>フェラーリ ■自動車各社業績/ランキング/記録等

フェラーリが2024年第3四半期の決算を発表、納車台数2%減、特に中国で29%の減少を記録し株価が8%近く下がる。ただし通期の見通しは「これまで通り」

フェラーリ

| 今回の納車台数減少には「一時的な要素」が関連しており、かつ中国問題についても吸収可能だと考える |

現在のフェラーリは「何があっても揺るがない」だけのリスク対策を講じている

さて、フェラーリが2024年第3四半期の業績を発表し、調整後利益(EBITA)がアナリストらの事前予想と一致し、つまり「予想以上ではなかった」ことからか株価が7.36%も下落し441ドルへ。

なおフェラーリの株価がここまで大きく下がるのは他に記憶がなく、様々な要因から「業績が思ったほど良くなかった」「成長力が失われた」と判断されたのかもしれません。

フェラーリ
フェラーリ、ポルシェ、アストンマーティン、トヨタ、テスラ、フォード、GM、BYD、NIO・・・。自動車メーカーの株価はこの1年でどういった理由でどう推移したのか?

| ハッキリ言えば、この1年では「フェラーリの一人勝ち」、そしてポテンシャルを感じさせるのはテスラである | 一方、フォードやトヨタ、フォルクスワーゲンなど「既存」自動車メーカーの未来は明るくない さ ...

続きを見る

フェラーリの業績は消して悪くない

なお、今回フェラーリが発表した2024年第3四半期の決算では利益が前年比で7%増となっており、つまりは「好調を維持」。

ただしネガティブ要素があるとすれば2024年第3四半期の出荷台数が前年同期比で2%減ってしまったということで、しかしこれは需要が失われたということではなく、夏にかけて(おそらくはEビルディングを立ち上げた関係で)新しい統合基幹業務システムを導入し、それによって( アントニオ・ピッカ・ピコン最高財務責任者=CFOによれば)生産と出荷を数週間ストップする必要があったため。

フェラーリが新しい施設「E-ビルディング」を公開。主にEVおよび関連コンポーネントを生産することになるものの「Eは環境、進化、エネルギーを示します」
フェラーリが新しい施設「E-ビルディング」を公開。主にEVおよび関連コンポーネントを生産することになるものの「Eは環境、進化、エネルギーを示します」

| フェラーリはこの新しい施設において製造のみならず研究開発も実施 | フェラーリCEOはパワートレイン含む「柔軟性」を強調 さて、フェラーリが本社所在地であるマラネロにあたらしい施設「E-ビルディン ...

続きを見る

つまり出荷台数が減少したことについては一時的なものであって「フェラーリの根幹を揺るがすような」問題ではないものの、もう一つの懸念事項は「中国への出荷が減少したこと」。※第2四半期に続く減少である

その減少幅は29%と小さくはなく、これが投資家にとっての暗い影となった可能性もありますが、フェラーリは2010年代はじめに中国へと多数を割り当て、その後に中国での販売が(贅沢禁止令などで)大きく減少してしまい、これを機に地域ごとの販売台数の割当を再考し「(どこかに偏ることでなんらかの影響を受けないよう)バランスを取れるように調整した」と言われ、そして中国が凹んだとしても、他の地域向けの出荷を増やせばいいだけなので一向に問題はないものと思われます(いずれの地域も”需要よりも少なく”生産しているので、このあたりの調整は容易だと考えられる)。※ランボルギーニ、ロールスロイスも同様の経緯からフェラーリと同じように販売地域ごとのバランスを重視した戦略に転換している

L1007826

参考までに、ベネデット・ビーニャCEOは「第3四半期の販売台数と販売構成の変化は、新しい統合基幹業務システムへの移行を促進するフェラーリの決定を反映したもの」だと述べ、2024年第4四半期には何ら影響はないとコメントし、実際に(8月に発表した)通期の業績見通しについても”維持”となることを強調しています。

さらにはパーソナリゼーション部門の強化がさらに利益を押し上げたとも説明していて、トレンドとしてはこれまで通り「継続的・安定的な成長を維持する」ものと考えて良さそうですね。

フェラーリの業績はこんな感じで伸びている

参考までに、フェラーリの成長の軌跡は以下の通りで、この10年間「非常に順調な」業績を記録していますが、これは「売れるだけ作る」のではなく、常に「需要よりも少なく、かつ計画された台数のみを作る」フェラーリだからこそできることなのだと思われます。

なお、利益率に多少ばらつきがあるのは「限定モデルのデリバリーが多かった年」なのかもしれません(限定モデルは非常に高価であるぶん、利益率が高い)。

201520162017201820192020202120222023
販売台数7,6648,0148,3989,25110,1319,11911,11513,22113,663
調整後営業利益率26.228.330.332.633.733.035.934.838.2

合わせて読みたい、フェラーリ関連投稿

フェラーリ
フェラーリが2024年第2四半期の業績を発表、販売台数2.7%増に加え主要な数値は2桁増。なおSF90ストラダーレと812GTSの生産終了、ローマが生産終了間際であることにも言及

| フェラーリの「1台あたり利益」は大幅に上昇、デイトナSP3や499Pモデイフィカータの販売が利益を押し上げる | さらには1台あたりのオプション装着金額の向上もフェラーリの好調な決算を支えることに ...

続きを見る

フェラーリF80
「世界のトップブランド100」発表。自動車メーカーではトヨタがトップ、フェラーリは21%価値を向上させて100位の中で「もっとも成長したブランド」に

Image:Ferrari | 今の時代、会社が存続し続けるためにもっとも重要なのは「ブランド」である | すぐに色褪せてしまう「数値」よりも時代を超越する「思想」が重要である さて、インターブランド ...

続きを見る

フェラーリ
フェラーリ「私たちは会社を成長させたいと思っていますが、それは販売台数を増やすという意味ではありません」。あくまでもフェラーリは1台あたりの利益向上を目指している

| フェラーリは新しい施設の稼働によって車両開発を効率化してコストを下げ、さらにはパーソナリゼーションを強化する意向を示している | おそらくは限定モデルやワンオフモデルにもリソースが割かれるはずであ ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->フェラーリ, ■自動車各社業績/ランキング/記録等
-, , , , ,