| 当時の設計や製造そのままではなく、現代の設計・製造技術を取り入れているところが新しい |
まさかロータスがこういったクルマを生産することになろうとは。おそらくは相当に人気化するだろう
さて、ロータスが”新型車”として「ロータス タイプ66」をモントレー・カー・ウィーク期間中に発表し、少量生産のサーキット専用車として生産を開始するとアナウンス。
ちなみにロータスのクルマには正式名称もしくは開発時のコードネームとして「タイプなんとか」という呼称が(レーシングカーであっても市販車であっても自転車であっても)順番に与えられ、現在のところ「150番の手前」まで来ています。
なぜこのレトロな「タイプ66」が新型車?
となるとこの「タイプ66」そしてレトロなルックスを持つクルマが新型車というのはこれいかにという感じなのですが、このタイプ66はかつてロータスの創始者であるコリン・チャップマンがカンナム・レースカーの開発を検討していた際に企画されたもの。
しかし、コリン・チャップマンはF1に主眼を置いていたため、この「タイプ66」プロジェクトは”図面が引かれ、スケールモデルが作られた”にとどまっており、つまり実車が作られたことはなかったのですが、しかし現代になってその図面と計画が発見されることで今回「生産」という話が持ち上がったわけですね。
ただ、多くの「継続生産=コンティニュエーション」モデルと異なるのは、このタイプ66は一度も生産された事実がないこと、そして「シーケンシャル・レーシング・ギアボックス、ABS含む最新の安全装備の数々が備わる」こと。
つまりは「当時の工作機械や設備をもって、当時の設計のままに」作るのではなく、イマ風にアップデートされた現代のクルマということに。
今回オフィシャルフォトにて示されたのはロータスらしい(タイプ72のF1マシン同様の)レッド、ホワイト、ゴールドをまとう個体で、当時主流だったプッシュロッドV8、そしてエア・トランペットを備えるものの、鍛造クランク、コンロッド、ピストンといった現代の技術によるコンポーネントが与えられることで最高出力は830馬力へと押し上げられています。
さらにレトロなデザインにもかかわらず、ボディワークはすべてカーボンファイバー製となり、シャーシは押し出し成型アルミ製セクション、接着ジョイント、アルミ製ハニカムパネル成形されている、とのこと。
このロータス・タイプ66公開の場には2度のF1ワールドチャンピオンに輝いたエマーソン・フィッティパルディ、クラシック・チーム・ロータスのマネージングディレクターでありコリン・チャップマンの息子でもあるクライブ・チャップマンが出席したそうですが、これは「タイプ66の書類を保管し、世に出したのがクライブ・チャップマンで、もしこれが当時製造されていたならばエマーソン・フィッティパルディがドライブしていたであろう」という想定から(ロマンがある)。
ロータス・タイプ66は当時から優れた先進性を持っていた
なお、ロータスはこのクルマに命を吹き込むため、まずはコンピューターソフトウェアを使って1/4スケールと1/10スケールの図面をデジタル化し、タイプ66の3Dレンダリングを作成することに。
その後には空気抵抗を減らし、リアウイングへのエアフローを改善するためにコックピット周辺にフェアリングを設けるなどの改良を行い、コリン・チャップマンのアイデアをさらに進化させています。
フロントウイングは、車体前方からリアウイングの下を通ってエアを流すように設計され、フルスピード時に車体総重量以上のダウンフォースを発生させるそうですが(車体重量は現在非公開)、この「エアが車両の周囲を通り抜けるのではなく、車両内を通り抜ける」のは現代では一般的なコンセプトとなっており、しかしこのタイプ66では「当時からこういった設計を持っていた(つまり今回変更を加えたものではない)というので、いかにコリン・チャップマンの思想が優れ、そして時代に先んじていたかもわかります。※そしてこのコンセプトは現代のエミーラ、エヴァイヤではより顕著である
現在このロータス・タイプ66は「開発中」だとされ、しかしその開発手法には最新のデジタル技術"ドライバー・イン・ザ・ループ "が採用され、ラグナセカ、シルバーストーン、富士、スパ・フランコルシャンなど世界中の著名サーキットにてどのようなパフォーマンスを発揮するのかをシミュレート中だそうですが、ロータスによれば、タイプ66は最新のGT3レーシングカーの性能に匹敵するパフォーマンスを発揮するであろうとコメントされており、いくつかのサーキットでは、シミュレーターの結果より速く走れる可能性があるのだそう。
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参照:Lotus