| ポルシェ本社には膨大な設計図が整然と保管されている |
ポルシェが自動車メーカーとしての認可を受け、初めての市販車を世に送り出したのは1948年6月8日ですが、そのルーツは1931年に設立された「ポルシェ事務所(Dr. Ing. h.c. F. Porsche GmbH, Konstruktionen und Beratungen für Motoren und Fahrzeugbau)。
つまり最初は自動車メーカーとしてというよりも設計事務所としてのスタートということになり、そこから通して今までに10万以上もの設計図や図面がポルシェ本社に保管されている、とのこと。
設計ナンバー1~6は「欠番」。その理由は?
ポルシェ事務所としての最初の注文は「ヴァンダラー」によるリムジンの設計で、しかし「最初」だと悟られると商売上優位に立てないと考えて設計番号を「1」ではなく「7」にしたという話は有名(1店舗しかなくても「本店」「~店」としている飲食店に似ている)。
その流れで「356番目の」設計がポルシェ356で、「550」は550番目の設計。
550については重量が550キロであったからとも言われますが、ポルシェによると「550」はコードナンバーをそのまま名称として採用した、とのこと(ポルシェ・ジャパンによる解説はこちら)。
↓「Carrera」エンブレムはこれだけ細かい設計がなされていた!
中には「パーツだけ」の設計もあるかとは思われるものの、そういった図面がこれまでに10万以上は残されているということになり、これはポルシェにとっての大きな財産だと言えそう。
ポルシェはその収入に占める「特許権利に関するもの」が多い会社だと言われ、つまり多くの特許を保有し、多くの会社がそれを使用している、ということですね(ティーガー戦車、トラクター、月面探査車など、様々な設計を行ったことでも知られる)。
加えて他自動車メーカーからの開発や設計を依頼されることも多く、それは「ポルシェとのつながりのない自動車メーカーはない」と例えられるほど。
なお「911」は設計ナンバーではなく、これはフォルクスワーゲンの「命名方法に従った」ことが理由。
当時ポルシェはフォルクスワーゲンとの提携を考えており、それまで採用していた社内コードから、フォルクスワーゲンの定めるそれへと変更を考え、フォルクスワーゲンでは「900番台」が未使用だったためにポルシェがこれを使用することに。
6気筒モデルは「901」、4気筒モデルは「902」というプロジェクト名が振られることになりますが、「901」がプジョーからのクレームによって「911」となったのは有名ですね。
↓356の外観設計図!
今はもう「デジタル」となり、最近の設計図を紙で残すことはなくなったと思われますが、ポルシェ博士の思想を受け継いだ人々が今後も何十万、何百万といった資産を残してくれることになりそうです。