| ヒョンデ最大の懸念はその「販売拠点の少なさ」であり、これによってBYDに差をつけられる可能性も |
逆にヒョンデの大きな魅力はそのデザインである
さて、ヒョンデがアイオニック5に続き「コナ」を導入すると発表。
ちなみにこのコナ(KONA)についてはほか市場だと「ガソリン」「ハイブリッド」「ピュアエレクトリック」という3つのパワートレーンが用意されていますが(全て揃わない市場もある)、日本だと電気自動車(EV)のみに絞られるもよう。
これはヒョンデが日本市場を攻略するに際して「クリーンエナジーブランド」という方針を採用しているためだと思われ、そのため今後投入されるヒョンデの各モデルも「すべて電気自動車(EV)」となるのだと思われます。
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たしかにヒョンデのデザインは魅力的だが
なお、現在ヒョンデにてデザインを統括しているのは元ベントレー/ランボルギーニのチーフデザイナー、ルク・ドンカーヴォルケ氏。
たしかに同氏が就任したのちにヒョンデは大きな変革を遂げ、もしかすると「世界で最も魅力的なデザインを行う自動車メーカーの一つ」となったと言っても過言ではないかもしれません。
そしてこの「デザイン」というのは現代において非常に大きな武器となっており、EVのセールスについてだと、北米ではテスラ、中国ではBYDほか新興EVメーカーには及ばないものの、「かなりいい位置」につけています。
特に北米では(米国生産ではないので)補助金の対象とならないにもかかわらず好調なセールスを記録しており、つまり「高くてもヒョンデを買う」という人が少なくないもよう。
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そしてヒョンデの面白いところは、(トヨタと同じで)モデルごとに個性をもたせ、モデルごとに異なるデザインを与えていること。
たとえばメルセデス・ベンツ、アウディ、BMWは「いずれのモデルも共通したデザイン」を持ちますが、ヒョンデではこの「コナ」のように丸っこいデザインもあれば、「サンタフェ」のように角ばったデザインも。
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これはより多くの人の好みをカバーするということを意味しており、実際に韓国の町中ではヒョンデそしてその高級ブランドのジェネシス、傘下のキアのクルマばかりが走っていて、たしかに(正直なところ)けっこうカッコいいな、と思うクルマが多数見受けられます。
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日本でヒョンデが成功するかどうかはわからない
はお、現在ヒョンデは一度撤退した後の「日本市場再参入」。
当時売れなかった理由としては「ブランドイメージ」「品質」という問題が大きかったと言われていますが、現在では両方とも大きく改善されていると考えられ、以前とは大きく状況が変わっているものと思われます。
ただ、それでもヒョンデには不利な面もあり、まず思い浮かぶのは「販売体制」。
ヒョンデはテスラのビジネスモデルに近い「オンライン」メインの販売スタイルを取っており、そのために実店舗やショールーム、サービス拠点が非常に少なくなっています。
一方、ほぼ同じ時期に日本へと入ってきた中国のBYDは積極的にディーラー数を増やしており、つまりヒョンデとは真逆の戦略です。
そしてこの差がどう出るかというと、実際の「販売実績」に現れていて、初期段階の試乗車や展示車の登録が一段落したと思われる現在では、BYDのほうがずっと(ヒョンデより)販売台数が多く、これはつまり拠点の差かもしれない、と考えるわけですね(加えてBYDは営業活動に熱心で、頻繁に連絡がある)。
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もちろんBYDのほうが「価格が安い」ということもあるかと思いますが、日本は圧倒的に「対面販売」を好む傾向が強いと言われるので、この店舗数の差はけっこう影響が大きいのでは、とも考えています。
ヒョンデ・コナはどんなクルマ?
そこでこのヒョンデ・コナを見てみると、画像から受ける印象とは異なってけっこう小さく、全長4,355ミリ、全幅1,825ミリという「アウディQ2よりもちょっと大きいくらい」。
ちなみにアイオニック5は(これもまた画像で見た印象とは違って)けっこう大きく、全長4,635ミリ、全幅1,890ミリというポルシェ911よりも大きなサイズを持っており、正直なところ日本だと持て余すことになるかもしれません。※アイオニック5の画像だけを見るとコンパクトなハッチバックに見えるが、事実は異なる
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デザイン的な特徴はLEDライトバー「シームレスホライズンランプ」、さらにヒョンデのアイコンとも言えるピクセルグラフィックデザイン、スペクタクルな外観を演出する一体型クロームモールディング(Cピラーからルーフにかけてのライン。実車を見ると相当に印象に残る)といったところ。
機能面だとV2L(クルマから家電への給電ができる)、リモートスマートパーキングアシスト(車外から遠隔駐車できるもので、この価格のクルマとしては異例でもある)、NFCカードキーつきデジタルキー(スマートフォンをキーにできる)など先進の装備が満載。
正直言うと、ヒョンデというブランドが持つネガティブイメージ(抵抗がない人も多いとは思う)、そして販売拠点の少なさという不安要素はあるものの、もしそれらを払拭できれば、このコナは相当なヒットになってもおかしくないだろうな、という印象を持っています。※試乗車の少なさはカーシェアリングサービス等でカバーしようとしているが、それでも十分ではないと思う
なお、コナのバッテリーサイズは48.8kWhだとされ、これはアイオニック5のスタンダードモデルに積まれる58kWhよりも小さめです。
よって、一回の満充電あたり航続距離はアイオニック5の498km(WLTC)よりも短くなるものの、価格はアイオニック5の479万円よりもぐっと安くなるかもしれません。
参考までに、BYD ATTO3はバッテリー容量58.56kWh、航続距離470km、440万円という設定であり、よってヒョンデはATTO3への対抗上、コナの価格をこれよりも下に設定することは間違いないと考えていて、つまりコナは相当に安価で手に入る、かつカッコイイEVということになりそうですね(ただしBYDもDOLPHINにてさらに価格を下回ることになるのかも)。
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参照:Hyundai