| ボクは常々一度はヒョンデを運転してみたいと考えていた |
そしてそれは期待を超えるクルマであったと断言できる
さて、ヒョンデ コナ(Hyundai Kona)に試乗。
ヒョンデは少し前から全国規模にてコナとアイオニック5の試乗キャラバンを開催しており、この機会を活用しての試乗です。
なお、ヒョンデ(とジェネシス)は現在韓国はもちろん北米でも非常に人気があり、実際に昨年韓国を訪問した際には「街なかを走るクルマがヒョンデと(その傘下の)キアだらけ」。
さらには(ヒョンデとキアがEV税制優遇措置を受けることができない)北米市場においても両者は数少ない「EV成長組」となっており、非常に高い評価を受けているのがヒョンデというわけですね。
ただ、ぼくとしては「日本市場撤退前のヒョンデの状況と評判」を知っているため、ちょっとバイアスが入った見方をしてしまうのもまた事実であり、しかしこのあたりで自身のモノサシを最新の、そして世界基準にアップデートせねばなるまいと考え試乗の機会をうかがっていたのがここ最近。
実際のところ、ヒョンデのクルマを借りることができるカーシェアリングサービス「エニカ(Anyca)」に登録したり、年初の試乗イベントへの参加も試みたもののスケジュールが合わず、よってこれまで試乗が「伸び伸び」となっていたのもまた事実です。
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ヒョンデ コナはこんなクルマ
ヒョンデ コナには4つのグレードがあり、それぞれの概要は以下のとおり。
- コナ Casual・・・航続距離456km / バッテリーパック48.6kWh / 135PS / 価格3,993,000円
- コナ Voyage・・・航続距離625km / バッテリーパック64.8kWh / 204PS / 価格4,521,000円
- コナ Lounge・・・航続距離542km / バッテリーパック64.8kWh / 204PS / 価格4,895,000円
- コナ Lounge Two-Tone・・・航続距離541km / バッテリーパック64.8kWh / 204PS / 価格4,895,000円
ボディサイズは全長4,355ミリ、全幅1,825ミリ、全高1,590ミリ、車体重量は1,650kg〜1,770kg。※IONOQ5のほうが小さいクルマ(ハッチバック)であるように思えるが、実際はIONIQ5のほうが大きい
ちなみに駆動方式はすべてFFですが、「Voyage(ヴォヤージュ)」と「Lounge(ラウンジ)」とのバッテリーサイズとパワーが同じにもかかわらず一回の満充電あたりの高速距離が異なるのは重量が(ラウンジのほうが)60kg重いこと、タイヤが2センチ太く17インチから19インチになることが起因しているようで、こういった変更がダイレクトに響くのがEV問言う事になりそうです。
そこでこのコナを見てみると、「ツルっとした」ボディ表面が最大の特徴。
しなみにヒョンデはBMWやメルセデス・ベンツのように「金太郎飴」デザインを採用せず、モデルごとに異なるデザインを(トヨタのように)採用し、これをヒョンデ・ルックと呼んでいます。
そしてこのコナは「コナ特有の」デザインを持っているわけですが、ボディサイドには「Y」のような文字を再現したプレスラインが(デカールが貼られていてわかりにくいものの)用いられています。
そしてリアもツルっとしたデザイン。
一方でハイマウントストップランプや・・・。
「ピクセル」を再現したフロントグリルに・・・。
やはりピクセルをイメージしたリアフェイシアといった凝ったディティールも。
もちろんこのピクセルはアイオニック5で有名になったデザイン要素であり、ヒョンデはこれを(非常に)重要視しているということになりますね。
しかひ全体的にはツルっとしていて・・・。
リアも同様。
一方でランプ類もまた装飾的なディティールを持っています。
リアだとこう。
ちなみにこのLEDストリップは「ポジションランプ」で実際のヘッドライトはその下にあるプロジェクター。
テールランプは車両の全幅にわたって光ります。
そしてラインが「交錯する」リアセクションはかなり秀逸。
ちなみにリアバンパーの一番下(真ん中)で光っているのはリヤフォグランプ。
ヒョンデ・コナをのインテリアはこうなっている
ついでヒョンデ・コナのインテリアにつき、その雰囲気は全体的に非常に良好(質感もまずまず)。
「リビング」をイメージしたデザインがなされているといい、たしかに「落ち着ける」雰囲気を持っているように思います。
アイオニック5とは異なり物理スイッチが用いられ・・・。
ステアリングホイールのセンターパッドには「4つのドット」が配置され、これはモールス信号で「H(もちろんヒョンデの頭文字)」を表すのだそう。
機械式腕時計のようなブラシ仕上げを用いたパネルも。
シフトレバーは「コラムマウント」。
メーターはフルデジタル。
ヒョンデ・コナを運転してみた印象はこうだった
そしてこのヒョンデ・コナを運転してみた印象ですが、まず乗車時に感じたのは「フロアが高い」ということ。
これはフロアにバッテリーを敷き詰めるというEVならではの仕様だと思われますが、コナは(本国だと)ガソリン仕様もラインアップされており、両者のプラットフォームは共通だとされるので、ガソリン仕様でもやはりフロアが高いのかもしれません。
システム起動はステアリングコラムの左横にあるボタンを押して行い、オープニングシークエンスとともにシステムがスタートします。
その後はブレーキペダルを踏みつつステアリングコラム右から生えているシフトレバーの先端(シルバーの部分)をひねってDレンジに入れ、これで走行が可能な状態に。
車両は軽いクリープとともにスタートしますが、アクセルを踏み込んでも急激な(違和感のある)加速を見せることはなく、いい意味で「普通」に運転できるEVだと思います。
なお、ドライブモードは「スノー」「ノーマル」「スポーツ」など合計4つ、そして回生ブレーキの強さも(パドルにて)4段階に調整でき、「0」にしておくとまさにガソリン車同様の感覚にて運転可能。
一方、EVということもあってNVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)が徹底的に抑え込まれており、乗り心地は快適そのものと言ってよいかと思います。
ステアリングホイールの操作感、ペダル類のレスポンス、ブレーキフィールについても申し分はなく、様々なドライバーズアシストと相まって日常乗る分には非常に使いやすいという印象で(さらには車体がコンパクトなので日本の道路事情にはマッチしている)、ドライブモードを「スポーツ」に入れるとかなりキビキビしたクルマへと変化します。
反面、気になったのは「ベルトラインが高すぎるため」左右下方の視界がちょっと見づらいということで、しかしこれは(一定以上のグレードに備わる)カメラシステムを活用すれば問題を解決できるかもしれません(車両の周囲を確認する全方位カメラが備わっている)。※ドアミラーが視界の一部を遮っており、ここも少し慣れが必要
加えてステアリングレシオがかなりスローということもあり、その特性を把握するまでにはやや「大回り」してしまうものの、これもまた慣れで解決できるかもしれません。
そのほか気になったところとしてはロールとピッチがやや大きいということで、とくに段差超え時には前後に車体がゆすられるという感覚がありますが、これはホイールベースが短い(2,660ミリ)ということに起因しているのかもしれず、よりホイールベースが長く(3,000ミリ)、トレッドが広いアイオニック5だともう少し印象が変わるかもしれません(不思議なことではあるが、最低地上高はコナのほうが低い)。
なお、試乗車のグレードは「コナ ラウンジ ツートーン」であり、19インチホイールそして235幅という大きなタイヤ/ホイールを装着していたこともこういった挙動に関連している可能性があり、もしかするとコナのベストグレードはもっともベーシックな(17インチホイール装着の)”カジュアル”なのかもしれません(実際にコナ カジュアルを運転していないので判断はできませんが)。
しかしながらこういった点を除いても魅力あるクルマであることに変わりはなく、このデザインを持つクルマをこの価格で(補助金を考慮するとかなりお得である)購入できるというのは他では類を見ないケースだとも考えています。
そしてなによりも試乗しているときの(羞悪の人々からの)注目度はハンパなく、それはスーパーカーに乗っているとき以上かもしれません。
ちなみにキーはこういった「UFOっぽい」形状を持っており、この横にある「前進」「後退」のボタンを押せば(クルマが無人であっても)リモートにて車両を前進 / 後退させることが可能です。
ヒョンデ・コナを見てみたときの動画はこちら
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