| 所得の高いアメリカではクルマが安く、所得の低い日本ではクルマの価格が高く設定されている |
さて、いつも思うのが「アメリカではクルマが安く買える」ということ。
アメ車だとC8コルベットが(アメリカで)59,995ドル(約629万円)から、しかし日本では1180万円から。※この設定ではアメリカでも「え?」と話題になった
ただしこれはコルベットに限ったことではなく、ジープでもラングラーは28,295ドル(297万円)~、日本だと490万円からという設定です。
もちろん装備に差があると思われるので正確な比較ではないと思われるものの、ミニやBMW、メルセデス・ベンツといった欧州車においても、これは同様の傾向を持っています。
アメリカは平均所得、可処分所得ともに日本よりも高い(はず)
そしてクルマの安さに比較し、アメリカの平均所得は約570万円ほど、日本では420万円ほど。
所得税に関してはアメリカが10/15/25/28/33.35/39.6%、日本は20/23/33/40%となっており、これについて大きな差はないものの、日本のほうがやや高いということに。
そのほか物価については(アメリカでは地域でので差が大きいものの)平均すると日本と大きな差はないと言われ、しかし土地についてはニューヨークやサンフランシスコ、マイアミなどの一部を除くと「日本よりもかなり安い」とも言われているようですね。
そしてこれらを総合すると、アメリカのほうが可処分所得が高いとも考えられ、「世帯所得(世帯可処分所得)」だとさらにアメリカのほうが大きくなるのかもしれません。
つまりアメリカ人にとって、自動車は(日本人が自動車に抱く価格感よりも)安い買い物だと考えることもできます。
ポルシェの国内価格は米国の最大1.5倍
そして参考までに調べてみたのがポルシェの価格。
最近でこそ差が「小さくなった」ものの、2000年代はじめまではけっこう内外価格差があり、よって相当数の並行輸入車が出回っていたことも記憶に残りますが、今でもポルシェの国内価格はちょっと高め。
ざっと見てみると718ケイマンで日本は雨以下の1.23倍、マカンだと1.34倍、比較的差が大きいパナメーラターボS Eハイブリッドエグゼクティブだと1.52倍。
この差は小さいとは言えず、正直言うと「もうちょっとなんとかしてほしいなあ」というところです。
モデル | 日本 | アメリカ |
718ケイマン | 773万円 | 59,900ドル(629万円) |
718ケイマンS | 914万円 | 71,900ドル(755万円) |
718ケイマンGTS | 1072万円 | 86,800ドル(911万円) |
718ケイマンGT4 | 1259万円 | 100,200ドル(1052万円) |
911カレラ | 1398万円 | 99,200ドル(1042万円) |
911カレラカブリオレ | 1623万円 | 112,000ドル(1176万円) |
911カレラ4S | 1835万円 | 122,400ドル(1285万円) |
911タルガ4 | 1729万円 | 119,300ドル(1252万円) |
911カレラ4Sカブリオレ | 2060万円 | 135,200ドル(1419万円) |
911ターボ | 2443万円 | 170,800ドル(1793万円) |
911ターボSカブリオレ | 3180万円 | 216,300ドル(2270万円) |
タイカン | 1448万円 | 103,800ドル(1090万円) |
パナメーラ | 1232万円 | 87,200ドル(9152万円) |
パナメーラ4S | 1717万円 | 105,000ドル(1055万円) |
パナメーラターボ | 2493万円 | 153,000ドル(1606万円) |
パナメーラターボS Eハイブリッドエグゼクティブ | 3178万円 | 198,100ドル(2080万円) |
マカン | 737万円 | 52,100ドル(547万円) |
マカンS | 901万円 | 60,200ドル(632万円) |
マカンターボ | 1252万円 | 84,600ドル(888万円) |
カイエン | 1071万円 | 67,500ドル(709万円) |
カイエンEハイブリッド | 1275万円 | 81,800ドル(859万円) |
カイエンGTS | 1682万円 | 107,300ドル(1127万円) |
カイエンターボ | 1983万円 | 127,800ドル(1342万円) |
カイエンターボS Eハイブリッド | 2408万円 | 163,200ドル(1713万円) |
日本では「高くても売れる」と思われている?
なお、日本におけるポルシェの価格設定は「バブル期」を引きずっている可能性もあり、というのも当時日本の平均所得は世界でもかなり高いほうで、「日本では高くモノが売れる」という考え方があったため。
よって、(ルイ・ヴィトンなど)欧州ブランドは「日本での販売価格は本国の何%増し」といった一定の係数を設けているところも多く、しかし日本における平均所得はバブル崩壊後から(1年を除いて)伸びておらず、しかし逆に欧米の平均所得はどんどん伸びていて、その頃と今とでは大きく事情が異なるわけですね。
それでも日本での価格設定は「高いまま」に止まっており、しかし平均所得が下がっているので他国に比較すると販売数が増えず、そして販売数が相対的に低いため(アメリカのように)多数売れるので価格を引き下げてもっと売ろうということにもならず、負のスパイラルに突入しているんじゃないかと考えることも。
現在、日本におけるポルシェの販売台数は他国の伸びに対して大きくはなく(もちろん絶対的な販売数は増えている)、よってポルシェジャパンの地位が相対的に下がってきていると聞きますが、もしもうちょっと価格を下げてくれればもっと台数が出るようになり、ポルシェジャパンの発言力も大きくなるのかも。
ポルシェの価格感は日米で大きく異なる
上に挙げたとおりアメリカの平均所得は日本の1.36倍程度あり、たとえばアメリカだと718ケイマンは(アメリカの)平均所得比で1.1倍(可処分所得は算出しにくいので考慮していない)。
一方の日本だと718ケイマンの価格は平均所得日で1.84倍となっていて、車両の内外価格差だけではなく、平均所得まで考えると「相当な差」があることがわかりますね。
ちなみにマカンだとアメリカの場合は平均年収以下の0.95倍、日本だと平均年収の1.75倍という、さらに大きなものとなっています。
つまり平均所得の高いアメリカではずいぶんクルマが安く売られ、平均所得の低い日本ではずいぶんクルマ(輸入車)の価格が高い(日本は関税ゼロ)という現実がここにあるわけですね。