「やられっぱなし」の状況がこれで少しは変化する?
レンジローバー・イヴォークは中国において大変なヒットとなり、そのために中国の自動車メーカーが異ヴォークをすぐさまコピーして「Landwind X7」として発売したのは記憶にあたらしいところです。
そしてジャガー・ランドローバーは当然これに対して法的措置を取り、しかしなんと中国の地方裁判所はジャガー・ランドローバーの主張を認めないという判断を下し、つまり「イヴォークのコピー車は合法」になってしまった、という後日談のおまけつき。
ジャガー・ランドローバーは負けなかった
ただ、その後もジャガー・ランドローバーは上訴していたようで、今回晴れて北京の裁判所が「Landwind X7はイヴォークのコピーである」という判断を下した、と報道されています。
そして「コピー」と判断したのは主に5つの部分においてデザインが酷似しているというところからだとされ、裁判所は「即時Landwind X7の生産を停止するように」これを製造している会社(Jiangling)へと命令を出した、とのこと。
加えて裁判所は(ジャガー・ランドローバーへの)賠償金の支払いも命じており、これはまさに快挙だと言えそうですね。
なぜ中国ではコピーが横行するのか
なお、ジャガー・ランドローバーによると、これは「自動車業界で、海外自動車メーカーが中国のコピー車に勝訴した最初の例」としていますが、問題はなぜこういったコピーがそもそも起きるのか、ということ。
これには中国のパクリ体質がベースにあるのは間違いなく、しかし今まで海外のメーカーが敗訴し続けてきたことでもわかるとおり、「中国側に有利な判決が出る」と中国メーカー側も認識していて、よって「訴えられても問題ない」と考えていたためだと思われます。
ただし今回の判決によってその流れも変わることになり、今後はこういったコピーも少しは減ってくるのかもしれません。
ちなみに最初にジャガー・ランドローバーが負けたのは、「中国にイヴォークが入ってきた時点で、イヴォークはすでに世界中で販売されてそのデザインは既知のものとなっていたため、新規性は認められない(よってパクっても問題ない)」というもの。
そしてこのLandwind X7ですが、ディーラーには「イヴォークに換装する」コンバージョンキットが売られていて、それを装着するとエンブレムまで「RANGE ROVER」「EVOQUE」に。
ただしちょっと残念なのは、中国生産に移したイヴォークはじめジャガー・ランドローバーの品質が非常に悪く、せっかく勝訴したのに、すでに中国におけるイヴォーク人気が収束してしまったということ。
なんとなく中国側の(合弁企業が愛国心から行った)「仕返し」のような気がしなくもないですが、もちろん売れないと合弁相手も困るので、それはうがった見方というものですね。
まだ他にも。中国の自動車メーカーがメジャーメーカーのクルマをコピーした案件
今回のLandwind X7は氷山の一角でしかなく、他に有名なのはランボルギーニ・ウルスのコピー、C60。
これはHansu Auto(北汽幻速汽车)が発売したもので、さすがに中国でも酷評されているようです。※メルセデス・ベンツの中国でのパートナー、北京汽車が噛んでいる模様
やはり最も有名なのはやはりポルシェ・マカンのパクリ、「SR9」。
ちなみにメーカーはZotye(衆泰汽車)ですが、なんとフォードはこのZotyeと提携していて、いずれフォードもパクられそう(そのリスクを侵してでも中国市場に参入せねばならないというのもまた事実)。
そしてなんとメルセデス・ベンツはその提携相手にG63をコピーされる、という状況に。
ちょっと常識では考えづらい行動ですが、それをやってしまうのが中国だということですね。