| 賛否両論分かれるBMWのインテリアだが、ボクはその「思い切り」については高く評価している |
一方、まだまだインテリアでは二番煎じ感が強く、BMWの独自性があまり感じられない
さて、BMWが新型X7を発表。
すでに大量のスパイフォトが出回っていたので、おおよそこの顔つきで登場することはわかっていたものの、それでもいざ公式に発表されてみると相当なインパクトがある、と思います。
なお、トピックはやはり「スプリットヘッドライト」であり、これはヘッドライトのように見える薄いバー状ライトがデイタイムランニングランプとして機能し、そして実際のヘッドライトはその下のバンパーの中に隠されているという構成。
この理由としては「薄いランプ(DRL)を目立たせることでクルマを未来的に見せることができる」「デザイン的な自由度が向上する」「相対的に車体が大きく見え、高級感が出る」というものがあるかと思いますが、以前から日産(ジュークにてこれを採用)やシトロエン、ロールスロイスが用いてきた手法です。
ただ、今後はBMWのみならず多くの自動車メーカーがこれに追随する動きを見せていて、おそらくは今後の「ブーム」になるんじゃないかと考えています。
新型BMW X7はこんなデザインを持っている
もうちょっとこのスプリットヘッドライトについて触れておくと、その「目的」は上述のとおりではあるものの、「ヘッドライトを分離せねばならない”理由”」については、現代の技術ではこの薄さでヘッドライトの要件を満たすことが難しく、かつウインカーユニットとヘッドライトを混在させたときに「ヘッドライトの光にかき消されてウインカーが光っているのがわからないから(トヨタ・ハリアーのテールランプからウインカーが独立しているのも視認性の問題)」。
よってデイタイムラインイングランプ、そしてウインカーは「上に」、そしてヘッドライトは「下に」収納されているわけですが、デザイン的な意図によってヘッドライトはダクトと一体化するように設計されています(このあたりはランボルギーニ・シアンと共通する手法)。
そして面白いのは、このスプリットヘッドライトのインパクトが強いためか、巨大なキドニーグリルの印象が薄れてしまっていること。
もちろん、巨大なキドニーグリルにぼくらが慣れてしまったということもありますが、現時点でこの巨大なグリルについて言及するメディアはあまりないようですね(もちろん、オプションでグリルの中を光らせることができる。M60iは発光グリルを標準装備)。
前から見るとこう(M60i)。
発光面積が小さいので、車体が大きく見えることがわかると思います。
一般に、「ライトの面積・容積が小さけさればクルマの高級感が増す」とされており、それはロールスロイス、そしてブガッティ(とくにディーヴォ)を見るとよく理解できるかもしれません。
そしてBMWにおいては、今後これが「ラグジュアリークラスの新しいコーポレートルック」ということになりそうですね。
この新型X7 M60iにはM仕様のドアミラー、大きなインテーク、Mバッジ(グリルほか各部)、4本出しテールパイプ、22インチホイールといった特別装備が与えられてスポーティーな外観に。
なお、テールランプは大きく変わらず、変更内容はランプユニットそのもの、そして水平方向を強調するストリップの採用といったところ。
テールランプ内には「iヴィジョン サーキュラーコンセプト」にて採用されたグラフィックが用いられ、これも今後のBMWにおける「スタンダード」となるのかも。
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今回発表されたBMW X7は3種類
今回発表されたのは「BMW X7 xDrive40i」「BMW X7 xDrive40d」「BMW X7 M60i xDrive」の3グレードで、ベースモデルのxDrive40iに積まれる48Vマイルドハイブリッド+3リッター直列6気筒は、従来型に比較して41馬力アップの380馬力、トルクは71Nmアップの519Nm、0-100km/h加速は5.6秒。
なお、近年のBMWはフェイスリフトにおいても「ガソリンエンジンの出力を向上させない(環境規制によって難しい?)」のが通例だったので、この41馬力アップというのは比較的珍しい例なんじゃないかと考えています。
M60iに積まれるのはおなじみ4.4リッターV8ツインターボですが、アップグレードを受けているにもかかわらず、こちらの出力は530馬力のまま(これ以上出力を上げると環境規制をクリアできないのかも)。※0-100km/h加速は4.5秒だが、新機能”スプリント”が搭載されている
ただ、後に登場すると言われるアルピナBX7はもっと強力なエンジンを積むとされ、BMWとしては先日買収したばかりのアルピナに「もっとパワーが欲しい」顧客を誘導することでグループ全体として利益の最大化を図るのかもしれません(M+1ケタモデルが設定されない場合はとくに)。
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全グレードにはエアサスペンションが標準装備され、M60iにはアクティブロールスタビライゼーションと後輪操舵が追加されるほか、全モデルにはBMW初の23インチ・ホイールも用意される、とのこと。
xDrive40iにはMスポーツパッケージを装着することができ、M専用のフロント/リアバンパーとサイドスカート、ハイグロスブラックトリム、ダークフィニッシュのテールパイプ、ダブルスポーク21インチホイール(ダイヤモンドカット)が追加されます。
BMW X7のインテリアはこうなっている
そしてこちらは新型X7のインテリア。
これまでの12.3インチサイズの独立したメーターにかわり、最新のソフトウエアにてコントロールされるiDrive8内蔵の14.9インチタッチスクリーンを組み合わせた複合カーブディスプレイが採用され、雰囲気が一新されることに(ただ、この複合ディスプレイを先に導入したメルセデス・ベンツは、すでに別のディスプレイスタイルに移ってしまった)。
これらディスプレイは、これまでの過去45年のBMW同様、ドライバーズカーであることをあらわすために「ドライバーの方に」向けて角度が付けられているものの、助手席側からでも操作ができるように配慮されているようですね。
そしてこれまでの「(ZF製8速オートマチックを操作する)シフトノブ」にかわってスワロフスキー製のトグルスイッチが採用されたこともトピックで、そのほかだとボイスコントロールの範囲も拡大されてウインドウやパノラマサンルーフの開閉ができるようになり、デジタル・キー・プラスの採用も。
全体的に見て、やはりエクステリアのインパクトが非常に強く、これに惹かれて購入する人は意外に多いんじゃないかと思いますが、インテリアについてはまだまだ「BMW独自」の機能や要素といったところが弱く、ここを強化できれば一気にメインストリームに躍り出ることができるんじゃないかと考えています(そのエクステリアを理由にBMWを選ぼうと考えても、インテリアを理由にBMWを選ぶ人は少ないかもしれない)。
新型BMW X7を紹介する動画はこちら
参照:BMW