| 加えて、車体をコンパクトに、そして軽快に見せる効果も期待できる |
ランボルギーニ・ランザドールは実に色々なことを考えられつつデザインされていた
さて、ランボルギーニは「初」となるピュアエレクトリックカーを示唆するコンセプトモデル「ランザドール」を発表し大きな話題を呼んでいますが、このデザインについては様々な試行錯誤がなされたもよう。
そして現在のデザインに至るまでの経緯につき、ランボルギーニのチーフデザイナー、ミッチャ・ボルカート氏がその”内情”を語っています。
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ランザドールは「まぎれもないランボルギーニであり、同時にこれまでのランボルギーニとは一線を画している」
ミッチャ・ボルカート氏によれば「スーパーカーと伝統的なグランドツアラーをミックスさせた4人乗りのランザドールは、ランボルギーニがこれまでに作ったどのモデルとも一線を画している」と述べ、それこそが一つの目標であったとコメント。
このランザドールの開発は何年も前からスタートしており、ランボルギーニのデザインチーム内では「スポーティーな4シーター」をデザインするに際し、350GTやエスパーダといったランボルギーニの過去のモデルも含め、様々なタイプのグランドツアラーを徹底的に研究することからはじめた、と述べています。
ただ、そういった研究の成果をいざ形にしてみると「いずれもランボルギーニらしくなく」、しかしウラカン・ステラートのデザインを行っている際に「ランボルギーニらしいスーパーカーのシルエットを取り入れたハイライダーにしよう」という案を思いついたのだそう。
つまりは「GTカー」を作ろうとしてもうまくゆかず、しかし発想を「車高の高いスーパーカー」へと転換したということになりそうです。
そこでこの「スーパーカーらしいシルエットを持つハイライダー」を実際に描いてみると、”まさにこれこそが正解である”と本能的に確信し、このスタイルを採用することでスリムでエレガントでクリーンなアッパーボディを保ちつつ、バッテリーパックを車体に内蔵することが容易になるとわかり、まさに「一石二鳥」。
私たちのデザインのDNAは、単一のセンターライン、つまりシルエットです。ランボルギーニの他のスーパースポーツカーから多くのインスピレーションを得たかったので、まず第一に、とても現代的でクリーンなフォルムを目指しました。
たしかにグリーンハウスにはムルシエラゴ、ボディ表面にはセスト・エレメント、尖ったフロントエンドにはレブエルトが、リアエンドの処理にはシアンの面影を見ることができ、ランザドールはその高い車高にも関わらず、どこからどうみてもランボルギーニであることもわかります。
なお、「2ドア」は必須であったわけではなく、つまりランボルギーニとしては4ドアであっても構わないという意向であったようですが、ミッチャ・ボルカート氏をはじめとするデザイナーは皆「2ドア」であることを希望しており、その理由は「スーパースポーツカーとスーパーSUVの中間のようなクルマを作りたかったから」。
ランボルギーニはすでにスーパーSUVとしてウルスを発売し大成功を収めているので、ウルスと同じ路線を追求する必要はなく、それよりもウルスとは異なる路線のクルマにて、ウルスとは異なる客層を獲得することも考慮されたのかもしれません。
「ランボルギーニに見える必要がありますが、異なるパワートレーンを積んでいることも認識してもらわねばなりません」
ミッチャ・ボルカート氏によれば、ランザドール全体の雰囲気について「ランボルギーニらしく見える必要がありますが、同時に今までと異なるパワートレーンを積んでいるということが分かる必要があります」。
ただし一部自動車メーカーのように”電気自動車であることを強調する”ディティールを盛り込むわけではなく、その理由としては「EVはすでに何年も前から出回っていますし、今さら電気自動車であることをアピールする必要はありません。我々に必要なのは美しいランボルギーニであり、新しいパワートレーンを選択することによって得られる自由度がこのクルマをEVだと認識させるのです」。
たしかにランザドールのAピラーの位置は一般的なガソリン車、そしてウルスよりも前に出され、リアだとテールパイプがない代わりに大きなディフューザーが用いられています。
これらはたしかにエンジンやエキゾーストシステムが無いからこそ実現できたデザインであり、こういった部分がこのクルマを「EVである」と人々に理解させるのかもしれませんね。
なお、ランボルギーニがミッチャ・ボルカート氏をデザイナーに迎え入れた後の作品(アヴェンタドールSVJ以降)のほとんどではリアタイヤが大きく露出していて、その理由については同氏いわく「なぜなら、そのほうがカッコいいからです」。※これ重要
ただしランザドールでは(コンセプトカーということもあって)少しやりすぎたとも感じているそうですが、これによってランザドールの車体の「体積」を小さく見せることにも成功しているといい、たしかに「軽快に」見えるようにも思います。
もちろんぼくも「リヤタイヤがガバっと見えたほうがカッコいい」という意見には賛成ではあるものの、このぶっといハイグリップタイヤが跳ね上げる石を考慮すると、「ランザドールの後ろはちょっと走りたくないな」というのが偽らざる心境です。
そして興味深いことに、ミッチャ・ボルカート氏は「ランボルギーニの顧客は色にこだわる傾向が強い」といい、ランザドールのために開発された新色であるアズーロ・アビサーレのほか、多くのボディカラーをラインアップすることにも言及済み(現状、ランボルギーニは他の自動車メーカーに比較しても、標準オプションで選択できる範囲がかなり広く、奇抜な色も多い)。
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さらに同氏は「そもそも、ランボルギーニが”必要”だという人はこの世に誰もいません。ですが、我々が作るのは、それでも誰もが欲しがるクルマです。そのクルマが、”おい、自分を欲しいだろ?”と語りかけているように感じるクルマでなければならないのです」と続けています。
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参照:Motor1