが、世界的に見るとCX-5やCX-8、CX-9とマツダ6という、マツダ内での「ラージ」クラスの販売比率が高く、CX-5単独でも2019年には415,000台を(世界で)販売してマツダ全体における販売の30%近くを占めた模様。
そのためかマツダは「FRプラットフォーム」「直6エンジン」を開発し、”ラージ商品群”の展開を急ぐ構えを見せていますが、中国新聞が報じたところでは、2022年初頭から防府工場にて”ラージ商品群第一弾”の生産が始まる、とのこと。
現時点では詳細について触れられていないものの、直6エンジン搭載は間違いないと見られ、となるとFRプラットフォームも同時に採用されるのかもしれません。
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そしてこの”ラージ商品群第一弾”について、CX-5に近いサイズだと見られており、既存車種いずれかとの入れ替えなのか、それとも追加車種なのかも不明です。
ただしマツダは「CX-50」等の商標を登録していて、それを考慮すると、ラージ商品群については「CX+2ケタ数字」を採用するのではないかとも考えています。
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なぜ直6なのか
なお、マツダによると「直6採用」はコスト削減のためだとされ、その理由としては「V6だと(ラインが2列あるので)片バンクずつ補機類などのパーツが必要になるが、直6だと(1列なので)シンプルに収まる」「4気筒に2気筒プラスすればいいだけなので、開発コストが安い」。
そう言われると「ナルホド」ですが、実際のところメルセデス・ベンツも直6エンジンを新規開発・投入しており、たしかにそのメリットは大きいのだろう、と思われます。
参考までに、マツダはMAZDA3の発売以降、その製品群を「スモール商品群」と「ラージ商品群」の2つに分けており、新世代のスモール商品群はMAZDA3、CX-30、MX-30。
そしてラージ商品群がCX-50はじめとするニューモデルとなるのかもしれません。
マツダはスモール商品群に危機?
マツダの新世代商品第一弾はMAZDA3ですが、この販売はおそらくマツダの想定以下の水準にとどまっていると見られます。
北米ではモデルチェンジ以降の水準にとどまっていると報じられ、この理由としては「価格の安い他メーカーのクルマに対して優位性を発揮できていない」。
近年の自動車開発コストは上昇する一方で、最新のエレクトロニクス、安全装備や運転支援装備を投入するとどんどん価格が上がってしまい、消費者にとって「割高」なクルマになってしまいます。
そこでマツダが考えたのが「どうせ高くなるなら、もっと付加価値を付け、さらに高くなっても顧客が満足してくれるクルマを作ろう」。
つまりこれが「スカイアクティブ(SKYACTIV)X」だったわけですが、この価値が広く理解されなかったというのも大きな痛手だと思われます。
そして今後は韓国勢や、ともすると中国勢によってコンパクトクラスの市場が占有されてゆくとも考えられ、別の道を模索した結果が「ラージ商品群の拡大展開」だったのだろうと考えています。
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ラージ商品軍は「利益の高い」商品に
そして今回登場するのがラージ商品群”第一弾”ということになりますが、これについてはアメリカ人の大好きな「大排気量エンジン(3リッターになると言われている)+FR+SUV」という組み合わせで、非常にシンプル。
アメリカでは(欧州とは異なり)環境性能よりもパワーや価格でクルマを選ぶ傾向が強く、それに対応するための戦略だと思われますが、直6エンジン開発の意図に見えるように、「(余分なものを排除して)コストを抑えた」製品になるものと思われます。
加えて、この直6エンジンとFRプラットフォームはレクサスともシェアされると報じられており、ここでまた一段のコストダウンも可能。
よって、これらラージ商品群はマツダにとって「非常に儲かる」ものだとも思われ、しかしこれまでのプレミアム戦略とはある意味で逆の方向性を持つ商品群だと言えるかもしれません。
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参照:中国新聞