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【ロータス、苦境の中で再建模索】本社工場で他ブランドの車両生産へ?ポールスターが有力候補

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| 2025年の幕開けに270人のレイオフ、ロータスの再建は? |

コンパクトな会社であるだけに「対応は迅速」である

2025年初頭、イギリスの名門スポーツカーブランド「Lotus(ロータス)」が270人の人員削減という苦しい決断を下しましたが(小規模自動車メーカーであるロータスにとっては少なくない数字である)、その背景には米国での関税問題や販売不振があるとされ、同社は新たな収益源を模索していると報じられています。

そんな中、ロータスのCEOであるマット・ウィンドル氏が「他ブランドの車両を自社工場で製造する」という方針を示し、その中で最も有力な候補が、2026年発売予定のポールスター6(Polestar 6)です。

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他社車両の製造はロータスの伝統でもある

「自社工場で他社の製品を製造する」というのは驚きではあるものの、マット・ウィンドル氏は、英カーメディアによるインタビューに対し、以下のように語っています。

「1990年代後半から2000年代にかけて、我々はヘセル(本社)工場で複数のモデルを製造していました。そのビジネスモデルの復活を検討しています。」

実際のところ、過去には、ヴォクスホールVX220や初代テスラ・ロードスターといった車両をロータスが製造しており、車台やシャシー技術を共有する形でOEM生産を行ってきた実績も(初代ヘネシー・ヴェノム、ルノー・スポールスピダーにもロータスの技術が注入されている)。

現在ロータスは中国・吉利汽車(Geely])傘下にありますが、その意向もあってロータスはこれまで積極的に電動化へと動いており、結果としてヘセル工場はEV(電気自動車)対応の設備を備えています。

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そして今回、同じGeelyグループ傘下であるポールスターブランドのスポーツカーの生産を行うと報じられていますが、「Geelyの意向で電動化シフトしたために窮地に陥り、しかしやはりGeelyによって救われる」ことも間違いなく、結果オーライなのかもしれません。

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 アメリカ市場の関税が打撃に

現在ロータスが直面する最大の問題は米国における関税の強化で、これによってもともと高価なEVラインアップが「とんでもない市場価格」となってしまい、そのため主要市場のひとつである米国での販売激減という厳しい課題に直面しているわけですね。

  • イギリス製のエミーラ → 25%の関税が適用
  • 中国製のエメヤおよびエレトレ → さらに高い関税に直面
  • 結果として一時的に米国への輸出・販売を停止

なお、バイデン政権との合意により英国車への関税を10%に下げる案が浮上しているものの、詳細は未確定であり、マット・ウィンドル氏は「現時点で出荷再開の判断はできない」と慎重な姿勢を見せています。

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ロータスは中国市場に活路を求め、ハイパーハイブリッドを投入

米国市場が難しい局面を迎える中、ロータスは様々な対策を検討しており、他社製品の生産に先駆けて示されたのが中国市場における新型「ハイパーハイブリッド」ラインの展開。

これらは航続距離を延ばすためのレンジエクステンダーを搭載したEVで、フルBEV(バッテリー式EV)の弱点を補完するモデルであるとともに、バッテリー容量を小さくできるので車両価格を引き下げることも可能というメリットも。

一方で計画されていた完全電動スポーツカーの開発は一時停止され、こちらは今後「市場の需要を見極めて再開を決める」とアナウンスされています。

「電動スポーツカーの市場が本当にあるのか、正直まだ分かりません。」
「自動車業界における商品戦略担当は、今おそらく世界で最も難しい仕事です。」

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ロータスの2024年実績と将来戦略

関税の影響を受ける前、ロータスは前年比2倍となる12,134台を納車しており、つまり業績は回復基調。

エミーラは5,272台を出荷し、近年のロータス車としては上出来といえる販売を記録しているので、「関税さえなければ」ロータスはこのまま成長を続けていたのかもしれません。

なお、マット・ウィンドル氏は、ディーラーネットワークの拡充によるボリューム成長を今後の鍵と捉えているといい、販売機会の最大化を勝機のひとつとして捉えているようですね。

厳しい状況に直面しつつも、ロータスは自社の工場と技術力を生かしたOEM製造ビジネスに可能性を見出し、かつ複数の戦略を組み合わせてこの危機を乗り越えてゆくのだと見られていますが、ポールスター6の生産受託が実現すれば、ブランドの存続とヘセル工場の維持にとって大きな一歩となるのは間違いがなく、「当面の危機」は回避されると考えて良さそうです。

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参照:Autocar

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