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愛車サブスクリプション「KINTO」は本当にお得なのか!損得を計算してみたら意外な結果に

2019/10/31

| どう考えてもトヨタが儲かるだけのビジネスのような気がしてきた |

最近何かと話題の「愛車サブスクリプションサービス」。
トヨタがプッシュしている「KINTO」が代表的なものですが、これってどうなの?と思ってちょっと内容を調べてみることに。

まず、KINTOのウリ文句は「 頭金なし、月々定額で新車にお乗りいただけます 」。
この定額の中には自動車税や任意保険、登録諸費用、メンテナンス費用などが含まれており、こういった出費を気にする必要がない、というのが大きな特徴。

逆に必要なのは「ガソリン代」「駐車場代」といったところで、たしかにクルマを持つハードルを下げたと言えるかもしれません。

KINTOはリース契約と変わりない

ただ、よくよく見てみると、このKINTOの実際はリース契約。
「トヨタの新車を3年間乗り続ける」という内容の契約を締結するということになり、リスクとしては「3年間解約できない」「途中で解約すると清算金の支払いが必要で、解約金が請求される場合がある」ということ(FAQに記載あり)。
つまりは携帯電話と同じで、「縛りがある」ということですね。

メリットとしては、上述の通り「ガソリン代や駐車場代を除くと、定額費用以外はかからない」という部分。
そして細かいところですが、レンタカーのような「わ」ナンバーにならないというところも対外的なメリットだと言えるでしょう。

KINTOでは車庫証明や駐車場が自己負担

なお、KINTOであっても「車庫証明は自分で取得する必要がある」ため、月極駐車場によっては車庫証明取得の際に保証金を取られる場合があって、これは「新車を自分で購入する場合と一緒です(つまりKINTOで借りても自分で購入しても同じだけお金がかかる)」。

KINTOによれば、契約してクルマを使用する際に「カスタム」は可能としていますが、3年経過後には「元の状態で」引き渡す必要があり、その際のコストや手間を考えると、カスタムといっても不可逆的なもの、工賃が大きなものは現実的にできないと考えて良さそうです。

ぼくは、たとえば冬季だけ、「月割で」4WD車を2ヶ月ほど借りることができれば(積雪対策として)便利だなあと考えていたのですが、「車庫証明を取る必要がある」「そもそも3年間乗らなくてはならない」ということを考えると、これはどだい無理な話ということになりますね。

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KINTOは本当にお得なのか

そこで実際にKINTOは得なのか?ということを考えてみたいと思います。
たとえば、KINTOでの人気車種であるRAV4(Adventure 2.0L)の月額は63,800円。
これを3年乗ると63,800円×36=2,296,800円ということになります。

仮にRAV4(同一グレード)を買うとなるとその価格は3,195,500円で、諸費用はだいたい29万円くらい。
以下は以前にRAV4の見積もりを取得した際の諸費用明細です(286,732円。増税前だが、増税後には課されない税金もここに含まれているので、増税前後でもそこまで差は大きくない)。
あと、これに加えて必要なのは任意保険ですが、保険料はネットで入ればさほど高くなく、車両保険を「エコノミー」にしておけば4万円くらいじゃないかと思われ、概算諸費用29万円に4万円を足すと「33万円」。
つまり、RAV4を購入すると、総額では3,525,500円ということになりますね。

なお、保管するための駐車場については上述のように「購入でもKINTOでも変わらず」、車両にオプションを装着するとしても、KINTOではそのぶんもちゃんと加算されるので、結果的に「自分で払うことに」なることに変わりはありません。

自動車税 23,000円
自動車重量税 49,200円
自動車取得税 81,900円
自賠責保険料 36,780円
OSS申請代行手数料 26,568円
納車費用 9,504円
資金管理費用 290円
預かり法定費用 5,640円
預かりリサイクル預託金 10,750円
印紙代 200円
メンテ費用 42,900円

オプションについて補足しておくと、KINTOに記載の「定額」はあくまでも基本料金であり、たとえばこれに「T-connectナビ 9インチ」を装着すれば、定額63,800円に「2,420円」が加算されて66,220円に。
このT-connectナビ 9インチを3年分になおすと2,420円×36=87,120円ですが、「車両と同時に購入した場合」だと同じナビは158,400円なので、KINTOのほうが割安感はあるようです。

それはともかくとして、RAV4を「購入」した場合は3,615,500円かかるものの(初年度の購入代金3,525,500円に、あと2年分の任意保険と自動車税を足してある)、KINTOで3年乗った場合は2,296,800円。
その差は1,318,700円ということになりますが、問題はこれを「どう取るか」。

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KINTOはけして安くない

見方次第だと「KINTOだと132万円も安く乗れる」と考えることができるものの、もし自分でRAV4を購入していれば、3年後も追加費用無しで乗ることも可能。
しかしKINTOだとそこからまた別途契約する必要があります。

たとえば、3年経った後にまたRAV4をKINTOで契約すると、(金額が同じだったとして)6年乗ればKINTOの場合、合計で4,593,600円となるものの、自分でRAV4を購入していれば3,615,500円に任意保険をさらに3年分プラスし(時の経過とともに安くなるので、3年で10万円くらい?)、3年分の自動車税69,000円を足して3,784,500円という数字に。
KINTOだと車検費用を支払う必要はなく、しかし購入した車両であれば、車検費用は支払う必要がありますが(法定点検は”メンテ費用”として支払い済み)、これも15万円ほどで済みそうなので、多く見積もったとしても、自分でRAV4を購入したケースでは「6年で支払う金額は400万円」。
つまり6年乗るとKINTOのほうは60万円くらい高い、ということにもなるわけですね。

加えていうならば、3年経過した時点で、「買ったRAV4を売却すれば」車両本体価格の半分程度になると思われ、150万円くらいで売却できる可能性が大(人気モデルなので、もっと高いかも)。※6年経ってRAV4を売ると、60万円に加えて売却代金も手にできる
つまり3年経過時の「KINTOと購入時の差額」である132万円を超えるお金を手にすることができ、かつ自身で購入していれば「いつでも売れる」ので、どう考えてもKINTOを利用するメリットはなさそう。

KINTOを利用するメリットは?

もしKINTOを利用するメリットがあるとすれば「頭金がない」場合となりそうですが、今どき「頭金ゼロ」でもローンを組めるので、これもKINTOの優位点にはならないのかもしれません。

加えて、KINTOにも「審査」があって誰でも利用できるというわけでもなく、契約してからクルマが用意されるために「すぐ」乗れるということでもなさそう。

もしKINTOが「今すぐ乗れて」「1ヶ月単位で」契約できるのであればけっこうメリットがありそうですが、3年縛りがあり、しかも金額的にメリットがないとなると、やはりKINTOを利用する意味はないだろう、と考えています。

なお、KINTOには「レクサスを3年間で6台乗り換えできる」というKINTO SELECTなるプランがあり、これは面白いとは思うものの、月額利用料は198,000円から、という高額設定です。

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