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| BMWの独り勝ちを支える“iFACTORY”と驚異の生産戦略とは |
ドイツ製車両の「4台に1台」がBMWという衝撃
欧州の自動車産業はいま歴史的な転換期にあり、「ドイツ製造業の空洞化」が懸念されるという状況です。
そんな中、BMWグループから驚くべき数字が発表され、2026年1月7日に発行されたプレスリリースによれば「2025年のドイツ国内工場での生産台数が”再び”100万台を突破した」。
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ドイツ国内の全自動車生産台数(415万台)のうち、実に4分の1(25%)をBMWが占めていることが明らかになり、他メーカーが生産拠点の海外移転や縮小を模索する中、なぜBMWは母国ドイツでの高い競争力を維持できているのか、その裏にある”他社とは一線を画す”「柔軟性」と「デジタル戦略」を掘り下げてみたいと思います。
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BMWが工場内で「車両の自動運転」を導入。完成から検査、積み込みまでをドライバー無しで勝手に走行、大幅な人員削減に成功する見込み
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この記事の要約
- ドイツの砦: ミュンヘン、ディンゴルフィンなど4拠点で年間100万台超を生産
- 成功の鍵: 同じラインで「EV、PHV、エンジン車」を同時に作る圧倒的柔軟性
- 次なる一歩: 2026年から次世代EV「ノイエ・クラッセ」の生産がいよいよ開始
- 日本への影響: 日本市場向け「新型iX3」は2026年3月に生産開始。後半には日本上陸へ
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やっぱりAIは人間の仕事を奪う?BMWが製造工場の検品業務にAIを導入し「6人をラインから外すことができ、年間100万ドル削減できた」と発表
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なぜBMWだけが強い?「iFACTORY」の革新性
BMWの生産を支えるのは、次世代の製造コンセプト「BMW iFACTORY」。
1. 「技術的オープン性」の勝利
BMWの最大の特徴は、ガソリン車、ハイブリッド車(PHV)、純電気自動車(EV)をすべて同じ1本のラインで流せること。
市場の需要がEVに偏っても、逆にエンジン車に戻っても、工場の稼働率を落とさずに即座に対応できる「アジャイルな体制」が、不透明な世界経済における最強の武器となっているわけですね。
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2. デジタルツインの活用
仮想空間に工場を丸ごと再現する「デジタルツイン」を導入。
物理的な設備を動かす前にソフトウェア上で検証することで、生産計画時間を24%短縮し、ミスによるコストを大幅に削減しています。
なお、近年の自動車メーカーにおいては「工場(生産体制)」が非常に重要視されており、常に向上を進化させることで知られるのがこのBMW、そしてテスラとシャオミです。
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車種概要:ドイツ各工場が支える豪華ラインナップ
現在、ドイツ国内の4拠点は以下のように役割分担されており、世界中へプレミアムカーを届けています。
なお、新型カントリーマンは「ミニではじめて」ドイツで生産されるモデルとなりましたが、今回の「100万台達成」にはこのミニ カントリーマンの貢献も少なくないのかもしれません。
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「世界初のターボ車」を投入したBMW。さらにはツインターボにて新たな時代を切り拓き、N54とN63エンジンが残した“革新の20年”を振り返る
BMW | BMWは「世界で初めて」ターボを市販車に投入した自動車メーカーである | そもそもBMWの社名そのものが「エンジン製造会社」を表している BMWは「はじめて市販車にターボエンジンを導入した ...
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| 工場 | 主な生産モデル(2025年実績) | 駆動方式 |
| ミュンヘン | 3シリーズ、i4、M3、新型i3 (2026〜) | BEV, PHEV, ICE |
| ディンゴルフィング | 5シリーズ(i5)、7シリーズ(i7)、8シリーズ、iX | BEV, PHEV, ICE |
| ライプツィヒ | 1シリーズ、2シリーズ、MINI カントリーマン | BEV, PHEV, ICE |
| レーゲンスブルク | X1(iX1)、X2(iX2) | BEV, PHEV, ICE |
2026年、期待の「ノイエ・クラッセ」が動き出す
BMWは2027年までに、40車種以上の新型および改良モデルの投入を計画していますが、その中核となるのが次世代EVシリーズ「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」、そして先陣を切るのが「iX3」。
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- 新型iX3の登場: 先日発表された通り、航続距離800km超を誇る新型iX3がいよいよ市場投入
- 日本市場への導入: 日本向け「新型iX3」の生産は2026年3月に開始予定。順調に行けば、2026年後半には日本の公道を走る姿が見られそう
- 新型i3の準備: ミュンヘン工場では、2026年後半から次世代EVセダン「新型i3」の量産に向けた最終チェックが完了している
BMWは「車造りの聖地」を守り抜く
「ドイツはもはや工業大国ではない」という悲観論を、その圧倒的な生産数字でBMWが否定したというのが今回の報道(一方、主力市場である北米の生産も強化するなど、BMWはドイツのみにこだわっておらず、これもまた柔軟性のあらわれだといえる)。
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デジタル化を突き詰めながらも、エンジン車という伝統を捨てない「技術的オープン性」。この柔軟性こそが、不確実なEV時代の正解である可能性をBMWは示しており、2026年、ノイエ・クラッセの登場によってBMWは再び世界を驚かせることになりそうですね。
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参照:BMW

















