| ボクは超高級ミニバンには「非常に多くの潜在需要」があると考えている |
世の中には「アルファードでも不十分」「仕方なくアルファードを購入している」人も少なくない
さて、主にアジアにて販売されており、絶大な人気を誇るレクサスLM。
言わずとしれたトヨタ・アルファード/ヴェルファイアのレクサス版ということになり、発表当初は日本導入について「ない」とされていたわけですね。
ただし今回、中部経済新聞が「トヨタがレクサスLMの国内投入を計画している」「国内の高級ミニバン需要に対応」「レクサスのブランドパワー強化」「(現在アジア向けに生産している)レクサスLMの生産を、いなべ工場(トヨタ車体)から田原工場(トヨタ)へと移す」「発売は3年以内」と報道しています。
もちろんこれはトヨタの「地元」からのニュースであり、かなり信憑性が高いと考えて良さそうですね(同様に、マツダのニュースについては、広島の地元メディア発信のものがけっこう確実だったりする)。
トヨタ車体の「いなべ工場」とは?
なお、工場移管の理由については「品質担保」のためだと考えるのが妥当かも。
現在「輸出用」レクサスLMを製造するのはトヨタの子会社であるトヨタ車体で、ここでは福祉車両やミニバン、SUVを製造しており、いなべ工場だとレクサスLMのほか、アルファード、ヴェルファイア、ハイエース等を生産しています(トヨタ車体の吉原工場ではランドクルーザー、レクサスLXを製造している)。
ただ、見る限りでは、いなべ工場にはレクサスの定める「匠」がいないようで、そのため「9名の匠」を保有し、レクサスのフラッグシップモデルであるLSを製造する田原工場へと生産を移管し「日本市場で求められる品質」を担保しようとしているんじゃないか、ということですね。
レクサスLMとは?
そこでこのレクサスLMについてざっとおさらいしてみたいと思いますが、これは2019年4月の上海モーターショーにて発表されており、主に中華圏をの富裕層を対象とした高級ミニバン。
レクサス自身がこのLMについて「高級セダンのフラッグシップであるLS、高級GTクーペとしてのLC、高級SUVのフラッグシップたるLX、高級ヨットLYに続く”第五の”フラッグシップ」だと述べています。
上述の通りベースはアルファード/ヴェルファイアとなりますが、内外装が「レクサス仕様」となっており、一部仕様では運転席と後部座席とを「隔離」する仕切りが設けられており、現地では完全に「愛人市場」を狙ったものだと言われているようですね。
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なお、日本での発売は上述の通り「未定」ではあるものの、2019年の時点で(日本の)特許庁において「LM350」「LM300h」が商標登録されており、トヨタとしては今に至るまで日本市場での可能性をずっと探っていたのかもしれません。
中国・香港はじめとする中華圏ではもともとアルファード/ヴェルファイアの人気が高く、よって日本からの並行輸入も多数あったと言われ(現地でのグレード展開が少なく、とくに豪華グレードが現地では導入されていなかったからではないかとされている)、ブランドショップがたちならぶあたりでは「アルファードとヴェルファイアが行列をなしている」のが日常的な風景であったわけですが、中華圏では「大きなクルマがお金持ちの象徴」だったり、快適性やゆとりある室内が非常に重要視されること、そして何よりも押し出しの強い顔つきが支持されることから、レクサスLMの成功は最初から約束されていたと考えていいのかも。
日本でレクサスLMは売れる?
そこで気になるのが「日本でレクサスLMは売れるのか」。
レクサスLMを日本で販売するならば、1500万円以上は確実ということになりそうですが、ぼくとしては「やっぱり売れるんじゃないか」と考えています。
レクサスディーラーではよく「LM待望論が強い」という話を聞きますし、トヨタとしても現場の情報を重視していると思われるので、今回の「レクサスLM発売に向けて動く」という行動については「十分に市場がある」と判断したからなんじゃないかと捉えることも可能です。
そして「どういった人が買うのか」ということですが、当然ながら富裕層で、複数の子どもがいる家庭だと思われます。
現在、複数の子どもを持つ富裕層が選択できるクルマはさほど多くはなく、たしかに高級SUVはいくつか存在するものの、乗降性や室内の広さに関してはミニバンに劣るため、「アルファードやヴェルファイアを選ぶ人」も多いもよう。
実際のところ、ランボルギーニやフェラーリのイベントにて、家族で参加されるオーナーさんの「アルファード率」はけっこう高く、そしてよく口にしているのが「他に選択肢がない」ということ、そして「アルファードのイメージがあまりよろしくない」ということ。
つまりアルファードを積極的に選ぶ顧客がいる一方、アルファードしかないからという消極的な選択にてこれを選ぶ人々もいるということで、アルファードよりも快適で、かつアルファードの(よろしくない)イメージから脱却できる選択肢があれば、そこに富裕層が飛びつく可能性も非常に高い、と考えられます。
そしてレクサスにとっては、これまでになかった新しい客層を取り入れることが可能となり、ブランドの基盤を強めるためにもレクサスLMは非常に有用なのかもしれません。
ちなみに現在こういった「超高級ミニバン市場」はアジアを中心にけっこう盛り上がっていて、中国の自動車メーカーが数社参入しているほか、ポルシェも「(SUVラインアップの)フラッグシップとしてのミニバン」を画策中という報道も。
そのブームが日本に飛び火することも十分に想像でき、よってレクサスが早いうちからこれに対応しようと考えていても不思議はなさそうですね。
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参照:LEXUS CHINA, 中部経済新聞