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| 📉 2024年度決算:最終損益は赤字、営業利益も大幅減益 |
厳しい波を乗り越えられるか?日産の今後に注目
日産自動車株式会社は2025年5月13日、2024年度(2024年4月~2025年3月)の通期および第4四半期決算を発表しており、まず、2024年度通期の主な財務実績を見てみましょう。
•連結売上高は12兆6,332億円、前年度の12兆6,857億円から525億円の減少
•連結営業利益は698億円、前年度の5,687億円から4,989億円の大幅な減少
•売上高営業利益率は前年度の4.5%から0.6%に悪化
•親会社株主に帰属する当期純損益(当期純損失)は6,709億円の赤字。これは前年度の4,266億円の利益から1兆975億円の悪化
グローバルの販売台数は334万6千台に留まっており、自動車事業単体で見ると、フリーキャッシュフローはマイナス2,428億円、営業利益もマイナス2,159億円の大幅損失(赤字)。
ただし、自動車事業のネットキャッシュは前年度比で微減となる1兆4,980億円を維持しています。
なぜ日産の業績が悪化したのか?厳しい競争環境
決算発表の要約によると、2024年度は「多くの市場における販売競争の激化により、グローバルの販売台数は334万6千台に留まりました」と述べられています。
これが売上高の伸び悩みや、利益率の悪化、ひいては最終赤字につながった主な要因と考えられますが、自動車業界は世界的に競争が激化しており、日産のみではなく多くの自動車メーカーが厳しい経営環境に直面しています。

2025年度の業績見通しは「未定」に
通常、決算発表では翌年度の業績見通しも発表されるものですが、今回の発表では2025年度の営業利益、当期純利益、および自動車事業におけるフリーキャッシュフローの見通しが「未定」とされ、その主な理由として「関税による不確実性」が挙げられています(マツダも日産同様、2025年度の見通しについては明かしていない)。
特に米国の関税政策への対応として、米国生産車両の優先販売、現地生産の最適化、関税の影響を受ける生産の再配分、サプライヤーとの連携による現地化推進といった対策を講じるとしているものの、関税の動向自体が不透明であるため、具体的な業績予想を立てることが困難な状況というわけですね。※ただし、東京証券取引所への届け出としては、中国合弁会社に持分法を適用したベースで、2025年度通期の連結売上高は12兆5,000億円と予想されている
年間配当は2期連続で0円の見通し
業績の厳しさを反映し、年間配当についても「2024年度の年間配当は0円」だと発表され、2025年度の見通しもまた0円。
日産自動車の2024年度決算は、グローバルな競争激化の影響を受け、営業利益の大幅減、そして最終赤字という厳しい結果を迎え、さらには2025年度の見通しについても、特に米国の関税問題という不確実性から”未定”となっており、依然として厳しいビジネス環境が続くことが想定されています。
日産は、新しい経営計画「The Arc」などを推進し、未来への取り組みを進めているところではありますが、今回の厳しい決算を乗り越え、競争の激しい自動車市場でどのように立ち位置を確立していくのか、今後の日産の動向に注目が集まるところですね。
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