| いくらなんでも「ゼロ」とは思わなかった |
ホンダNSXがオーストラリア市場から撤退というニュース。
これは正式にホンダのオーストラリア法人がコメントしたもので、2019年にはわずか3台、2020年にはゼロという惨憺たる結果を受けてのことだと報じられています。
なお、日本においてホンダNSXを販売できるのは「NSXパフォーマンスディーラー」のみで、その認定を受けることは容易ではなく、そして認定を受けた場合はNSX整備用のスペシャルツールを購入する必要がある、とのこと。
その中にはカーボンセラミックブレーキの水分を飛ばすための「窯」も含まれ、それらのツールは数百万円だとも言われます(そのためにNSXパフォーマンスディーラーを拒否するディーラーもあるという)。
もしオーストラリアにおいても事情が同じであれば、ディーラーは(せっかく購入したNSX用の)スペシャルツールを持て余してしまい、「どうするよコレ・・・」と悲嘆に暮れている状態なのかもしれません。
どうしてこうなった・・・。
現行(二代目)ホンダNSXは2016年に登場しており、登場初期こそは「大人気」「初年度モデル完売」と言われたものの、その後販売はズルズルと下がってしまい、北米では販売が70%減まで落ち込み、それを回復させるために値引きが導入され、かつそれが常態化している模様。
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つまりは不人気車の仲間入りをしているということになりますが、常に納車待ちの列に並ばなくてはならないフェラーリやランボルギーニとは大きく異なる様相を呈しています。
そこで気になるのが、「なぜこんなことになってしまったのか」。
その理由はたくさんあるかと思いますが、端的なものが「スーパーカーなのに速くないから」。
実際にスーパーカーを購入したとして、その性能を引き出すこと、そして引き出せる能力を身につけることは容易ではありませんが、「このクルマはそれだけのポテンシャルを持っていて、その気になればどのクルマよりも速く走れる」という矜持はスーパーカー乗りにとって必要不可欠であり、NSXの場合はそれを満たすことができなかったからだと思われます。
もちろんランボルギーニ、フェラーリ、マクラーレンとて、モデルによっては「最速」ではないものの、そこはブランドバリューがカバーすることになり、しかしNSXにはそこまでのブランドパワーが無かったのかもしれません。
なお、この現象はGRスープラも同様であり、「登場初期は騒がれるものの、その後はフェードアウトしてしまう」という日本車特有の性質を持っているようですね。
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一方、日本では人気のようだ
なお、日本市場に目を移すと、NSXは発売直後には「完売」との報が聞かれ、その時点で納車二年待ち、とも。
ただし今年は7月までで9台しか登録されていないということも明らかになっていて、「売れている」と言われるものの、実際は売れていない、というのが事実であるようです。※フェラーリは2020年だと9月までで767台、ランボルギーニは518台が登録されている
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それでもNSXのページを見ると、すでに今年の分の割当台数はすべて「完売」してしまったものと思われ、2020年モデルのNSXはすでに注文不可。
こういった状況を見ると、日本への割当自体が少なく、ホンダ自身がそもそも「NSXを売る気があまりない」のだとも考えられます(当初は日本への割当が年間100台だと言われていたが、現状から推測するに、多くても30台程度だと思われる)。
加えて、日本で「今年分はすでに売り切れ」、オーストラリアでは「今年0台」という状況なのであれば、オーストラリア分を日本に回すことによって世界規模でNSXの販売を増加させることができ、しかしそれも行わないというのはやはり「積極的に、NSXになんらかの手間をかけたくない(ちょっとでも手間をかけるよりは放置)」ということなのかもしれません。
現在、NSXについては「タイプR」のウワサも出ているものの、こういった現状を見るに、ホンダ側にとっては「NSXにタイプRなんて、とんでもない」という認識なのでしょうね(カーメディア、とくに雑誌をバックボーンに持つカーメディアはスポーツカーやタイプRの話題が大好きなようだ)。
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参照: Car Expert