| このままでは「新型車が出ず、延々と同じ車を売り続ける」日産に逆戻りしそうだ |
日産は5月28日に新経営戦略を発表すると言われていますが、今回はその内容について「追加」の報道。
この新経営戦略は「カルロス・ゴーンの残した負の遺産をリセットするため」に今後3年間の活動方針を示すものだとされ、骨子としては下記の通り。
・ルノー、三菱とのアライアンス(同盟)関係は継続 ・ルノー、三菱との競合は避ける ・ルノーは欧州に集中、三菱は中国と日本を除くアジアマーケットに集中 ・日産は北米、中国と日本に集中 |
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日産が5月28日に新経営戦略を発表との報道。「北米、中国、日本に集中」し、ルノーは欧州、三菱は東南アジアへ
| これまで日産は無駄が多く、安売りに頼りすぎた | https://www.flickr.com/photos/110074903@N02/49778722663/in/album-72157713 ...
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新しい報道の内容はこうなっている
そして今回報道された内容だと、「固定費3000億円の圧縮」を掲げており、これによると(先日報じられた)生産拠点14箇所の閉鎖に加え、マーケティングや研究部門の予算削減、南米を中心に展開している「ダットサン」ブランドの廃止も含まれている模様。
もちろん工場の閉鎖によって生産台数が減ることにはなりますが、これも既報の通り、意図的に生産規模を現在の700万台から550万台まで引き下げ、しかしコストをそれ以上に下げることで「お金が残る」体質へと改善しようということなのかもしれません。
なお、これまでの日産は「各セグメントごとに主力車種を設定し、幅広いカテゴリにて顧客を獲得する」という戦略を持つメーカー。
たとえばコンパクトカーではノート、セダンではスカイライン、SUVだとエクストレイル、ミニバンだとセレナ、といった具合ですね(一時期は各セグメントでこれらがトップもしくはトップクラスの販売を誇った)。
そして自社内で競合するような車種は(トヨタのように)開発せず、徹底して各セグメントのリーダーに販売リソースを集中させている、ということになります。
さらにはリーフに代表されるようなエレクトリック技術開発にも積極的で、プロパイロットはじめ先端技術にもコストを投じており、なにかと「車種が少ない割には色々やっている(そのぶんコストがかかる)」メーカーだとも言えそう。
新しい日産の戦略は機能するのか
参考までに、スバルは基本的に「ワゴン」に特化しており(派生としてセダンもありますが)、競争の厳しいミニバンやコンパクトカー、軽自動車市場からは撤退済み。
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加えてお金のかかるエレクトリック化を進んで行うつもりはなく、必要になれば「トヨタから技術を買う」という割り切りを見せています。
これによって「生産規模は小さくとも、限られたマーケットで圧倒的な強みを発揮する」メーカーとなっていて、販売に関するコスト、研究開発にかかるコストがほかメーカーに比べるとかなり低く収まり、よって営業利益率も6.2%と高水準(トヨタは8.2%、ホンダは1.9%、日産は0.8%)。
今後、日産がどういった車種構成を持ち、どういった戦略を採用するのか、その詳細を知るには5月28日の発表を待つしかなさそうですが、「研究費を削る」ということについてはある種の暗い予感も禁じえません。
というのも、日産が凋落する理由となったのが「研究費を削り、新型車がほとんどなく、既存車種を延々と売り続ける」「その既存車種についてもコストを削減しまくった」ことにあると言われており、このままだと過去の二の舞となってしまう可能性があるんじゃないかと考えているわけですね。
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そしてもうひとつ気になるのはGT-RやフェアレディZの存在。
これらについては、(たとえ新型が登場したとしても)ほぼ利益に貢献するとは思えず、しかし日産のイメージを向上させる、もしくは維持させるには必要不可欠だとも考えられます。
そして新しい日産は、そういった「イメージ」の向上や維持にどれだけのコストを支払う用意があるのか、そもそもイメージリーダーを持つ気があるのか、それとも「カネのかかるイメージリーダーはいらん」として実売につながるSUVやコンパクトカーばかりをつくるのか、というのも気になるところ。
新型フェアレディZについては、すでにある程度まで進んでいると思われるので「今更キャンセル」はないと思われるものの、現時点では日産に対して「不安しかない」状況です。
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VIA: Bloomberg