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| トヨタ、ミドシップ・スポーツカー開発で「特有の困難」に直面 |
やはりミドシップスポーツの開発は「一筋縄」ではゆかないようだ
2024年1月の東京オートサロンで発表された「GRヤリスM」は、多くのファンを驚かせましたが、これはミドシップ化されたホットハッチという異色のコンセプトカーで、しかし実際の市販モデルは異なる姿で登場する予定だとされています。
つまるところ、このGRヤリスMは「ミドシップレイアウト」による挙動をテストするためのクルマであり、関係者によれば「MR2復活に向けたプロジェクトの一環」である、とのこと。
トヨタの「MR2復活」はドライビングダイナミクスが課題に?
しかし現在、「MR2復活」に向けたその開発はスムーズとは言えないようで、今回トヨタは「ミドシップ車特有のブレーキング、ステアリング、ドライビングにおける課題」に直面していると公式に発表。
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なお、ミドシップスポーツの開発は容易ではなく、かつてはBMWが「M1」を開発するに際し自社では困難と判断して(ミドシップの経験を持つ)ランボルギーニへと開発を委託したことがあり、さらにレクサスはLFA開発時にミドシップを検討するも「挙動がピーキーになりすぎる」ことから”動きを読みやすい”FRへとスイッチしたと言われています(そう考えるならば、80~90年代に登場した”ミドシップ”レイアウトを持つコンパクトハッチのラリー仕様はとんでもなく危険なクルマなのかもしれない)。
耐久レースへの参戦も延期に
GRヤリスMは当初、日本のスーパー耐久シリーズに参戦し、「限界まで走らせ、壊し、修復する」プロセスを通じて改良を重ねる予定ではあったものの、7月末に大分県・オートポリスで予定されていた第5戦への出場が「見送られる」ことに。
つまりはなんらかの「大きな問題」に直面したのだとも考えられ、しかしトヨタはこの困難にもかかわらず、「多くの課題が明らかになり、現在も改善中」と述べ、プロジェクトを中止する意向はないと強調しています(今後、各地のレースで実戦投入し、その後に市販型として登場する計画は変わっていない)。
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新型「G20E」エンジンも開発中、最大600馬力?
このプロジェクトにおいて重要なのが、新開発の2.0リッター直4ターボ「G20E」エンジンの存在。
IHI製ターボを搭載し、標準仕様で400~450馬力、さらなる高出力仕様では最大600馬力に達すると見られていますが、トヨタはこのエンジンを横置き・縦置きの両方に対応させる開発を進めており、ミドシップ車のみならず、今後の前輪駆動車やFR車にも搭載される可能性が高いといわれています。
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MR2、セリカ、スープラ——復活が噂される3モデル
トヨタはこれまでに、MR2だけでなく、セリカの復活やスープラ後継モデルの存在もほのめかしており、スープラに関しては、次世代型ではBMWとの共同開発から脱却する計画も語られていますが、新エンジン「G20E」がこの3モデルすべてに採用される可能性も高く、現在は「トヨタのスポーツモデル戦略が大きく変わる転換点に差し掛かっている」状況なのかもしれません。
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GR GT3の市販型「LFR」も進行中
一方で、より大排気量のモデルとして、V8エンジンを搭載した「GR GT3」の市販型レクサス=LFRの開発も進められており、7月に開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでは、LFRがサプライズ登場を果たし、その市販化が近いことを示唆していて、今後のトヨタおよびレクサスが「今までにはない変化」を迎えようとしていることもわかります。
まとめ:MR2復活には時間がかかるが、トヨタの本気は変わらず
ミドシップスポーツカーの開発に苦戦するトヨタではありますが、その取り組みは着実に進行中。
MR2の後継、あるいは全く新しい形での登場が期待されるこのモデルは、トヨタのスポーツカー戦略の核となるかもしれません。
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