| コンパクトクロスオーバー(EV)はまだライバルが少なく、トヨタのイメージや資産を活かせそうなカテゴリだと思われるが |
加えてジムニーにも対抗でき、トヨタの悲願でもある「若者へのアピール」も行いやすい
さて、トヨタは2021年12月に「バッテリーEV戦略に関する説明会」を開催し、一気に15台のEVコンセプトを公開したほか、2030年までにEVの世界販売を350万台に拡大するという計画を公表しています。
これによって「トヨタがようやくEVに対し本腰を入れた」「こうなったらトヨタは無敵」と市場が捉えることになり、そのため株価が大きく上がったワケですが、その後に発表されたEV「bZ4X」はリースのみでしか乗ることができず、「あの計画はやっぱり投資家向けのポーズだったんだな・・・」という印象がますます強まる今日このごろ。
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コンパクトクルーザーEVがカーデザイン賞を受賞
ただしその際に発表された15台のうち、いくつかは非常に興味深いクルマも存在し、コンパクトクルーザーEVもそのひとつ。
そして今回、このコンパクトクルーザーEVが2022年度カーデザイン賞(コンセプトカー部門)を受賞することになり、これを記念しトヨタはプロトタイプの画像、レンダリング、スケッチを追加にて公開しています。
このコンパクトクルーザーEVは、そのカラーリングやデザインから「FJクルーザー後継」として注目されており(ただし名称の通りサイズは小さいようだ)、フランスのニースにあるトヨタ・ヨーロッパ・デザイン開発センター(ED2)にてデザイン・製作が行われています。
このコンパクトクルーザーEVの企画に際してデザイナーは「初代ランドクルーザーとトヨタにおけるオフロードの伝統」からインスピレーションを得ており、つまりはレトロフューチャーなFJクルーザーとの類似性を持っているわけですね。
そのためコンパクトクルーザーEVはJ80を彷彿とさせるグリル、そしクリーンなラインによって、2017年に発表されたコンセプトカー「トヨタFT-4X」を進化させたような外観となっていますが、ツールボックスを連想させるデザインもトヨタの得意とするところで、大型スキッドプレート、スクエアなフェンダーアーチ、高い地上高、ビルトインルーフラック等によってタフでアクティブな印象も。
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ちなみにトヨタは「Tjクルーザー」なるコンセプトカーも過去に発表しており、一部では発売という報道が見られたものの実際には販売に至らず。
FT-4X、Tjクルーザーともに高い評価を受けていて、そしてトヨタとしてもこういった「道具感あふれる若者向けのクルマ」につき、(今回のコンパクトクルーザーEVに繋がるイメージを持つことでもわかるとおり)強い興味を持つモチーフやカテゴリであるのは間違いなく、しかし一向に発売されないのはちょっとナゾ。
さらにトヨタとしては「若者を呼び込みたい」という願望を持っているはずで、そして若者に訴求できそうなFT-4XやTjクルーザーを発売しないことに対してはちょっとした矛盾も感じます(もちろん、トヨタとしても綿密にマーケティングを行った結果、そう判断したのだろうとは理解しているけれど)。
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実際にトヨタ・コンパクトクルーザーEVは発売される?
なお、現存するコンパクトクルーザーEVはランニングギアを持たない「クレイモデル」であり、公開されている画像の殆どはCGI。
トヨタ自動車デザイン本部長のサイモン・ハンフリーズ氏によれば「私たちは30年以上にわたって電気自動車の研究を続けており、長い道のりを歩んできました。電気自動車との最初の接触段階を経て、人々は自分のことを語り、ライフスタイルを表現するゼロ・エミッション車を求めるようになると推測しています。そして、コンパクトクルーザーEVは、その傾向を示す完璧な例です」とコメント。
加えてトヨタはコンパクト・クルーザーのターゲット層について「アクティブなアウトドアレジャーを楽しむ、都市に住む若いプロフェッショナル」としており、bZ4xXと同じeTNGAアーキテクチャをベースにすれば、比較的低い開発労力にて製品化が可能かもしれません。
なお、ジープブランドからは「スズキ・ジムニーに対抗する」小型オフローダーが登場するという話もあるようですが、トヨタがいま、世界的な規模にてEV市場における存在感を確保するためには、「ランクルを始めとするオフロードイメージ」を活用し、注目度の高い小型SUV(もしくはクロスオーバー/オフローダー)セグメントへ、”優れたデザイン性とユーティリティを持つ”コンパクトクルーザーEVを投入するのが手っ取り早いんじゃないかとも考えています(EV市場において、コンパクトハッチバックやミッドサイズクロスオーバーはライバルが多いが、コンパクトクロスオーバーのライバルは少なく、ここはトヨタが覇権を取りやすいところでもある)。
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