| これでなぜか「真っ先に2026年にF1へと復帰」を掲げたポルシェが流れから取り残されてしまうことに |
2026年以降のF1は過去最高の盛り上がりを見せるかもしれない
さて、驚くべきことにフォードが「20年以上ぶりにF1レースに復帰する」と正式に発表。
この復帰に際し、フォードはレッドブル・レーシングとの長期的な戦略的パートナーシップ契約を締結し、2026年からF1へと参加することになりますが、ビル・フォード執行会長によれば「これは、私の曽祖父がフォードの創業のきっかけとなった、レースでの優勝から始まるフォードのモータースポーツ・ストーリーにおける、スリリングな新章の始まりです。フォードは、モータースポーツの頂点に戻り、フォードの長い伝統であるイノベーション、サステナビリティ、電動化を、世界で最も注目される舞台のひとつであるF1へと持ち込みます」。
フォードとレッドブルとの関係はこうなる
今回の提携につき、フォードは「現F1チャンピオンチームであるレッドブルと、2026年以降、次世代ハイブリッドパワーユニットを開発するための長期的な技術パートナー契約」だと表現しており、少なくとも2030年まではレッドブル・レーシングとその姉妹チームであるスクーデリア・アルファタウリにパワートレインを供給することになるもよう。
フォード・モーターカンパニーの社長兼CEOであるジム・ファーレイ氏は、「フォードがレッドブル・レーシングと共にF1に復帰することは、当社が企業として目指すところ、すなわち電動化推進、ソフトウェアの開発、最新の車両とエクスペリエンスのすべてを意味しています。F1は、イノベーションを起こし、アイデアや技術を共有し、何千万人もの新しい顧客と関わるための非常に費用対効果の高いプラットフォームとなるでしょう。モータースポーツの最高峰であるF1で、レッドブル・レーシングとともに我々は勝利を目指します」とコメントしており、相当な意気込みが感じられます。
なお、同じアメリカの自動車メーカーだとキャデラックがすでにF1参戦を表明しており、こちらのパートナーは「アンドレッティ・グローバル」で、ドライバー含めオールアメリカンチームを目指す、と言われていますね。
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ちなみにレッドブルはポルシェが(かつて)狙っていたチームであり、両者の提携はほぼ確実と思われたものの、ポルシェがレッドブルに求めた関係性が「レッドブルにとって好ましいものではなかった」ことから最後の最後になって交渉が決裂することになったのは記憶に新しいかと思います。
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なぜ多くのチームがF1を目指すのか
そこで気になるのが「どうして急に多くのチームがF1を目指すようになったのか」。
これについては主に2つの要因があるものと思われ、ひとつは「F1への注目度が集まり、投資効率が良くなったから」。
これはネットフリックスのF1ドキュメンタリーによって(主にアメリカにおける)F1人気が加速したからだと考えられますが、リバティメディアがF1を買収する前後ではアメリカ籍のスポンサー数が倍増以上になっているとも報じられており、よってアメリカの自動車ブランドにとっては大きな露出が期待でき、さらにはアメリカ企業をスポンサーとして集めやすくなったのだと思われます。
そしてもうひとつが「2026年からのレギュレーション変更」。
これはエンジン(パワーユニット)開発におけるコストキャップ導入、コストの掛かるMGU-H(熱エネルギー回生システム)廃止、ハイブリッドシステムのアシスト量増加、サステイナブル燃料の導入が行われるというもので、その方向性がより「コストがかからずエコな方向へ、そして市販車とより近い技術へ」と動くことで自動車メーカーの進む未来と一致しやすくなったからだと考えて良さそうですね(コスト的、プロモーション的に)。※実際に、フォードはF1への参入を決めた要因のとして、世界とアメリカでのF1の成長、そしてF1におけるエレクトリックパワートレーンへの取り組みが進んでいることがF1参入の決め手となったとコメントしている
フォードはF1史上、「3番めに成功したブランド」として知られている
なお、フォードは、現代のF1においてはあまり馴染みがないものの、1960年代と1970年代にはF1に継続参戦しており、F1史上3番目に成功したエンジンメーカーとしても知られ、10回のコンストラクターズチャンピオンシップと13回のドライバーズチャンピオンを獲得したという実績も。
今回の提携に際し、オラクル・レッドブル・レーシングのチーム代表兼CEO、クリスチャン・ホーナー氏は「このパートナーシップを通じ、フォードを再びF1に迎えることができるのは素晴らしいことだ。フォードは、何世代にもわたるモータースポーツの歴史に彩られたメーカーであり、ジム・クラークからアイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハまで、その系譜が物語っている。レッドブル・パワートレインズとして、我々の歴史の次の章をレッドブル・フォードとして開くことは、とてつもなくエキサイティングなことだ」とコメントしています。
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