Image:IM Motors
| 正直なところ、やっぱり中国車に価格で対抗することは難しい |
おまけにスペック面での対抗も難しく、もはや打つ手がないのが現状なのかも
さて、中国の新興EVメーカー、IMモータースが最新モデル「L6」を発売することとなり、その最上位モデルに「半固体電池が積まれ、満充電あたりの航続距離1,000kmを実現したとして話題に。
なお、このL6は5月13日に発売されたばかりではありますが、すでに(1日で)29,000台の受注を集めたことも報じられており、中国現地でも台風の目と目されているようですね。
そしてこのL6は中国で人気の「アルファベットと数字」という命名を持ち、そのスタイリングも「ツルっとした外観にグラストップ、格納式ドアハンドル、コンパクトな前後ランプ」という”中国車の定番”とも言えるルックスを採用していて、しかし中国では今でも「123もの」EVブランドが存在するとされ、そして中国メーカーの開発速度を考慮するに「毎日数台の」名前を含めて似たようなクルマが発売されているんじゃないかと考えてよく、いったい現地の人々はそれらの区別がついているのか、そしてどうやって自分が買うべきクルマを選んでいるんだろうか、と疑問に思ったりします。
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IMモータース L6はこんなクルマ
そこでこのIMモータース L6を見てみると、まず5つのバージョンにて構成されており、その内容は以下の通り。
- L6 Max スタンダード・・・航続距離650km(リン酸鉄リチウムバッテリー) 価格219,900元
- L6 ロングレンジ・・・航続距離710km(三元リチウム バッテリー) 価格259,900元
- L6 Max ウルトラロングレンジ・・・航続距離850km(三元リチウム バッテリー) 価格275,900元
- L6 Max スーパーパフォーマンス・・・航続距離780km(三元リチウム バッテリー) 価格305,900元
- L6 マックスライトイヤー・・・航続距離1,000km(半固体バッテリー) 価格345,900元
そしてちょっとびっくりなのは上位3モデルについて900Vアーキテクチャを持つこと、そしてトップレンジのL6 マックスライトイヤーになるとわずか12分で400km走行ぶんの充電を行うことができ、0−100kmh加速は2.74秒という超速ぶりを誇ること。
さらにこのトップレンジの価格は日本円にして約700万円くらいなので、こうなるともう日米欧のEVが売れないのも「納得」といったところですね(日米欧の自動車メーカーは過去の人気車をEVにてリバイバルし古い顧客層にアピールするしか手がなくなってくる)。
L6のボディサイズは全長4,931mm、全幅1,960mm、全高1,474mm、ホイールベースは2,950mm、ボディカラーはレンブラントグレー、フェルディナンドピンク、シスレーイエロー、アレスブラック、アテナホワイト、ラファエルティー、そして限定色のネビスブルーの7色展開。
なお、この半固体電池のサプライヤーは青島(昆山)エネルギー開発集団(清陶能源)だと報じられ、同社は中国科学院の学者で清華大学教授のナン・セウェン氏とそのチームによって2016年に設立され、全固体リチウム電池、セラミックセパレーター、リチウム電池製造装置の研究開発と生産に重点を置いており、中国で最も早くから量産・納入を目指した全固体電池(ソリッドステートバッテリー)企業の一つなのだそう。
その他の注目機能としては「スマートな運転と駐車をサポートするISCスマートライトランゲージシステム」が挙げられ、さまざまなシーンに応じて「自動運転」や「自動駐車」などの単語を(車外に)表示できる、とのこと。
加えて4輪操舵含むVMC (Vehicle Motion Control))によるクラブウォーク、逆位相に後輪を切ることで最小回転半径4.99mを実現することについても言及されており、相当に多くの機能を内蔵していることもわかります。
コックピットには、26.3インチのトリプルスクリーン、縦型の10.5インチのコントロールスクリーン、および半月型(または標準ステアリングホイール)が装備されており、全グレードには超長距離LiDAR(やはりこれも一定レベル以上の中国車には不可欠である)、NVIDIA Orin Xチップ、およびクアルコム製スナップドラゴン8295チップも標準装備。
このL6はすでに受注を受けており間もなくデリバリーが始まるそうですが、半固体電池を装備する”ライトイヤー”グレードのみは9月に受注を開始したのち10月から納車を始める、とアナウンスされています。
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参照:IM, etc.