| 現在の欧州では、想像よりも遥かに厳しい競争状態にあるのかもしれない |
欧州では様々な業界で同様の打開策を採用した例がいくつか存在する
さて、先日「5 E-Tech エレクトリック」を発表したばかりのルノーですが、今回はルノーのルカ・デ・メオ最高経営責任者(CEO)がヨーロッパの同胞自動車メーカーに対し、欧州に参入する中国からの安価なEVと競争できる”手頃な価格の電気自動車”を製造するため団結する必要がある、というコメントを発して話題に。
同氏はこの際にエアバスを引き合いに出していますが、エアバスは寡占状態にあったアメリカの航空機メーカーに対抗するためにフランスとドイツの企業が中心となって設立された複合企業で、自動車業界についても同様の対策を取らねば中国の新興EVメーカーに市場を牛耳られてしまう、と主張しているわけですね。
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実際に欧州企業は手を取り合う必要があるだろう
そしてルカ・デ・メオCEOは「我々は中国の自動車メーカーに対抗するために創造性を発揮する必要がある」と述べ、上述の手法にて「パートナー間にて投資を共有し、コストを削減できる」こと、そしてアルファロメオ・フィアット、ランチア、サーブが共有した80年代の「タイプ4」プラットフォームなど、欧州自動車メーカーが協力した過去の例にも言及しています。※業界は異なるが、ユーロファイター・タイフーンも欧州4カ国による共同開発である
実際のところ、ルノーはすでにフォルクスワーゲンと(ルノー5のプラットフォームである)AmpRプラットフォームを共有するための協議を行っており、これによってルノーは大きくコストを引下げることができると見込んでいるもよう。
ルカ・デ・デメオ氏によると、このプロジェクトの目的は(中国の自動車メーカーが中国内でそうしているように)バッテリー、モーター、電子機器を含むバリューチェーンを欧州内で構築することにあり、つまりは自動車メーカーのみではなくサプライチェーンを巻き込んで「ヨーロッパであらゆるものを競争力のある価格で調達すること」。
サプライチェーンに加え、「重要なのはスピード」
加えて「欧州の自動車メーカーにとっての大きな課題は、クルマを迅速に開発・製造すること」であるとも主張しており、実際にルノー5では開発期間を4年から3年に短縮し、さらにトゥインゴでは2年に短縮するという計画についても言及していて、「中国を相手にするはスピードが重要です。私たちは不確実な世界にいます。 かつての内燃機関車では、何が起こるかを予測できましたが、EVではそうではありません」。
なお、フォルクスワーゲンも同様の見解を述べたことがあり、開発期間を54ヶ月から36ヶ月に短縮するとコメントしたこともありますが、この期間短縮については、コスト上の問題というよりは、「状況に応じた柔軟な対応を行う」という意図のほうが大きいのだと思われます。
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そして興味深いことに、ルカ・デ・メオ氏は「EUは都市部で日本の小型”軽自動車”を許可し、これに加えて小型バッテリーを搭載したマイクロEVに対する付加価値税を引き下げるか、税金の優遇措置を与えるべきだ」と主張していて、さらには「これらの車両の使用を奨励するために無料駐車場を設ける」ことも推奨しており、この意図についてはちょっとナゾ(もしかするとアライアンス関係にある日産や三菱の軽自動車を欧州へと輸入するつもりなのかもしれない)。
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参照:Autonews