| チャリティーオークションに対する考え方は日米で大きく異る |
それにしても去りゆくクルマに1億1000万円も支払うとは
さて、ホンダ(アキュラ)は先日NSXの最終限定モデルとして「NSX TypeS」を発表していますが、今回その生産第一号車の購入権が100万ドル(1億1000万円)で落札されることに。
このNSX Type SはNSX Type Sの内外装に手を加え、パワートレーン、サスペンション、そして軽量化を行うなど徹底的な改良と強化が行われたモデル。
ちなみに日本以外でNSX TypeSが発売されるのは今回がはじめてだそうで、限定台数350台のうち300台がアメリカに、30台が日本に、そして残る20台が残りの国へと分派されることになります。
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仕様はこれから自由に選択可能
今回落札されたのはあくまでも「購入権」であり、現在このNSX Type Sは実際に製造が開始されていないため、落札者は今から自由に自身のクルマの仕様を選べるとのこと。
よって70台のみしか用意されない「ゴッサムグレー」も無条件に選択でき、もちろんそれ以外のボディカラーでも選択可。
ただしこの車台番号001にはカーボンセラミックブレーキ、グロス仕上げのカーボンファイバー製エンジンカバー、ライトウェイトパッケージ(インテリアにカーボンパーツが追加される)が組み込まれる予定で、これらによって26キロの軽量化が達成されます。
そしてこの「NSX Type S」生産第一号の落札者はヘンドリック・モータースポーツのオーナーであるリック・ヘンドリック氏だと報じられており、同氏は「納車第一号」のオーナーという栄誉に浴するために、通常の新車価格の6倍のプレミアムを支払ったということに。
ただ、このNSX Type S第一号車の競売による収益金はすべて全米の科学・技術・工学・芸術・数学(STEAM)における青少年教育を支援するCenter of Science and Industry(COSI)などの慈善団体に寄付されることが決まっており、よって多くの人がチャリティー目的にて高額入札を繰り返したということになりますね。
なお、驚くのは2017年に行われた「NSX生産第一号」の落札者もまたリック・ヘンドリック氏で、この際の落札金額は120万ドル(約1億3000万円)であり、こちらの収益金はPediatric Brain Tumor Foundation(小児脳腫瘍財団)とCamp Southern Ground(キャンプ・サザングラウンド)へと寄付されています。
なぜ人々はこれだけのお金を支払うのか?
たしかに生産第一号となると「大きな付加価値」がつくことになり、そういったクルマのオーナーとなるのは大変な栄誉ではありますが、それにしても1億1000万円というのは異常な金額(どう考えても、将来的にNSXがこの金額で売れるとは思えず、大赤字なのは間違いない)。
それでもこういった高額落札の背景にあるのは「社会貢献」の精神なのかもしれません。
アメリカはなんだかんだ言って助け合いの精神が強く(移民の国だからか)、自分に助けるだけの力があるとすれば、困っている人に手を差し伸べるべきだと考え、実際にそう行動する人が多いようです。
ハリウッド映画を見ていても「自己犠牲」が重要なテーマとして描かれていますし、お金を持っている人はお金を使い、それで経済を回さないという考え方から「お金持ち向けの買い物ツアー」が支持されるほどだといいます(メジャーリーガーの奥様で組織される買い物ツアーもあるらしい)。※日本でお金持ちが消費すると叩かれるだけですが
ぼくら日本人からすると「そうまでして生産第一号が欲しいのか・・・」「金持ちの道楽には困ったものだ・・・」と考えてしまいがちではあるものの、アメリカではむしろ「損失覚悟で、自腹を切って人々を助ける英雄」だと見られているものでしょうね。※アメリカではソーシャライトと言われる人々もいて、このあたり日本とはまったく感覚が異なる
そういった背景もあり、今回NSX TypeSの「高額落札」に結びついたとも考えられますが、とにかく驚きの額だと思います。
ホンダ(アキュラ)NSX Type Sを収めた動画はこちら
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参照:Speedster404