| トヨタがMR2を復活させるという話は数年前から出ているが |
スープラの販売が芳しくない状況、電動化が求められる状況で「新型MR2はまずない」だろうと考えている
さて、トヨタがMR2の復活を検討中とのウワサ。
実際のところMR2を復活させるという話はたびたび出ていて、しかし現在の世界的なトレンド、そしてトヨタはすでにGR86とスープラというスポーツカーを持っていること、そしてミドシップスポーツカーのベースとなるプラットフォームを持たないことを考慮するに、MR2のリバイバルについては「望みは薄いだろう」とも考えています(FF用プラットフォームを無理やり逆にしたりしそうではありますが)。※画像はレンダリングアーティストの作成した新型MR2予想図
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トヨタはMR2に対する興味を失ってはいない
なお、トヨタは2018年頃からMR2復活に関する話を持ち出していて、「86、スープラ、MR2でスポーツカー3本柱が完成する」とも。
一方でセリカの復活についても言及しており、スポーツカーに関しては「エントリー(GR86)」「ピュアスポーツ(GRスープラ)」「4WD(セリカ)」「MR2(ミドシップ)」という、最大では4車種に(スポーツカーラインアップが)拡大するであろうことも示唆しています。※セリカについては、結果的にGRヤリスが代替することになりそうだ
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たしかにこれだけのラインアップを保有していれば言うことなしなのですが、現在の「EVシフトが遅れている」状況についてトヨタの株主たちは大きな不満を抱いているといい、この状況でスポーツカーを開発するというのは豊田章男社長への不信任案が出てもおかしくはない事態を招きそう。
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トヨタの株主は豊田章男社長に不満?同氏の「急激な電動化に待った」発言に対し「豊田章男は、世界で何が起きているのかわかっていない」
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実際にトヨタがMR2が復活させるとなるとどんな選択肢が?
そしてトヨタが実際にMR2を復活させるとなると、どういった線があるのかを考えてみましょう。
まずは「自社開発」ですが、これについて、トヨタはMR2に使用できそうなプラットフォームを持たないので、非常に難しい、と考えられます。
実際のところGRスープラの開発にしてもBMWとの共同開発ではなく、自社で開発していたら、軽く1000万円を超える価格になっていたとコメントしており、そして「それでも価格が高くなってしまったGRスープラの売れ行きが芳しくない」現状に悩むトヨタとしては「もしMR2を復活させるにしても価格を可能な限り下げたい」と考えているはず。
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トヨタ「もし新型スープラをBMWと共同ではなく単独で開発していたら、1000万を軽く超えていただろう」。この価格でこの性能のクルマに乗れることに感謝
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よって自社開発については「まず無い」と考えているのですが、唯一あるとすれば「e-TNGA」を使用したピュアエレクトリックモデルとしてのリバイバル。
これはモーターの位置をフロントもしくはリアへと移動させることができるというフレキシブルなシャシーで、しかしモーターの位置はミドシップというには後ろ寄りでもあり、これを”運動性能を向上させることを目的として”車体ミッドへと移動させるのは構造上難しいのかも。
実際にこのe-TNGAを使用することも可能だとは考えますが、そうなると「名ばかりミドシップ」になってしまいそうですね。
やはり残された道は共同開発しかない
そしてトヨタが「運動性能向上」を本気で狙うとなると、これは正直「共同開発しかない」と考えています。
つまりはすでにミドシップにてノウハウを持っている自動車メーカーに頼るのが妥当ということですが、ミドシップで実績があるメーカーだと「ポルシェとロータス」。
ポルシェについては、1990年代にポルシェがトヨタの「かんばん方式(トヨタ生産方式=リーン生産方式)」を取り入れたことからもわかるとおり、ポルシェはある程度トヨタをリスペクトしているとも考えられ、2017年のル・マン24時間レースでの死闘の結果、「ポルシェ会長が、豊田章男社長にコンタクトを取り、”自分の名前のついた自動車会社を経営すること”について意見を交換した」こともあるので、全くの無縁ではなさそうです(ただしビジネス上の接点はいないと思われる)。
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トヨタ社長とポルシェ会長がル・マンの後に会談していたことが判明。「これからもいい戦いを」
GQにて、トヨタ社長、豊田章男氏とヴォルフガング・ポルシェ氏 (ポルシェAG監査役会会長)との対談が掲載に。 トヨタとポルシェは縁が深く、古くは90年代に苦境に陥ったポルシェがトヨタ式「カイゼン」を取 ...
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現在ポルシェは「718ケイマン」「718ボクスター」というミドシップスポーツを持ち、しかしポルシェは718シリーズについて、次世代では「ピュアエレクトリック」へと移行することも明言しており、となると現行718のプラットフォームを(将来のポルシェのポートフォリオに影響を与えないという意味で)トヨタにライセンスすることも考えられます。
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ポルシェ「次期ケイマン/ボクスターはEV用ミドシップレイアウト、eコアを採用する。そしてそれはランボルギーニやアウディの高性能モデルに採用される可能性もある」
| ついにポルシェ設計のプラットフォームを使用したアウディ、ランボルギーニが誕生することに | ポルシェはかねてより、VWグループ内のスポーツカーはポルシェが設計すべきと主張していた さて、ポルシェは ...
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ただしこれは「トヨタが新型MR2をガソリン車として復活させたいのであれば」の話であって、もしトヨタが次世代718とMR2を共同開発したいと願った場合はまた事情は異なりそう。
ポルシェは自社のプラットフォームをグループ外へと出すことを好まないと言われ、かつモータースポーツにおいては様々な場面で直接競合するトヨタへの供給となると、次世代718シリーズに採用されるエレクトリックプラットフォームのノウハウをトヨタに渡すことはないだろうと思われます(そして現実的に、ポルシェは自社のクルマの生産で手一杯であり、他社との共同開発を行うような余裕はなく、そうしなくとも十分に利益が上がる)。
参考までに、トヨタのスポーツ車両統括責任部長、多田哲哉氏は、過去にカーメディアの取材に対し、「ポルシェとMR2を一緒に開発してみたい」という率直な意見を述べていますね。
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トヨタとロータスとは縁が深い
そしてもう一つのロータスですが、こちらは共同開発のパートナーとしては理想的。
というのもトヨタとロータスは資本的に関係があった時期があり(現在もトヨタがロータスの株式を保有しているかどうかはわからない)、 2代目セリカXX(1981年)開発時にはロータスが協力し、CMにはロータス創業者であるコーリン・チャップマン氏が登場したほか、トヨタはロータス向けに1.8リッター4気筒エンジン(エリーゼ/エキシージに搭載)、3.5リッターV6エンジン(エヴォーラとエミーラに搭載)を供給しています。※ロータス・エクセルはトヨタのパーツを多く採用し、エスプリにはハチロクのテールランプが使用されていた時期もある
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加えてロータスはつい最近、中国に研究施設を作り、他社製品の開発を請け負うことも公表しているので、ここで「新型MR2」が開発されるとしてもおかしくはないだろう、という感じですね。
ただ、この施設は「ピュアエレクトリック」のみの扱いとなるようなので、もしトヨタとロータスとが共同で未来のMR2を開発するならば、それはピュアEVとなるのかもしれません(ピュアエレクトリックのほうが、トヨタの株主に対しては”スポーツカーを開発する”免罪符として機能しそうではある)。
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なんか面白いことになってきたぞ。ロータスが「ロータスらしい、他社とは異なる」電動アーキテクチャを発表。中国資本を得て一気に前に進みそうだ
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もしトヨタが新型MR2を「ガソリン」として発売したいのであれば、ロータスが売りに出しているという「エリーゼの生産設備」を買い取ることも可能だと思われ、ここを利用し、MR2を「軽量スパルタンな」クルマとして世に送り出すこともできそうですね。
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ロータスがエリーゼの生産設備と権利売却を検討中。ロータスによる生産終了後もほかメーカーのもとでエリーゼが継続生産されるかも
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結局、新型MR2はどんなクルマに?
以上のような感じで、「考えうる選択肢」のうち主なものについて考察してみましたが、今回出てきたウワサだと、新型MR2は「プラグインハイブリッドシステムを採用、エンジンはミッドマウントされた2.8リッターまたは3.0リッターV6、総出力は、345馬力(257キロワット、350馬力)から395馬力(294キロワット、400馬力)になる可能性がある」とされ、「ハイブリッド」だけに、トヨタが過去(2004年)に発表したコンセプトカー「アレッサンドロ・ボルタ」を連想させるものになる、とも。
価格は600万円程度だとされていますが、もし本当に「この価格で400馬力のミドシップスポーツ」を発売できるのであれば、ポルシェやアルピーヌに対し(コストパフォーマンス上の)優位性を持つということになりそうです。
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新型トヨタMR2のウワサを報じる動画はこちら
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