| やはり中国はなんでもアリだったな |
さて、「中国で、テスラよりも売れているEV」としてたびたび報道される「宏光ミニEV」。
それもそのはずで、車両価格はなんと48万円という突出した安さです。
「テスラが売れている」という一般認識があるため、各報道機関はフックとしてテスラの名を持ち出しているのだと考えられますが、実際には競合でもなんでもない存在なわけですね。
そういった理由からぼくはこの「宏光ミニEV」についてはスルーしていたものの、ぼんやりニュース動画を見ていて目に飛び込んできたのが街を走る「宏光ミニEV」の様子で、中には看過できない個体も存在する模様。
もともと中国では思い切ったカスタムが多かったが
まず目に入ったのは「となりのトトロ」に登場する猫バス仕様。
そして次にカメラが捉えたのはポルシェの「ピンクピッグ」。
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正直なところ(画面を見る限りでは)かなりクオリティが高く、もしかするとディーラーがこういったオプションを用意しているのかもしれない、と思ったり。
なお、中国の自動車市場は「なんでもアリ」で、レンジローバーのパクリを堂々と販売し、その上で「さらにレンジローバーに近づけることができるよう」レンジローバーのエンブレム等も”オプション”として販売されていたりします。
こういった事情を鑑みるに、「猫バス」「ピンクピッグ」がディーラーオプションとして用意されていても驚かないな、と考えているわけですね(宏光ミニEVのメーカーサイトには、こういったラッピング仕様は登場していない)。
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宏光ミニEVはこんなクルマ
そこで急に宏光ミニEVに対して興味が湧いてきたわけですが、これは全長2.9メートル、しかし4人を収容できるというクルマ。
中国では大きな車同様に小さな車の需要も多く、よって以前からスマートの(コピーの)人気が高かったりという事情も。
ちなみにこちらは宏光ミニEVを発売している会社が(別ブランドから)リリースしているクルマで、やはりスマートっぽい印象もありますね(もっと露骨にスマートに似ているパクリ車も様々なメーカーから発売されている)。
参考までに、現在スマートブランドは中国の吉利汽車へと過半数の株式とともに売却されています。
話を宏光ミニEVに戻すと、これは急速充電器にも対応しない、豪華装備もない、航続距離も最小限という電気自動車。
ただ、ぼくはこういった「割り切った」クルマが大好きで、「他とは違うことをやる(他と同じことをしても勝てない)」という姿勢は評価したいところ。
そして驚かされるのは、宏光ミニEVについて、世界展開を目論んでいること。
日本や欧州、北米では販売が難しいかもしれませんが、南アフリカやロシア、東南アジアあたりではけっこう需要があるのかもしれません。
発売しているのは上汽通用「五菱」
そしてこの宏光ミニEVを発売しているのは上汽通用五菱。
ちなみに「五菱」は日本の「三菱」をイメージしたのだと思われ、というのもエンブレムが「赤いひし形(レッドダイヤモンド)が5つあるデザイン」だから。
このほかにも、中国には「BMWっぽい」エンブレムを持つ自動車メーカーなどが存在しますが、この上汽通用五菱は実際に三菱の車両をベースにした車両を製造していたことがあり(ノックダウンなのか無許可なのかはわからない)、これを行っていた1980年代に「5つのレッドダイヤモンド」エンブレムを採用しています。
参考までに、このこの上汽通用五菱は、中国の自動車メーカーでは「初の累計100万台を突破したメーカー」。
さらに宏光ミニEVについては、昨年7月の発売以来20万台を販売した、とのこと。
ただ、ここでぼくが思うのは、「中国あるある」にて、どれほど売れようとも、1年くらいすると全く売れなくなる場合があるということ。
その理由は「安価な製品を大量に作って大量に売ると、大量に不良品が出て評判が落ちるから」。
よって、中国である車がヒットして爆発的にそれが増え、中国に行ったときに「なんか同じクルマばっかりだな・・・」と感じたとしても、半年や1年後に中国を訪れると「前はあれだけ走っていたあのクルマが一台もいない・・・」という実体験もあるわけですね。
ただし現代では技術も進歩しており、「大手」となった上汽通用五菱のことなので、大量に宏光ミニEVの不具合が出るとは思えないものの、来年も「テスラよりも売れている」という状況が続いているかどうかは疑わしい、とも考えています。
宏光ミニEVを紹介する動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=qEfegbraowQ参照:FNNプライムオンライン