| トラック22はこういった計画だった |
Web CGにて、マクラーレンのチーフ・オペレーティング・オフィサー、ジェンス・ルードマン氏へのインタビュー記事が掲載。
マクラーレンはかねてより中期計画として「トラック22」を掲げていますが、この詳細を紹介するものとなっています。
これによると「トラック22」とは「マクラーレンが2022年にあるべき姿をあらわした」もので、(計画発表時の)2016年からの6年で15のニューモデルを投入することを骨子としている、とのこと。
マクラーレンの方向性は「スポーツ」と「グランドツーリング」の二本立て?
マクラーレンはこの計画に従い2016年に「720S」「570Sスパイダー」、2018年には「セナ」「セナGTR」を発表。
そしてこの次のモデルはかねてより噂のセンターシート採用ハイパーGT、「BP23」になる、と述べています。
こちらはかの「マクラーレンF1」の再来とも言われるクルマですが、P1やセナとは異なり「GT」つまりグランドツーリングカーとなる模様。
ただ、マクラーレンは「570GT」という、「ちょっとマイルドな570S」を発表しているものの、多くのオーナーがよりハードなサスペンションやステアリングレシオを望み、そのためマクラーレンは「570GTを、570Sと同じハンドリング特性にする」オプションを発売したほど。
つまりマクラーレンの顧客は「スパルタンな」クルマを求めているということになり、この「BP23」についても570GTと同様の要望が生じるのかもしれません。
なお、マクラーレンがなぜ「GT」カテゴリに手を出すのかということですが、これは「そうしないと販売が伸びないからだ」とぼくは推測。
というのもマクラーレンは現在「スポーツシリーズ(540/570系)」「スーパーシリーズ(720S)」「アルティメットシリーズ(P1やセナ、BP23)」という3つの大きなラインアップを持ちますが、これらは基本的に「同じエンジンと同じシャシーを使用」。
エンジンだと排気量に差はあるもののV8ツインターボで、シャシーもバージョン違いこそあれど基本は「カーボンモノセル」。
しかもマクラーレンはSUVを作らないと公言しているので、この「決められたコンポーネントとパッケージング」という枠組みで販売を伸ばそうとすると「GT」「スポーツ」という二本立てにならざるを得ないのだろう、とも思うわけですね。
そのために「570」では「S」と「GT」が存在し、アルティメットシリーズでもスポーツ走行の頂点たる「セナ」、そしてGTカーの頂点となる「BP23」を発売することとなるのかもしれません。
つまり「スポーツ路線のみ」だとモデル数が少ないままにとどまり、商業的にも成長がないということになりますが、アルティメットシリーズの場合は「方向性違い」のモデルを2つ出せば、同一顧客が「2台」購入してくれる可能性も生じることに。※そして今後はここに「エレクトリック」が加わるのかも
マクラーレンは「今後5年で14の新型車」発売。同じような車を20種も持つメーカーに
マクラーレンは2017年に3340台を売り「過去最高」に。同じような車ばかりなので利益率も高い?
マクラーレンBP23はハイブリッド
話を「BP23」に戻すと、これは現在のところ「コードネーム」なので発売時には別の呼び方がなされる可能性が大で、実際にマクラーレンは”今後の限定モデルには記号や数字ではなく名前を与える”とも発言しています。
BPは「マクラーレンのカスタマイゼーション部門、MSOによるビスポーク・プロジェクト(特別に誂えたモデル)」、2は「ビスポーク・プロジェクトの二番目(2列シートの”2”と言われていたが違うらしい)、3は「三人乗り」を表現。
なお、ビスポーク・プロジェクトととしてはP1やセナも該当しそうで、これは「二番目」というのはちょっと違和感があるものの、マクラーレンいわく「最初のビスポーク・プロジェクトが”F1”で、BP23は二番目であり、F1へのトリビュート」とのこと。
そしてパワートレーンは「ハイブリッド」、発売は2019年、限定台数はマクラーレンF1と同じ106台。
最高速度はF1の384.22キロを上回るとされていますが、「391キロ」となることもこれまでのティーザー動画からも見て取れます。
最後にジェンス・ルードマン氏は現在マクラーレンの従業員は2300人、そして生産に携わるのは900人、エンジニアが500人、新たに建設するコンポジットセンターではこれらに加えて200人を追加採用、とのこと。
生産キャパシティは年間5000台(2017年の生産は3340台)で、2022年までにはこの数字に届く予定だとしています。
さらには「残り4年で11モデル」発売のために4つもしくは5つの計画を並行して進めており、「全て順調」だとも。
加えて予定通り、2022年には全モデルの半分、つまり50%がハイブリッド化されるようですね。
マクラーレンは他のスーパーカーメーカーがSUVを発売したりとバリエーションを拡大する中でひたすら走行性能だけを追求しているメーカーで、その「筋が通った」姿勢が最大の特徴。
つまり「ブレない戦略」を持っていることになりますが、これが吉と出るか凶と出るのかは今後のほかメーカーの動向にもかかっているのかもしれません。
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