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二度目のBMW i3、ただし今回はレンジエクステンダーに試乗する

2015/02/12

BMW i3への二度目の試乗。
前回は純EV、今回はレンジエクステンダー付き車両です。

二度目なのである程度の客観性と慣れをもっての試乗が可能であり、前回より突っ込んだところも述べてゆきたいと思います。

まずはBMW i3のデータから。
全長 4010ミリ
全幅 1775ミリ
全高 1550ミリ
車両重量 1390(1260)キロ
最小回転半径 4.6メートル
最低地上高 110ミリ
タイヤ F155/70R19 R175/60R19

現代の車としては、サイズは比較的小さいと言えます。
もともとメガシティビークルとしての開発なので都市部での使用を前提としており、取り回しのしやすいサイズを目指したのでしょうね。
特筆すべきは最小回転半径4.6メートルというところで、これはかなり小さいと言えます。
最低地上高は日本仕様では車高を落としているため(立体駐車場に対応するために日本のみ1550ミリに収めている)、ちょっと低めです。
ただホイールベースは2570ミリと短く、さほどお腹を擦る場面は無いかもしれません。

さて早速試乗ですが、冬季の試乗ということもあり、担当営業さんがスマホ経由でi3の車内を適温になるようリモート操作(i3はこういった車両の操作、モニタリングがスマホ経由で可能)してくれており車内は非常に快適な状態。
車に乗り込み、ステアリング右上のコラムシフトのようなものに取り付けられている「スタート」ボタンを押すとなんとも言えない未来っぽいサウンドとともにi3が”起動”します。
同じレバー上にあるノブを動かして「D」レンジに入れて電気式パーキングブレーキを解除しさっそく試乗開始。
クリープは無いのでアクセルペダルを軽く踏んで車を動かします。

今回は担当さんのご厚意もあり、けっこうな時間を試乗することができ、高速道路も含めて様々な環境で試乗を行いました。
実際に購入を考えている車ということもあり、ネガティブな面を探そうとしていますが、今回の市場でもネガティブなところを探すのは難しかった、と言って良いでしょう。

一般道での挙動については前回同様の印象ですが、「ねっとりとした」粘りのある足。
初動が柔らかく、その後バタつく足回りを持つ車は多いですが、i3は初動が柔らかい上にしっとりとした動きを見せ、ポルシェのセッティングにも近いものがありますね。
日本仕様はMスポーツの車高調整式サスペンションが入っているので、その影響だと思います(欧米の試乗レポートではバタつきが指摘されている)。
ぼくの経験上、このBMW i3やポルシェのような足回りは「相当にお金をかけないと」実現できないもので、かなり数少ない車だけが持ちうるものだと認識しています。

レンジエクステンダー仕様なのでスペック上は130キロも純EVよりも重く、前回に試乗した個体より動きがモッサリしているのではと懸念しましたが、それも杞憂に。
むしろ落ち着いた動きをするようにも思います。
さすがトルクが瞬時に立ち上がるというモーターの特性もあって、機敏さは損なわれていないように感じますね。

いつも走る高速道路にてボクスターと同じように走行してみますが、ロールが大きいというくらいでスタビリティは非常に高いという印象(ボクスターとの比較であっても)。
タイヤは幅が155と175ということでかなり細いと言われますが、90年代でもカローラなどは余裕でそれくらいの幅のタイヤを履いており、かつホイールサイズは13インチなどもあったので、それに比べると19インチ、そして専用開発タイヤということもあり全然余裕。
このあたりのネガティブさは感じられません。

今回はずいぶん慣れてきたのでレーンチェンジなども意図的にクイックに行いますが、揺り戻しや不快なブレ、振動は微塵も感じられず。
内装の異音についても注意して気にしていたのですが、これも感じられず。
やはりカーボンのパッセンジャー・セルは非常に強固なのでしょうね(観音開きという大きな開口部を持つのにドアはサッシュレス、Bピラーも存在しない)。

改めて室内を見るとグラスエリアが非常に広く、かなり開放感あふれる印象です。
最近は比較的囲まれ感の強い車に乗ってきたので、この広く明るい車内は久々の感覚ですね。
ガラスの使用面積がかなり大きく(バックドア全面がガラス)、これだけで相当に重量がありそうですが、やはりバッテリーをフロア底面に積むという「低重心」な構造であるために揺れに対しては強いようです。
試乗当日はかなり横風の強い中でしたが、高速道路上でも風に煽られるということはほとんどなく、一般的な車に比べてもここは優れていると言えますね。

アダプティブ・クルーズコントロールについても試してみましたが、一定の距離を保って前車について行くというのはなかなか奇妙な体験でした(これについてはさほど魅力を感じておらず、ぼくはたぶん使用することはないと思うので割愛)。

実際にi3を購入するとなるともちろんレンジエクステンダー付きですが、これは最大で93万円の補助金+免税があるのは大きいですね。
i3購入の場合は自宅にEV専用コンセントを装着する必要がありますが、この費用は大体15万円くらい。
充電にあたってはフロントボンネットを開け、その中にあるソケットにコネクタを挿す必要があります。
車両の後部にもソケットがありますが、こちらは急速充電器用で、自宅では使用せず。
自宅で充電する際には、つまりボンネットを毎回開閉する必要がある、ということですね。

ぼくが月曜日から金曜日までに走行する距離はちょうど300kmですが、i3の走行可能距離も(レンジエクステンダー使用で)300km。
そう考えるとぼくの用途にはマッチしているかもしれません。

外装がプラスチックというところも魅力で、一般の駐車場に車を止めることが多いぼくにとっても隣の車のドアパンチによる凹みを多少は軽減してくれるかもしれません。

静粛性についても通常の車よりも当然高く、かつタイヤが細いのでロードノイズも最小限。
レンジエクステンダーの動作も走行中のみしか行われず、音楽を車内で聞いているとたぶん音には気づかないレベルだと感じました(実際に作動させましたが、走行中はその音はまず聞こえない)。
荷室に関してもややフロアは高いものの十分なレベルで、加速性能や運動性能、小回り、乗り心地といったところもガソリン車より優れます。
ガソリン車に比べて劣るとすれば、「価格が高い」こと、「やはり航続可能距離が短い」こと。
航続可能距離については、問題にならない人にとっては気にする問題ではない(毎日の走行距離が短く、自宅で充電できる)と思いますが、そうでない人には切実な問題だと思います。
充電設備などインフラは拡充してきましたが、EVの普及とともに順番待ちやマナーなどの問題が生じ、これはかなりのストレスになることは間違いないと思います。
そのほか、これも人によると思いますが、内装の簡素さも「チープ」を感じるかもですね。
ぼくはその先進的な取り組みを評価したいと思いますが、たしかにドア内張りなどは材質が薄く、開閉のたびに震えるので、これは我慢できない人がいるかもしれません。

なお、バッテリーの消耗については1日乗らないと1%程度減る、とのことですが、さほど長い期間車を放置することはないので、ぼくにとってはさほど問題にはなりません。

点検についてはおおよそ同じBMWの1シリーズと同じかちょっと安いか、という程度だそうです。
一回の満充電にかかる費用(電気代)は200円程度とのことなので、月あたり1000キロは走るぼくにとっては大幅なランニングコストの削減になりそうですね。
自動車税の減免は初年度のみですが、2年目以降でも1000CCクラスと同等の費用なので、ここもコストを抑えられる部分です。
車検や点検ではBMWの代車が出るそうで、その際には引き取りもオーケーとのこと。

i3についてはLEDヘッドライト(オプションですが)、アルミ+カーボンシャシー、先進的なインターフェースとデザイン、というのは春にはやってくるランボルギーニ・ウラカンと共通のところで、こういった共通性もぼくにとっては購入の動機として働きます。

なお、ぼくが訪問した営業所ではi3の試乗車が合計4台。
かあんり販売にも力を入れているようで、2月末までの登録であれば、充電設備の工事費を無料にしてくれる、というキャンペーンも展開中。

大抵の車は二度目の試乗、しかも長時間となると初回の感動が薄れるものですが、BMW i3に関しては前回にも増して驚くことが多く、さらに魅力的に感じられたことが印象的でした。

これまでの試乗レポートは下記のとおり。
最新の試乗レポートはこちらにあります。

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