| さらにホンダはこのHP-Xコンセプトにて高度なエアロダイナミクス、先進的な運転支援デバイスを盛り込んでいた |
ボクはこういった強烈なウェッジシェイプを持つクルマが大好きである
さて、毎年夏の(クルマ関係の)イベントにおけるハイライトといえばペブルビーチ コンクール デレガンス。
そしてこのペブルビーチ コンクール デレガンスでは今年始めて「ウェッジシェイプ コンセプトカーとプロトタイプ」クラスが新設されるといい、とくにウェッジシェイプが大好きなぼくとしては「どんなクルマが出品されるのか」非常に楽しみにしているわけですね。
なお、このウェッジシェイプのコンセプトカーはとくに1970年代に多く見られ、マセラティ・ブーメラン、ランチア・ストラトス・ゼロ、アルファロメオ・カラボ、ランボルギーニ・ブラボー、フェラーリ・モデューロ、アストンマーティン・ブルドッグなど数々の名車が存在します。
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ホンダは1984年に「HP-Xコンセプト」なるクルマを発表していた
そこで今回ホンダが公式に発表したのが「1984年に製作したコンセプトカー、HP-Xをレストアし出品する」。
ウェッジシェイプブームは1980年代に入っても人気が衰えず、ホンダはピニンファリーナとの協業にてこのHP-Xコンセプトを製作し、1984年のトリノ オート ショーで初めて展示を行うこととなりますが、その後ほとんど公の場に姿を見せることはなく、つまりは「忘れ去られたコンセプトカー」のひとつです。
参考までにですが、ホンダはS2000(1998年)の前身であるSSMコンセプト(1995)をピニンファリーナと共同にて製作していたので、当時両社は比較的密接な関係にあったのかもしれません。
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このHP-Xコンセプトにはドアがなく、これは(ホンダいわく)「ジェット戦闘機スタイルの取り外し可能な一体型パースペックス製キャノピー」を備えるため。
搭載されるのは当時のF2用ホンダ製2リッターV6で、見ての通りグラウンドエフェクトを強く意識したディフューザーを持っています(まるでブガッティ・トゥールビヨンのようであるが、当時としてはかなり珍しい)。
ちなみにキャノピーの後端が浮いており、これは「エアブレーキ」としても機能するのだそう(キャノピー前部とは別体式構造を持っている)。
つまりホンダはこのクルマでは「空気の流れ」をコントロールすることを強く意識していて、かつ(このキャノピーの採用然り)クルマを超えて航空機に近づこうとしたのかもしれませんね。
さらにホンダはハニカムパネル、カーボンファイバー、ケブラーなどいくつかの先進素材を投入しており、こういった試みによってHP-X コンセプトの重量を軽減しパフォーマンスを向上させていますが、このHP-Xコンセプトの開発を通じて得た知見のいくつかはのちのNSX(1989年)にも生かされている、とも説明されています。
とくにサイド、そして後ろから見るとウェッジシェイプが強調され、上に向かって伸びるスリットがさらにその傾向を強めているようですね。
ちなみにボディサイズは全長4,160ミリ、全幅1,780ミリ、全高1,110ミリと「非常に」コンパクト。
ホンダHP-Xコンセプトはこんなインテリアを持っている
そしてこのHP-Xのインテリアに目を移すと、「当時のコンセプトカーっぽい」雰囲気が存分に感じられ、シンプルでミニマルなダッシュボード、そしてそこから伸びたステアリングコラムが「当時風」。
そして「四角い大量のボタン」も当時好まれた要素のひとつであり、このHP-Xコンセプトでは半透明のパーツが使用されています。
なお、いまでは珍しくないものの、当時としてはまだ一般的ではなかった「ソナーを使用した電子運転支援システム」「カーナビゲーション」「各種運転支援デバイス」といった高度な技術が備わります。
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参照:Honda