| モックアップとはいえどその完成度は高い |
スバルは先日、中期計画のおさらいと長期計画を公表する「技術ミーティング」を開催したところですが、そこで明らかにされたのが2020年代にピュアEVとストロングハイブリッドを投入すること、そして「2030年代には全車電動化を行う」ということ(ハイブリッド含む)。
加えて2020年には新設計1.8Lリーンターボエンジンを投入することになるものの、これ以降「新型エンジン」を投入する計画は明かされていないので、おそらくはこのエンジンが「スバルにとって最後の新型エンジン」となりそうですに(メルセデス・ベンツはすでにガソリンエンジンの開発を終了させている)。
スバルが長期計画公表。2020年に新型エンジン、2020年代はじめに”ファン・トゥ・ドライブな”EVを投入し、2030年代にはついに全車EVに
トヨタとスバルは共同にてEVを展開する計画を持っている
そして今回公開されたのが「スバルが2020年代に投入する新型エレクトリックSUV」。
2019年6月にはトヨタとスバルとが共同して「新設計のSUVを開発する」と発表していますが、その際の骨子は下記の通り。
・両社が培った技術を持ち寄り、EV専用プラットフォーム(中・大型乗用車向け)を共同で開発 ・トヨタの電動化技術と、SUBARUのAWD(全輪駆動)技術を活用 ・EV専用プラットフォームをベースに、CセグメントクラスのSUVを共同開発し、両社のブランドで販売 |
トヨタとスバルとがEV開発に合意!両社から共同開発した電動SUVを発売し、さらにC~DセグメントのセダンやSUVも発売予定
今回公開された車両は「モックアップ」であり走行は不可能。
パっと見た印象は「未来風」で、サイバートラックほどではないものの、ほどよい「未来」が感じられるように思います。
さらにはなかなか難しい「グリルレス」もうまく処理され、ドアミラーも「デジタルカメラ」に。
スバルらしい、エッジを活かした「ダイナミック&ソリッド」なデザインが特徴的であり、ここ最近発表された一連のコンセプトカーにも通じるディティールも見られますね。
ちなみにぼくはスバルのコンセプトカーのデザインが大好きで、それだけに「市販モデルになるとかなりトーンダウンしてしまう」のはちょっと残念。
なお、内部については公開されていないものの、パッケージングとしては(以前に公開された画像だと)こんな感じ。
ガソリンエンジンのかわりにモーターとインバーターなど制御系を積み、フロアにはバッテリーを敷き詰めるというイメージです。
そしてふと疑問に思うのが、「EVにおいて、スバル得意のシンメトリー4WDはどう再現するんだろうな」ということ。
スバルは現在「水平対向エンジン」によって左右の車体バランスを均等に保ち、4WD化のためのプロペラシャフト、デフ等も「左右等しく」配置しているということを押し出していますが(直列エンジンや、ミドシップの場合はこういったレイアウトが難しい)、エレクトリック時代ではこれをどう(ブランディングのために)活用するのだろうかと考えています。
モーターやインバーターを左右対称(もしくは車体の中央線上)に配置することは難しくはなく、しかしこれはスバルだけではなく他社でも比較的容易に実現できるので、「スバル特有の」パッケージングにはならないワケですね。
そのあたりはぼくが考えても仕方がないことなのでスバルに任せるとして、この「新型エレクトリックSUV」には高い期待を寄せる人も多いと思われ、今後の展開に期待したいところです。
なお、スバルはトヨタからの拡大出資を受けて事実上「系列化」していますが、こういった電動化をスバル独自で行うのは難しく、しかしトヨタの力を借り、かつスバルの元来持つ強みをプラスすることで高い競争力を発揮できる可能性が大。
提携や共同開発についてはネガティブな意思を示す人や会社も多いものの、やりようによっては「1+1=2以上」になるようなケースも多く、うまく他社の力を活用すれば、自社の資産を未来に活かせるということになりそうですね。