| おそらく新型CLEの価格は「かなり」高めに設定されると言われるが、それはすなわちメルセデス・ベンツの自信のあらわれだとも考えられる |
メルセデス・ベンツのクーペ/オープンモデルは歴史的に見て「いずれも非常に美しい」
さて、メルセデス・ベンツが(先日からティーザーキャンペーンを開始していた)新型CLEクーペを発表。
これはCクラスクーペとEクラスクーペを統合してできた新シリーズで、CLEカブリオレとともに展開がなされます。
なお、メルセデス・ベンツは1990年代後半にCクラスをベースとし、しかしEクラスに近いエレガントなスタイルを持つCLKクーペを発表していますが、今回のCLEもそれに近い手法を採用しているようで、しかし今回はCLEクラスよりもEクラスに近いメカニズムや装備を持つもよう。
ただ、スタイリングに関しては、メルセデス・ベンツが長年採用してきたデザイン言語「官能的純粋(センシュアル・ピュリティ)」を反映させた、”エッジや段差を可能な限り排除した”表面を持ち、そしてEQシリーズを連想させる「連結」テールランプを持つなど、これまでのガソリン車ラインアップからやや進化した”あたらしい”要素を取り入れているようにも思えます。
新型メルセデス・ベンツCLEはこんなクルマ
そこでこの新型メルセデス・ベンツCLEを見てみると、本国にて用意されるのは375馬力を発生する3.0リッター6気筒エンジンを積むCLE450、255馬力仕様の4気筒ターボをボンネット下に収めるCLE300の2つ。※両方ともマイルドハイブリッド仕様となり、エレクトリックモーターはの出力は23馬力
価格については現在公開されていないものの、従来のCクラスクーペからは25%ほど価格がアップし、ライバルとなるであろうアウディA5、BMW 4シリーズよりも一回り高価になるであろう、と見られているようですね。
ただ、その高額なプライスタグを納得させるだけの美しいスタイリングを持つことも間違いはなく(メルセデス・ベンツのクーペは総じて美しい)、フロントにはフレームレスグリル、そして細長くドーム状のプレキシグラスを持つヘッドライト、その下には大きく口を開けたグリルを備え、しかしこれらは(流麗なスタイルを演出するためか)後方に向けて”引っ張られている”ようにも見えますね。
そしてボンネット上には2本のパワードーム、フロントフェンダー上には筋肉のスジを連想させるエッジが設けられています。
なお、フロント先端は最近のメルセデス・ベンツ同様に「シャークノーズ」を採用してボンネットを長く、そしてエレガントに見せていますが、この「シャークノーズ」はもともと1980年代のBMWが好んで採用していた手法であり、よってメルセデス・ベンツ自身では(比較されることを嫌ってか)このフロントセクションについて「シャークノーズ」とは表現していないようですね。
LEDハイパフォーマンス・ヘッドライトは、明らかに最新のCクラスのものに似ており、オプションにてプロジェクション機能の選択が可能(このライトにはウェルカム・アニメーションが含まれる)。
前後オーバーハングはかなり短く、そしてホイールベースを長めに取ることで安定感があり優雅さを感じさせるスタイリングを実現しているほか、ルーフの最も盛り上がっている部分(力点)を前方に持ってくることで”クーペらしさ”をより強調した、すっきりとしたリヤセクションを持つように感じます。
新型メルセデス・ベンツCLE300には18インチ、CLE450には(AMGライン仕様となるので)19インチサイズのアルミホイールが標準にて装着され、ボディカラーのラインアップは10色から選択可能。
なお、全幅はEクラスクーペと同じながらも全長はEクラスクーペよりも長くなっており、メルセデス・ベンツがCLEクーペを「よりエレガントに、よりプレミアムに」仕立て上げようとしたこともわかりますね。
ちょっと興味深いのは、新型メルセデス・ベンツCLEの駆動方式につき「4WDのみ」ということで、つまり後輪駆動は用意されず、つまりは安定志向のクルマということになりそうです(この4WD=4マチックは最新バージョンとなり、軽量化されているほか、より高いトルクをフロントに伝達できるようだ)。
参考までに、メルセデス・ベンツの顧客は「圧倒的に4WDを好む」傾向があるそうで、そういった顧客の嗜好を反映させた結果なのかもしれません(そしてこの顕著な傾向に対応するため、BMWもハイパフォーマンスモデルにおいて4WDを拡充しているものと思われる)。
搭載されるトランスミッションは9速9Gトロニック・オートマチック・トランスミッション、そしてこのトランスミッションは(スターター・ジェネレーター・システム(マイルドハイブリッドシステム)と連動するよう調整され、”より効率的でスマートなパッケージングにより”トランスミッション制御の重量も先代比で30%減少しているとアナウンスされています。
新型メルセデス・ベンツEクラスのインテリアはこうなっている
エクステリアやメカニズムがEクラスに近い反面、新型CLEのインテリアはCクラスに近く(というか”ほぼ同じ”)、しかし随所にはプレミアム感を演出するフィニッシュも見られます。
全体的なスペースはEクラスクーペよりも広く、しかし後席のレッグスペースはこのCLEのほうが狭いというので、4座といえども前席重視の作りになっていると考えていいのかもしれません。
ダッシュボードは12.3インチのデジタルメータークラスターと11.9インチのセンターディスプレイを中心に構成され、64色のアンビエントライトシステム、ドルビーアトモス付き17スピーカー内蔵3Dサラウンドサウンドシステム(ブルメスター製)、5Gデータ伝送を備えた新しい電子アーキテクチャを標準装備するほか、新型Eクラス同様に、TikTok含む多数のサードパーティアプリへの対応が可能です(Zoomは標準にて搭載)。
インフォテインメント・システム全体はカスタマイズ性が向上し、たとえば「コールド・デイズ」などのテンプレートをベースとし、温度や照明の設定に応じた温かみのある環境を作り出すことができるとされ、「車両が顧客の行動やルーチンから学習し、特定の機能を顧客が選択するよりも先に提供する」AIも内蔵されている、とのこと(メルセデス・ベンツはこのアシスタンス機能を非常に重要視している)。
もちろん、この他にもアテンション・アシスト、アクティブ・レーン・キープ・アシスト、パーキング・パッケージなど、多くの標準装備、およびオプションによる運転支援装備にも豊富に揃います。
なお、「クーペ」ならではの装備として、新しいイージー・エントリー機能を使用することで後席へのアクセスが容易になっているそうですが、おそらく前席向けとしては、これまでのメルセデス・ベンツのクーペの多くに装備されていた「シートベルト着用をアシストするアーム」が装着されているものと思われます。
インテリアカラーとしては、マキアート・ベージュ/ブラック、トンカ・ブラウン/ブラック、ホワイト/ブラックやパワーレッド/ブラックが用意され、キルティングやパーフォレイテッド(穴あき)ダイヤモンドシェイプを施したナッパレザーを選択できるほか、E450ではシルバーのミックスメタルファブリック、オープンポアのブラックウッドパネル、フィンラインアンスラサイトウッドなどのインサートが用意されている、とのこと。